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前田亜紀, カレーライスを一から作る 関野吉晴ゼミ

表題通り、カレーライスを自分たちの手で一から作ろうという試み。武蔵野美術大学の関野吉晴ゼミでの1年間の取り組みをまとめたもの。 企画としては単純に面白いのだが、大学で実施する目的もルール設定の意図も最後まではっきりしない。一応のルール設定として、1年間の学期の範囲内で、自然の中から採取するか一から育てるかして、カレーライスの材料をすべて揃える、という方針が示され、このあたりまではまだ納得感がある。しかしながら、育てる場合はなるべく "自然" に近い形で化学肥料や農薬は使わない...
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スミス・マガジン(編), 越前敏弥(訳), Six-Words たった6語の物語

Six-Word Memoirsをまとめた本の和訳。Webサイト以外にTwitterのアカウントも運用中 (日本語版もある)。 帯には "英語版Haiku" とのキャッチコピーが踊るが、これはなかなか言い得て妙。フィクションだけというわけではなく、短詩のような作品も多数含まれている。
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溝手康史, 登山者ための法律入門 山の法的トラブルを回避する 加害者・被害者にならないために

そもそもの大原則として、日本中の山には必ず土地所有者がおり、登山の際には他人の土地を登ることが避けられない。そのため建前としては登山には土地の所有者の同意が必要となるが、現実にはほとんどの登山者が土地所有者の了解を得ることはなく、登山を黙認しているものとみなされてきた。土地所有者が積極的に許可を出していない以上、登山道の管理者もあいまいなところが多く、それが事故が起きた場合などの混乱を招いていた。 本書はそんな登山の世界の法律の現状に踏み込んでいく。もちろん判例や文献が非常に...
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橘玲, 裏道を行け ディストピア世界をHACKする

常識やルールの裏をかくことで普通の人々の上を行くHACKがテーマ。HACKする対象は、恋愛、金融、脳、自己啓発と多岐にわたる。いずれの項目も過去の著作の焼き直しの部分が多いが、現況に合わせてアップデートはされている。
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パトリック・ファーガン(著), 上原裕美子(訳), #HOOKED 消費者心理学者が解き明かす「つい、買ってしまった。」の裏にあるマーケティングの技術

マーケティング本だが、最近の脳科学の成果を取り入れているのがミソ。感情的で不合理で限られた認知能力しか持たない人間の脳を前提にすると、今までのマーケティングのあり方が大きく変わってくる。すなわち、プリミティブで感情に訴えかけるメッセージをサプライズと共に与え、自分ごとと思わせる必要がある。 この本の表紙も感情をわしづかみにする子猫の画像と意外性のある色使いでデザインされているのが見事。
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浅田次郎, ハッピー・リタイアメント

天下りをテーマにした娯楽小説。天下り官僚の生態をユーモアたっぷりに描くところはさすが。堅物の自衛官との対比も良い。オチも秀逸。
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服部昇大, 邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん (7)

表紙はまさかの池ちゃん。男性キャラでは部長以来の大抜擢となるが、一時ネットを騒然とさせただけあって妥当な人選だろう。描き下ろしも池ちゃんで、まさに池ちゃんのための巻と言える。
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鈴木大介, 老人喰い 高齢者を狙う詐欺の正体

振り込め詐欺の現場の密着ルポ。描写が幾分物語的に過ぎるとは思うが、妙にリアリティがある。 高齢者を狙う特殊詐欺犯罪犯が自身を正当化し加担する若者たちを洗脳する論理が興味深い。金を持っているが使わない老人たちは「若い世代の敵」であり「日本のガン」であり、彼らから金を奪うことは正義であるという理屈だ。荒唐無稽な理屈ではあるが、頑張っても経済的に報われない若者には刺さるところがあるのだろう。
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審判メカニクスハンドブック(第5版)

ISBNがついておらず、全日本野球協会から購入するか中古を入手する必要がある。私はメルカリで購入した。送料込みで600円。 内容はだいぶ玄人向きで、基本的な用語の解説もない。"ゴーアウト" などの基礎的な語はおろか、"メカニクス" の意味するところもきちんとした説明がない。またこの手の本に必須の索引もないので、本当にわかっている人だけが読む想定なのだろう。それでも類書がまったくない唯一無二の本なので、真剣に審判の腕を磨きたい人には必須の一冊となる。 野球審判の基本は二人制にあ...
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川崎悟司, カメの甲羅はあばら骨 人体で表す動物図鑑

著者は古世界の住人で有名な川崎悟司。人間の体の各部を様々な生き物に当てはめてイラスト化したもの。写実的でキモかわいいイラストがいい味を出している。