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小島庸平, サラ金の歴史 消費者金融と日本社会

戦前から現代にいたるまでのサラ金や消費者金融の歴史を辿ることで、金融技術の発展やサラリーマンの実態、ひいては日本の経済史までもが見えてくる。 銀行などの金融機関から金を借りたくとも借りられない人々向けの高利貸の歴史は長く、戦前は個人間の資金貸借が盛んに行われていた。これがサラ金の源流と言える。とはいえその実態は素人高利貸に過ぎず、現代のサラ金に直接繋がる勢力が生まれるのは、戦後の団地金融を待たねばならなかった。 その団地金融の代表格が1960年代から19...
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松田行正, et 128件の記号事件ファイル

様々な記号の成り立ちを追った本。それぞれの記号について時代ごとの変遷を網羅するというとんでもなく面倒な仕事をやってのけた労作。凝った装丁も素晴らしく、本棚に置いておきたくなる一冊。
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パオロ・マッツァリーノ, 歴史の「普通」ってなんですか?

今回は "庶民文化の伝統" がテーマとのことだが、例によって脱線ばかりで楽しい。 "伝統" というと大仰に感じるが、著者によるとちょっと長めの流行のことにすぎない。そもそも "伝統" という単語自体がtraditionの訳語として明治時代に作られた言葉であり、日本人が "伝統" という西洋由来の概念を意識し始めてから高々100年程度しか経っていない。こうした視点に立つと、日本の伝統というものの多くが共同幻想にすぎないことに気がつく。
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顧蓉(著), 葛金芳(著), 尾鷲卓彦(訳), 宦官 中国四千年を操った異形の集団

中国史を語る上で外すことのできない宦官システムの研究書。宦官の発生から衰退までの歴史はもちろんのこと、宦官の性器切除が肉体や精神、そして行動へ与える影響にも紙幅を割き、生き生きとした描写をしているのが特徴的。 そもそもの宦官の発生は、専制君主による多妻制を支えるためであると解く。漢武帝故事によると武帝の後宮には7-8,000人の美女が生活していたとされ、男手なしで維持することは困難であった。そんな環境で私通を回避し、后妃たちが生んだ後継ぎが間違いなく君主の子で...
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鈴木みそ, X (てん) までとどけ アイゾー版

2000年代ごろのコンピュータの歴史を刻んだマンガ。当時の空気感を感じられる数少ないメディアだと思う。各ページに掲載年月が書かれているのも親切。 タイトル通りApple製品のネタが中心だが、Orkut、mixi、Movable Typeなどそれ以外の周辺情報も豊富。ゴミばかりが引っかかる検索エンジンなど、予言とも言えるネタも多い。
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戸川幸夫(作), 矢口高雄 (画), 野性伝説 羆風 飴色角と三本指

あの三毛別羆事件のマンガ。戸川幸夫の原作をベースに、木村盛武による調査成果を盛り込んでいる。羆視点のパートなどマンガとしての脚色が過ぎる部分もあるものの、史実とエンターテイメントを高いレベルで両立させている。野生動物と人間の双方に高い敬意が感じられるのも良い。
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ジョン・ケネス・ガルブレイス(著), 鈴木哲太郎(訳), [新版] バブルの物語 人々はなぜ「熱狂」を繰り返すのか

バブルを引き起こす陶酔的熱病 (ユーフォリア/Euphoria) は繰り返し起こる現象であり、それから身を守るのは集団的狂気へ突っ走ることに共通する特徴の認識であるとと説く。それは具体的には、金融の天才の登場であったり、てこ (レバレッジ) の再発見であったり、何か新奇らしく見えるものであったりする。古典的なケースであるチューリップ狂やサウスシー・バブルでもこれらの特徴が見られる。 本書は徹頭徹尾、警告の書として書かれている。金融上の記憶は高々20年程度 (新...
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隠岐さや香, 文系と理系はなぜ分かれたのか

文系と理系というよく話題に挙がる割にその正体がよくわからない区分を、科学史の観点から追いかけた良書。 文系と理系という分け方は自明なものではなく、中世に大学が生まれた時点の上級 (専門) 学部は神学、医学、法学のみで、いわゆる理系分野は下級 (学芸) 学部の自由学芸七科に押し込められていた。近代的な自然科学が形成されるのは17世紀以降で、経済学や社会科学の原型が作られるにはさらに時間を要している。文系と理系という分類が欧米諸国に登場するのは、20世紀初頭のリッ...
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白正男(作), 山戸大輔(画), テコンダー朴 (5) (6)

単行本がコアマガジンに移籍し新装版となった際に収録話数が変更となったため、青林堂版の3巻の続きがこのコアマガジン版の5巻からとなる。 しばらくはネットのネタが続き食傷気味だったが、ここに来て皇族関係のネタを突っ込んでくるなど昔の暴走気味の勢いが戻ってきたように感じる。
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ヤニス・バルファキス(著), 関美和(訳), 父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

ギリシャの元財務大臣による経済入門書。子供向けと言うほどやさしくはないが、大人が経済の歴史を整理するのには良いと思う。 著者の予想する市場社会の未来図は興味深い。自動化、競争がコストを押し下げ、また自動化を進めるロボットは消費者ではないため需要をも押し下げる。その結果として価格が製造コストを賄えない水準まで押し下げられる。こうして起きる経済危機はマルクスの予想とも一致する。 第二次世界大戦中の捕虜収容所で生まれた経済の事例も興味深い。腐らず長持ちし持ち運...
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