sociology

book

ロナルド・ドーア(著), 石塚雅彦(訳), 働くということ グローバル化と労働の新しい意味

昨今の規制緩和の波に乗って、国内外の競争が激化し、職場での競争までもが激化している。その中で労働者が仕事と生活のバランスを取って幸福となるには、"働くということ" の意味を真剣に考えなければいけない。本書はその思索に必要なデータ一式と問いが揃っている。
book

朝日新聞取材班, 負動産時代 マイナス価格となる家と土地

人口減少・高齢化の中で必然的に発生する家余りにスポットを当てたドキュメンタリ。負動産に関する諸問題がコンパクトに詰め込まれた良書。 登記制度の問題から相続人が増え続けて身動きが取れなくなった不動産の実例を皮切りに、バブル期に乱造されたリゾートマンション、需要を大きく超えた建築ラッシュを生んだサブリースアパートなど、様々な不動産問題を扱う。それを面白おかしく取り上げるだけではなく、登記制度、不正確な公図、対策特別措置の限界など、それらの問題を生み出す構図にも踏み...
book

猫組長, 西原理恵子, 猫組長と西原理恵子のネコノミクス宣言

元経済ヤクザによる経済コラム。西原理恵子のマンガは巻頭のみ。 すぐに活用できるようなネタは多くないが、読み物や話のネタとしては満点。その中で、HSBC等の海外口座開設の審査の通し方は数少ない実用的な内容。
book

阿部珠理, メイキング・オブ・アメリカ 格差社会アメリカの成り立ち

アメリカ先住民の研究者が描く、アメリカの不平等社会の成り立ち。 白人とインディアン、ピューリタンと非ピューリタン、南部貴族と黒人奴隷、ワスプとマイノリティ、資本家と労働者など、アメリカの歴史が格差の歴史そのものであることがよく分かる。それでも救いがあるのが、持たざるものにも社会上昇の機会があること。例えば、新たにやってきた移民労働者は労働者ピラミッドの最下層を形成し、それまでの移民労働者はピラミッドを一段上昇するという社会構造が挙げられる。
book

トマス・J・スタンリー(著), 広瀬順弘(訳), 橘玲(序文寄稿), 1億円貯める方法をお金持ち1371人に聞きました

となりの億万長者の続編。 それ以上資産が増えても幸福度が上がらない1億円 (100万ドル) をお金持ちの基準とし、それ以上の純資産を持つお金持ちの調査結果をまとめている。 お金持ちは自身が経済的に成功した要因として、誠実、自己鍛錬、社会性、配偶者の支え、勤勉を挙げている。運の要素を挙げている人は少ない。対照群との比較がないのとsocial desirability biasを考慮していないように見える点が疑問ではあるが、世間一般のイメージとは異なる興味深...
book

丸山ゴンザレス, 世界の危険思想 悪いやつらの頭の中

殺人犯やドラッグユーザー、武器商人など、一般的な日本人とは異なった常識を持つ人々へのインタビュー集。労作という範疇を超えて大きなリスクをとった著作。 彼らの思想は簡単に理解できるものではないが、彼らなりの理屈があり筋があることはわかる。これらを拒絶してしまうことは簡単だが、その思想に正面から向かい合うことで世界を少し広げることができる。
book

橘玲, 上級国民/下級国民

先進国で進んでいる上級国民/下級国民への階層分断についての考察。 前半は主に日本社会で下級国民が生み出された背景を探り、仕事が嫌いで会社を憎みながら長時間労働をしそれでも生産性が低い日本のサラリーマンにその原因を求める。この理由を更に追い求めると、団塊の世代の雇用を守り続けたことに行き着く。その影で割りを食ったのは若い男性だ。そして令和は団塊の世代の年金を守り続ける時代になると予想する。 後半では世界レベルでの上級国民/下級国民への階層分断がなぜ起こって...
book

辻田真佐憲, たのしいプロパガンダ

プロパガンダの中でも、音楽や映画といった娯楽による "たのしいプロパガンダ" を紹介した本。表紙もロトチェンコのパロディ。 大日本帝国、ソ連、ナチ、北朝鮮、韓国、オウム真理教、イスラム国、現代日本と、さまざまな時代と地域の "たのしいプロパガンダ" を取り上げている。所変われどその本質は変わらず、人気芸能人や芸術家までをもフル活用してプロパガンダに励んでいた様子が見て取れる。また、現代の事例も取り上げられており、ロシアやウクライナのSNSを活用したプロパガンダ...
book

コンビニ加盟店ユニオン, 北健一, コンビニオーナーになってはいけない 便利さの裏側に隠された不都合な真実

コンビニの告発本。コンビニ全般ではなくセブン‐イレブンに偏っており、ファミリーマートの事例が少々ある程度。また、加盟店オーナー側の主張がほとんどで、フランチャイズ側の言い分はほぼなし。 それでも、具体的な事例が多数掲載されており、告発本としての意義は果たしている。いわゆるコンビ会計などのよく知られた問題に加え、加盟店の財務諸表で本来買掛になるべき部分を与信として金利を発生させているという問題に踏み込んでいるのは興味深い。
book

堤未果, (株)貧困大国アメリカ

ルポ 貧困大国アメリカ IIに続いてもう一冊。 シリーズ完結編で、貧困を生み出す巨大企業と政府の癒着を見事に描ききっている。大企業に絡め取られる農場経営、GM種子による食の支配、切り売りされる公共サービス。どれも現在のアメリカを理解する上で欠かせないものばかり。特に公共サービスの崩壊については、民間企業が運営する自治体Public Private Partner (PPP) の動向も取り上げられており興味深い。
タイトルとURLをコピーしました