2015-04

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フランセス・アッシュクロフト(著), 矢羽野薫(訳), 人間はどこまで耐えられるのか

人間の限界というものを生理学の観点から考察した本。 よくある科学ライターが書き飛ばしたような本ではなく、生理学の専門家による著作。取り上げられているテーマも、非常にプリミティブな興味を惹くものばかり。
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ナンシー関, ザ・ベリー・ベスト・オブ「ナンシー関の小耳にはさもう」100

もはや伝説とも言える週刊朝日のコラムのよりぬき版。 もちろん取り上げられている芸能人は少し古いのだが、その彗眼を改めて確認できる。
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西村賢太, どうで死ぬ身の一踊り

西村賢太の小説を読むのは苦役列車に続いて2冊目。同じく私小説で、藤澤清造の全集刊行に向けて動いていた時期を切り取ったもの。 著者の癇癪と家庭内暴力には私小説であることを思い起こしてうんざりするものの、それでも一気に読ませる力には凄まじいものがある。
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瀬谷ルミ子, 職業は武装解除

国連や様々なNGO/NPOで活躍されている著者の自伝。NPO/NGOと聞くだけで胡散臭さを感じる向きも多いと思うが、こちらはきちんと活動している方。 本書では思想面はあまり深く触れないが、もう少し即物的な各種の団体の渡り歩き方やきっかけの作り方などは学べるところが多い。
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許成準, 超訳 孫子の兵法

孫子の兵法の解説本だが、かなり思い切った現代語訳を試みている。 所々出てくる事例はややコジツケ感があるが、そこさえ目をつむれば悪くない。孫子の兵法のエッセンスはきちんと感じられる。
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ゾルゲ市蔵, 8bit年代記

各所で物議を醸している著者ではあるが、本書は比較的おとなしい部類か。 ゲームの話から脱線する部分も多く、どちらかというと青春自伝マンガといった趣。
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奥野幹也, 理論から学ぶデータベース実践入門 リレーショナルモデルによる効率的なSQL

著者は漢のコンピュータ道の中の人。 世の中に数あるSQLの小手先の技術を解説しただけのデータベース本と異なり、リレーショナルモデルの本質の部分を攻めているのが見事。一見遠回りのように見えるが、これが本当の近道という気がする。
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トーマス・トウェイツ(著), 村井理子(訳), ゼロからトースターを作ってみた

この "ゼロから" は、自然の中にある材料から、という意味。鉄鉱石を精錬し、マイカ (雲母) を引き剥がし、銅を電解精錬し、とバカバカしくも見事な企画。何気なく使っている安価な家電製品が世界中の様々な工業的プロセスに依存していることに気付かせてくれる。 著者はRoyal College of Artの学生で、卒業制作としてこのプロジェクトに取り組んだとのこと。学生故の準備不足や無計画さが目に付き、所々やむなく初心を曲げてしまっている個所もあるが、そういった細かい点を吹き飛ばす...