鳥越規央, 9回裏無死1塁でバントはするな

セイバーメトリクス本だが、あまり新味がないのに加えて、首を傾げたくなる項目が多い。

  • 第2章2 “2ストライク・ノーボールで本当に1球外すべきか” では、2ストライクからのボール球に対して打者は必ず正確に見逃すことを暗黙の内に仮定しているが、釣り球に引っかかることを考慮しないのは雑過ぎる
  • 第2章3 “敬遠して次のバッターと勝負は良い作戦といえるか” では、得点期待値の算出方法が不明。値からは、リンゼイ・パルマーモデルを組み合わせてイニングの総得点期待値を算出するのではなく、単に対象の打者もしくは敬遠後の打者の1打席のみでの得点期待値を算出している様に見えるが、それでは敬遠戦術の評価としては不十分。また、満塁からの敬遠策については、敬遠の際に確定する1失点を加算し忘れて評価をしている様に見える
  • 第2章3 “エースにエースをぶつけるのは得策か” では、対象投手の勝敗数に基づいて予測を行っているが、これはせめて失点期待値を用いて予想するべき
  • 第3章1 “メジャーでヒットエンドランをしないのはなぜか” では、前提条件がラフ過ぎる。結果単独盗塁となった場合の盗塁成功率を根拠無く通常の盗塁の2/3と推計しているのに加えて、一塁走者がスタートを切っているにも関わらず内野ゴロは常にダブルプレーが成立すると仮定している。また、各事象が発生する確率が何を根拠としているかも不明
  • 第4章1 “4割バッターにバントをさせる高校野球” では、暗黙の内に打者は100%送りバントに成功し、守備は100%バント処理に成功するという仮定を置いて評価をしているが、さすがに雑過ぎる

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