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川尻 こだま, あたしゃ川尻こだまだよ (1)

川尻こだまのマンガがついに単行本化。投稿をまとめただけのKindle本もあるが、こちらは一応描き直しと描き下ろしもあり。装丁も無駄に豪華。

川尻こだまには第二の西原理恵子の呼び声もあるが、そこまで攻めた作風でもなく、その乱れた食生活を中心とした日常系が中心。

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Steve Jackson (British), The Tasks of Tantalon: Puzzle Quest Book

あのSteve Jacksonによるパズル本。検索中に引っかかり、懐かしくなって購入。日本語版の方は結構なプレミア価格がついているが、英語版の原著の方はもう少し現実的な価格で手に入る。

シンプルながらも歯ごたえのあるパズルばかりで、子供向きの絵本と誤解して舐めてかかると痛い目を見る。特に完全攻略をしようとすると、休日を一日潰す覚悟が必要になる。

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小島庸平, サラ金の歴史 消費者金融と日本社会

戦前から現代にいたるまでのサラ金や消費者金融の歴史を辿ることで、金融技術の発展やサラリーマンの実態、ひいては日本の経済史までもが見えてくる。

銀行などの金融機関から金を借りたくとも借りられない人々向けの高利貸の歴史は長く、戦前は個人間の資金貸借が盛んに行われていた。これがサラ金の源流と言える。とはいえその実態は素人高利貸に過ぎず、現代のサラ金に直接繋がる勢力が生まれるのは、戦後の団地金融を待たねばならなかった。

その団地金融の代表格が1960年代から1970年代にかけて消費者金融界の東西の両横綱と称された森田商事と日本クレジットセンターである。彼らは当時最先端の金融技術 (フィンテック) として、日本住宅公団による厳しい入居審査を通過した団地入居者を狙い撃ちして貸付することで、貸付審査コストを大幅に節約することに成功し勢力を伸ばした。1960年代からは現代のサラ金に直接繋がるアコム、プロミス、レイク、武富士、アイフルらが誕生し、それぞれ独自の金融技術を駆使してのし上がってくる。連帯保証人を取るアコム、上場企業社員に限定して貸付したプロミス、命懸けの接待で巨額の資金を調達した武富士、いずれも金融技術の革新により大きな成長を遂げてきた。

その後、1970年代の第一次サラ金パニック、1980年代の第二次サラ金パニック、2000年代の改正貸金業法と、様々な逆風がサラ金を襲い、現在はその栄光を喪失した時代と言える。それでも信用保証や債権回収の事業の拡大、アジア圏への進出、メガバンクの傘下入りなどで生き残りを図れているのは、積み重ねてきたその泥臭いながらも強靭な金融技術のおかげと言えるだろう。

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飯山陽, イスラム2.0 SNSが変えた1400年の宗教観

イスラム教は神の言葉を書き留めたコーランや預言者ムハマンドの言行録であるハディースといった啓示に従うのがその本義である。ところが、発祥以来1400年間のイスラム1.0は啓示の知識を法学者が独占することで、イスラム法と啓示の乖離を許容しながらも現実と折り合いをつけ、社会の安定に努めてきた。しかしながら、インターネットを通じて啓示テキストに簡単にアクセスできるようになると、原理主義的なイスラム2.0が台頭してくるようになった。このイスラム2.0の最も先鋭的な姿がジハード主義者であるが、イスラム教がコーランとハディースという啓示を絶対的な価値として掲げる以上、従来の宗教エリートも啓示に忠実にジハードを行う者を否定するわけにはいかない。この構図で見ると、現在のイスラム教改革が行き詰まる理由がよくわかる。

一般的な日本人にはなかなか受け入れがたいイスラム教であるが、上述の啓示の絶対視を始点に考えると実に筋の通った宗教である。近代的な政教分離もイスラム教の立場では神の命令に背く不自然な政治に過ぎない。時代や人々の考えの変化に合わせて法や制度を変えるべきという考えも近代的価値観に過ぎず、気まぐれに変わる時代や人の気分に左右されない天賦の無欠缺なイスラム法にこそ価値がある。イスラム教徒から見ると、近代的価値観は啓蒙されていない未開の人々に映る。近代的な視点からはイスラムには平和、自由、平等がないように見えるが、それはまったくの誤りで、彼らの平和、自由、平等が近代的な平和、自由、平等と異なるだけである。

