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目黒冬弥, メガバンク銀行員ぐだぐだ日記 このたびの件、深くお詫び申しあげます

M銀行のシステム側のグダグダは散々語られ尽くした感があるが、現場でお客さんと接していた行員たちの手記はまた新鮮。銀行の常識は世間の非常識とはよく言ったもので、旧態依然としたメガバンクの実態を見るとなかなかに気が滅入ってくる。それでもそんな銀行の仕打ちにも耐えながら立派に務め続けている著者の前向きな姿勢には頭が下がる。こうした暴露本の著者には珍しいタイプだと思う。
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奥山真司(監修), ビジネス教養 地政学

イラスト多めの地政学入門書。専門家の監修が行き届いておりトンデモな記述がないので、一冊目としておすすめできる。ただし、本当のさわりの部分だけなので、普段からこの分野のニュースを追っている人には得られるものが少ないかもしれない。
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William Lidwell(著), Kritina Holden(著), Jill Butler(著), 郷司陽子(訳), Design Rule Index 要点で学ぶ、デザインの法則150

広義のデザインに関するtips集。あまり体系立てられた本ではないが、パラパラと眺めながらアイディアを得るには良い。使うと通っぽく見える用語が満載。
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前田浩司, 元営業部長だから知っている 不動産投資 騙しの手口

元不動産営業マンの裏話。かぼちゃの馬車事件直後の出版ということもあり、悪徳不動産業者の話題が中心。よく言われることだが、そもそも本当のお値打ち物件は市場に出回る前に売れていることを忘れてはいけない。表に出る前に営業マンが、さらに前には資金力のある業者が買ってしまう場合も多い。これさえ覚えておけば、不動産投資にそうそう騙されることはないだろう。その他、売買契約の場所や書類の文言によってはクーリングオフが適用されないなど、実用的なtipsも多い。
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早池峰キゼン, テンバイヤー金木くん (1) (2) (3)

COMICMeDuの連載を単行本化したもの。転売という賛否両論のテーマながら、金木くん、大友くんをはじめとする主要キャラクタがどれも憎めない仕上がり。
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宮竹 貴久, 「先送り」は生物学的に正しい 究極の生き残る技術

生物学の雑学本としてみれば著者の広い知見を楽しめる良書だが、それだけに無理にビジネスの話にこじつける必要はなかったように思う。出版社からの要請だろうか。
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パトリック・ファーガン(著), 上原裕美子(訳), #HOOKED 消費者心理学者が解き明かす「つい、買ってしまった。」の裏にあるマーケティングの技術

マーケティング本だが、最近の脳科学の成果を取り入れているのがミソ。感情的で不合理で限られた認知能力しか持たない人間の脳を前提にすると、今までのマーケティングのあり方が大きく変わってくる。すなわち、プリミティブで感情に訴えかけるメッセージをサプライズと共に与え、自分ごとと思わせる必要がある。この本の表紙も感情をわしづかみにする子猫の画像と意外性のある色使いでデザインされているのが見事。
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小島庸平, サラ金の歴史 消費者金融と日本社会

戦前から現代にいたるまでのサラ金や消費者金融の歴史を辿ることで、金融技術の発展やサラリーマンの実態、ひいては日本の経済史までもが見えてくる。銀行などの金融機関から金を借りたくとも借りられない人々向けの高利貸の歴史は長く、戦前は個人間の資金貸借が盛んに行われていた。これがサラ金の源流と言える。とはいえその実態は素人高利貸に過ぎず、現代のサラ金に直接繋がる勢力が生まれるのは、戦後の団地金融を待たねばならなかった。その団地金融の代表格が1960年代から1970年代にかけて消費者金融...
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北野一, デフレの真犯人 脱ROE〔株主資本利益率〕革命で甦る日本

やたらと例え話が多くかえって読み辛いが、内容は頷ける部分が多い。日本のデフレの原因を、グローバル化した株主が世界共通で求める利益率(ROE)に求めている。この期待ROE(企業側から見ると株主資本コスト)の高さが実質的な金融引締となってデフレを招いているとの論。
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鷲田小彌太, 大学教授になる方法 実践篇

大学教授になる方法の続編。あとがきにも述べられているように、今回はユーモアは控えめ。特に第2部の"大学教授になる方法・レッスン2"は、大学教授になるために必要な事項(時間・金・体力)や研究業績の作り方など実践的な内容が多い。ただし、前作同様に理工系では少々事情が異なると思われる点もあるため注意が必要。