著者のマイケル・ウィットワーは少々潔癖過ぎるほど誠実で、裏が取れている情報と状況から推測した描写を明確に書き分けている。今後D&D史やRPG史、そしてゲイリーという人物の研究者にとってもっとも重要な資料となるだろう。文章も読みやすく、リプレイ風のエピグラフも良い味を出している。
ゲイリーは家庭人としては完全に破綻しており、ウォーゲームに打ち込むあまりに家族を養うことすら危うくなっている。ゲーマーとしては立派な態度ではあるけれど。
デーヴ・アーネソンとの出会い、D&Dが生まれるまでの経緯、T&Tなどの類似製品の登場と停止命令 (この過程でD&D型のゲームという表現を避けるためにロールプレイング・ゲームの語が生まれた)、そのデーヴとの確執など、D&Dにまつわる歴史が完全に網羅されている。
スタートアップの物語として読んでも面白く、TSR社の急成長、歪な資本構成が招いた会社の乗っ取り、失意からの再起など、爆発的な成長を遂げたスタートアップの通る道を猛スピードで駆け抜けている。

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