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橘玲, 働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる

日本人の働き方が、日本型雇用 (働き方1.0) からグローバルスタンダード (働き方2.0) を経て、ギグエコノミー (働き方4.0) に至るという主張。そもそも1.0から2.0への移行に苦労している組織も多いが、ようやく追いつく頃には世界の最先端は4.0に向かっているだろう。

ギグエコノミーとは要するにフリーエージェントやインディペンデント・ワーカーのことで、組織に所属しない働き方を指す。企業側は年金、保険、福利厚生といったコストを削減でき、労働者側は自由度や柔軟性が増すというメリットがある。もちろん、シェアリングエコノミーで露呈したように体のいい低賃金労働者を増やすだけという批判も根強いが、このギグエコノミー化の流れは止めようがないだろう。

このギグエコノミーを実現したのは、やはりテクノロジーがスマートコントラクトを実現しつつある点が大きい。ロナルド・コースによると、そもそも今まで多くの取引が市場ではなく会社組織内で行われていたのは、市場の取引費用 (検索コスト、交渉コスト、契約コスト、監視コスト) が高く、内製化がそれを押し下げる効果があるからである。市場の取引費用が十分に下がれば、会社組織で内製する理由が薄れるのは必然である。

とはいえ、会社組織が完全になくなるかというとそこまで単純な話でもない。これを説明するのが、サンフォード・グロスマンとオリバー・ハートによる不完備契約理論と残余コントロール権である。起こりうる偶発事象がすべて網羅されている完備契約が実現できるのであれば、そもそも所有権に価値はない。所有権は、契約になく、契約によって制限されない残余コントロール権に過ぎない。現実には完備契約が不可能である以上、想定外の事態が起きた際の残余コントロール権を行使する存在としての会社組織はなくなることはないだろう。

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服部昇大, 邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん (6)

今回は江波先生によるエヴァ回が中心。描き下ろしも江波先生による庵野話。もちろんこのマンガが新劇場版のベタ褒めだけで終わるはずもなく、旧劇時代からの率直な感想が語られるので、リアルタイムで追いかけてきた世代の人間ならきっと共感できる。

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齋藤孝, 50歳からの孤独入門

人生の下り坂を意識せざるを得ない50歳の生き方指南。特にきちんとした会社員を務めてきた人は自分のプライドやアイデンティティとの折り合いをつけながら生きる術を考えなければいけないのだと思う。

人生のゲームオーバーのときが見えてきた頃のお金との付き合い方の話には感じ入るものがある。本書の述べる

死んだときに100億円持っていても1億円持っていても変わらない。

「50歳になったときの預金通帳が、あなたのこれまでの人生の通知表です」

はいずれも一つの真実ではあると思う。世の中のマネー本にはまるで永遠に生きることを前提にしてお金を積み上げ続けることを良しとするようなものもあるが、50歳ともなると死ぬまでに使いきれるかを考えなければいけなくなる。それでもその年代での資産は一つの成功の指標ではあり、この後の大逆転はまずない。

また、50歳を過ぎて先が見えると執着がなくなり本を捨てられるようになるとの論にはまだまだピンとこない。50歳になる頃にその境地に辿り着ける気もしない。

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青柳碧人, 赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。

ちょっと色物のミステリ本。赤ずきん、シンデレラ、ヘンゼルとグレーテル、眠れる森の美女、マッチ売りの少女と誰もが知っているおとぎ話を題材としながらも、どの作品もきちんと一ひねりが入っている。特に登場人物の性格はどれも大胆な新解釈を入れている。かなり吹っ飛んだ性格の赤ずきんを名探偵役に据えたのも見事。

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九井諒子, ダンジョン飯 (11)

今回は料理ネタは少なめだが、ライオスの食へのこだわりが問題を解決していく構成はお見事。

だいぶ人間関係が複雑になってきたので新刊が出るたびに既刊を読み返さなければ苦しくなってきた。

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吉本浩二, 定額制夫のこづかい万歳 月額2万千円の金欠ライフ (3)

さすがにステーション・バー村田のような大物はそうそう出てこないが、今巻も甘味の成瀬、ダイソー岩倉など粒ぞろい。彼らの決めゴマの恍惚の表情、特にその眼力は吉本先生にしか描けないものだと想う。

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