沖浦和光, 幻の漂泊民・サンカ

日本の山中で漂泊生活をしていたサンカの起源に関する調査書。

柳田国男の唱えたロマン溢れる先住民起源説に反論し、近世後期の貧窮民が山に入りサンカ (山家) になったという説を提唱する。もっとも、サンカの歴史が比較的浅く、近世以前に存在しなかったという証明は悪魔の証明となるのでやはり難しい。調べた限りではこの時代の文献にサンカに関する記述が見あたらない、といった歯切れの悪い書き方になってしまうのは仕方のないところ。

サンカ研究をする上では避けて通れない三角寛の著作の検証も面白い。膨大な文献調査やサンカをルーツとする人々の聞き取り調査などで、三角の猟奇ロマン小説の部分を取り除いたサンカの本当の生活実態を明らかにしてくれる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました