fiction

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詠坂雄二, 電氣人閒の虞

遠海事件以来久しぶりの詠坂雄二。ホラーかと思わせつつ、最後はきちんとミステリとして落としてくれた。それだけに終わらず、最後の一文の壮大な引きを入れるあたりはやはり只者ではない。 なお文庫版の解説は完全なネタバレなので、これから読む人は要注意。
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芦沢央, 許されようとは思いません

表題作の "許されようとは思いません" が秀作。ホワイダニット型の安楽椅子探偵モノだが、因習が残る地方の舞台設定と勘のいい探偵役の彼女という組み合わせが見事。文体も読みやすい。
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清涼院流水, コズミック

バーナード嬢曰く。での取り上げ方が気になって読んでみた。 壁本として酷評される理由は、その分厚さにあると感じる。最初からまともな密室トリックとして解決する気が感じられない事件を延々と19本も読まされるのはなかなか厳しい。
comic

藤子・F・ 不二雄, ドラえもん (0)

藤子・F・ 不二雄がドラえもんをコロコロコミックや学年誌の学年別に描き分けていたのは有名な話で、てんとう虫コミックス版はそれらからよりぬいて加筆修正したものとなっている。それだけに単行本に収録されていない作品も多々あるわけで、それらを完全収録した藤子・F・不二雄 大全集も刊行されている。その中で本書はドラえもんの連載第1話だけをすべて収録した簡易版とも言えるものだが、第1話を読むだけでもストーリーも台詞の言葉遣いも丁寧に読者の年代に合わせていることがよく分かる。てん...
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しりあがり寿, ジャカランダ

マンガというよりは前衛芸術と言った方が適切かもしれない。作品の意図もテーマもわからないまま、なぜか惹き込まれてしまう。しりあがり寿なのでオチへの壮大な前フリかとも思ったが、最後までギャグなしのままで肩透かしを食う。
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池波正太郎(原作), 山田芳裕(漫画), 仕掛暮らし

へうげものの流れで時代モノ。迫力ある見開きこそないものの山田芳裕らしさがそこかしこからにじみ出ているのが良い。
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川添愛, 白と黒のとびら オートマトンと形式言語をめぐる冒険

おそらく世界初のオートマトン小説。有限オートマトンから始まり、プッシュダウンオートマトン、線形拘束オートマトン、チューリングマシンといった情報工学の理解に欠かせない理論を小説形式で楽しく学べる。 特に序盤は一番の基礎となる有限オートマトンを噛んで含めるように説明してくれるので、初学者にもお勧めできる。中盤以降はやや駆け足な印象があるが、一つ一つの課題を主人公とともにじっくりと解いていけば決して理解できない内容ではない。
comic

Q.B.B., 久住昌之(作), 久住卓也(画), 古本屋台

古本屋台というどう考えてもありえない設定ながら、そのぬくもりがリアルに感じられる不思議な作品。泉晴紀とはまた違った味のある絵も良い。
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西村賢太, 人もいない春

今回は秋恵と出会うまでの若い時分のエピソードが中心。時期は違えど、自ら他人との関係を壊していく難儀な生き方と読後感の悪さは共通。 珍しく私小説以外の小説 "悪夢――或いは「閉鎖されたレストランの話」" も収録されている。こちらも怖いもの見たさで氏の小説を読んでいるところを満足させてくれる佳作。
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秦建日子, 推理小説

googlabilityの低いタイトル。著者は本業がシナリオライターとのことで、その色眼鏡のせいもあるかもしれないが、映像化前提のキャラクター造形と感じる。
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