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小島庸平, サラ金の歴史 消費者金融と日本社会

戦前から現代にいたるまでのサラ金や消費者金融の歴史を辿ることで、金融技術の発展やサラリーマンの実態、ひいては日本の経済史までもが見えてくる。 銀行などの金融機関から金を借りたくとも借りられない人々向けの高利貸の歴史は長く、戦前は個人間の資金貸借が盛んに行われていた。これがサラ金の源流と言える。とはいえその実態は素人高利貸に過ぎず、現代のサラ金に直接繋がる勢力が生まれるのは、戦後の団地金融を待たねばならなかった。 その団地金融の代表格が1960年代から19...
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高井浩章, おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密

お金のことをよく知る不思議な人物が一般人にレクチャーする系のマネー本。 あまりガツガツとした金儲け系ではなく、子供向けの社会教育を意識しているのがポイント。
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北野一, デフレの真犯人 脱ROE〔株主資本利益率〕革命で甦る日本

やたらと例え話が多くかえって読み辛いが、内容は頷ける部分が多い。 日本のデフレの原因を、グローバル化した株主が世界共通で求める利益率 (ROE) に求めている。この期待ROE (企業側から見ると株主資本コスト) の高さが実質的な金融引締となってデフレを招いているとの論。
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山口揚平, 知ってそうで知らなかった ほんとうの株のしくみ

株式投資の入門書。 素朴なファンダメンタルズ寄りで、個別株投資、特に小型割安成長株投資によりキャピタルゲインを得ることを推奨している。ただし、提案している投資手法の実績やエビデンスは示されない。また、推奨するしないはともかくとして、初心者向けの入門書でインデックスファンドを紹介すらしないのはいかがなものかとは思う。 それでも、有価証券報告書の読み方などをきちんと解説しているのはまだ良心的。また、原因-結果と過去-将来の2軸で企業を評価する因果のマトリクス...
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ジョン・ケネス・ガルブレイス(著), 鈴木哲太郎(訳), [新版] バブルの物語 人々はなぜ「熱狂」を繰り返すのか

バブルを引き起こす陶酔的熱病 (ユーフォリア/Euphoria) は繰り返し起こる現象であり、それから身を守るのは集団的狂気へ突っ走ることに共通する特徴の認識であるとと説く。それは具体的には、金融の天才の登場であったり、てこ (レバレッジ) の再発見であったり、何か新奇らしく見えるものであったりする。古典的なケースであるチューリップ狂やサウスシー・バブルでもこれらの特徴が見られる。 本書は徹頭徹尾、警告の書として書かれている。金融上の記憶は高々20年程度 (新...
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合田真, 20億人の未来銀行 ニッポンの起業家、電気のないアフリカの村で「電子マネー経済圏」を作る

日本植物燃料株式会社を創設した合田真の自伝。 細かいビジネスの話の前に、"新しいお金のものがたり" と称する新たな経済構造の仕組みを提案しているのが興味深い。歴史上散見される金利の禁止が、現代のような資源制約期 (原油生産量がピークを迎えている) では合理的だと論じる。この思想が複利で稼ぐのではない収益分配型モバイルバンクのビジネス立ち上げにつながっている。
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ヤニス・バルファキス(著), 関美和(訳), 父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

ギリシャの元財務大臣による経済入門書。子供向けと言うほどやさしくはないが、大人が経済の歴史を整理するのには良いと思う。 著者の予想する市場社会の未来図は興味深い。自動化、競争がコストを押し下げ、また自動化を進めるロボットは消費者ではないため需要をも押し下げる。その結果として価格が製造コストを賄えない水準まで押し下げられる。こうして起きる経済危機はマルクスの予想とも一致する。 第二次世界大戦中の捕虜収容所で生まれた経済の事例も興味深い。腐らず長持ちし持ち運...
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冨田和成, 資本主義ハック 新しい経済の力を生き方に取り入れる30の視点

資本主義社会の攻略本。資本主義の未来を楽観視した上で、アービトラージを推奨する。 金融資本の運用一辺倒ではなく、元手を生み出すための人的資本の形成に半分以上を割いているのが特徴。その上で課税や社会保障を "重力" と呼び、重力の大きい人的資本から重力の小さい事業資本へシフトしていくことを勧めている。 金融資本の運用部分はプロと競合しにくい長期投資や新興銘柄を推奨。期限を切らない長期の大きな予測は概ね外れず、板が小さい新興銘柄はアービトラージの余地が生じや...
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野口悠紀雄, 金融危機の本質は何か ファイナンス理論からのアプローチ

ファイナンス理論のまともな入門書。 ややもすると疑似科学扱いされがちなファイナンス理論だが、実はきちんとした科学的な学問である。その証拠に、ファイナンス理論を用いても金儲けはできないとして、ヨーロッパやアメリカの伝統的・禁欲的な大学にも受け入れられている (中には工学すらも学問として受け入れていない大学もあることに注意)。 ファイナンス理論の内容は高度ではあるが、結論は極めて常識的なものだ。詐欺や犯罪行為によらず市場平均より高い収益率を継続的にあげられる...
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ジョシュア・ガンズ(著), 松田和也(訳), 子育ての経済学

経済学者の視点から見た子育て本。 子育ては子供との交渉ごとであり、子供は手強い取引相手とみなすとすべてがしっくりと来る。報酬に関して明確かつ客観的なルールを決めるのはどの親でも一度は試みることだろうが、子供たちはそんなルールに対して容易にルールのすきを突いてくる。トイレの成功にチョコレートの報酬を設定すれば、子供は一度のトイレで全部出しきらずに何度もチョコレートをせしめる戦略を覚えるのだ。
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