野球のOR

完全に時期を逸してしまった気もするが、鳩山由紀夫前首相の野球のORを読んでみた。まだセイバーメトリクスもほとんど普及していない1979年の論文でありながら、野球の数理的解析に手を出していたという目の付け所は素晴らしい。政治家としてはともかくとして、研究者としては優秀だったことが良くわかる。

論文の柱となっているのは、セ・リーグの現役の全打者の通算成績から出塁率、四死球率、単打率、二塁打率、三塁打率、本塁打率だけを抜き出して、リンゼイ・パルマーモデル相当のものを再構築してしまおうという試み。単打で必ず二塁走者が生還するなどの強い仮定を置いているため二塁に走者を置いた場合の得点期待値がやや高いものとなっているが、概ねリンゼイ・パルマーモデルに近い値が得られている。

その後は盗塁やバント、ヒットエンドランに必要とされる成功率が示されているが、いずれも最初の二塁走者の過大評価を引きずっている様に見える。四死球や本塁打の得点能力への貢献度評価も同様。

続いてOERA (Offensive Earned Run Average) の評価。これは単に日本の主力打者に当てはめて計算してみたというだけ。

最後に投手起用も扱っているが、これがなかなか興味深い。イニング毎の投手の平均自責点がバスタブ曲線に似るのではないかという予想は検証が不十分ではあるものの興味深い。総期待自責点を最小化する投手ローテーションを動的計画法により求める案についても同様。

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