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平本久美子, やってはいけないデザイン

初心者向けのデザイン入門書。素人がやりがちな間違いを広く網羅しており、自分もやってしまっている間違いがいくつも見つかった。そのまま使える改善案が載っているのも嬉しい。

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水島弘史, 水島シェフのロジカルクッキング 1ヵ月でプロ級の腕になる31の成功法則

水島シェフの著作を手にするのは美味しさの常識を疑え! に続いて3冊目。

塩加減、火加減、毒出しの基本に基づく31のレシピ集。いずれも馴染み深い料理ながら、食材の重量に対する厳密な食塩量、弱火や弱い中火を基本とした火加減、低温での毒出しを徹底している点が他のレシピ集とは一線を画している。

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いしたにまさき, ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である

ネット上で活躍しているブロガー、文化人、エンジニア、著名人ら110人へのアンケートとその分析。

アンケート結果の生データをそのまま掲載しているのは珍しい。そのまま読むには少々退屈だが、興味がある人の回答を読めるのは嬉しい。

回答は雑多で明確な傾向を見出すのは難しいが、数少ない共通点が継続ということ。コンテンツの蓄積による情報の厚みがネット上では力になる。

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Visual Studio Codeをemacs風 (時々Windows風) に使う

長年Windows上ではxyzzyで生活してきたが、更新が止まって6年以上ということもありさすがに苦しくなってきた。今風の開発をしようとすると、今風のエディタが欲しくなる。そこで、Visual Studio Codeに宗旨変えすることとした。Visual Studio Codeは完成度の高いエディタで、今風の開発に必要なものはすべて揃っている。動作も軽快な部類で文句の付け所がない。

しかしながら、さすがにキーバインディングだけはemacs風にしないと生活できない。同じ病を抱えた人が多数いるため、さまざまなextentionが公開されている。とりあえず評判の良さそうなAwesome Emacs Keymapを導入することにした。まだ使い始めて日が浅いが、大きな問題はなさそうだ。

ここで恥を忍んでお話すると、実はemacsのキーバインディング100%で生活しているわけではなく、undo, cut, copy, pasteだけはWindows風のショートカットを好んで使用している。こればかりは他のアプリケーションとの兼ね合いもあり、どうしても必要だ。xyzzyではこの部分をうまくサポートしてくれるwinkeyを使用していた。

Visual Studio CodeとAwesome Emacs Keymapの組み合わせでは、デフォルトでもC-z, C-cは期待通りに動作してくれる。Windows上ではsuspend-frameは使わないし、ユーザ用に予約済みのキーバインディングを借用しても問題ない。

ところが、C-vはscroll-up-commandに割り当てられているので、これを明示的に殺す必要がある。Happy Hacking KeyboardではPg Up/Dnが便利な場所にあるので普段はそちらを使用しており、C-vを殺しても不便がない。これには、Keyboard Shortcutsの設定から削除するか、keybindings.jsonに以下を追記すれば良い。

{
    "key": "ctrl+v",
    "command": "-emacs-mcx.scrollUpCommand",
    "when": "editorTextFocus && !suggestWidgetVisible"
}

もう一つの問題はC-xで、Prefix Keyとしてあまりに広く使われているため、C-vのようにそのまま殺すわけにはいかない。そこで一工夫し、テキストが選択されている場合のみcutとして動作し、その他の場合はemacs用のprefix keyとして動作させる。そのためには、keybindings.jsonに以下を追記すれば良い。

{
    "key": "ctrl+x",
    "command": "editor.action.clipboardCutAction",
    "when": "editorHasSelection"
}
hack

三井誠, ルポ 人は科学が苦手 アメリカ「科学不信」の現場から

創造論を信奉するキリスト教根本主義や温暖化をでっちあげと批判する大統領など、米国を覆う科学不信に迫ったドキュメンタリー。

これらの科学不信の原因は知識の有無ではないかと思いがちだが、問題はそう単純ではない。そもそも人が知識に基づいて理性的に行動する存在というのが思い込みで、何かを決めるときに理性に頼る啓蒙主義も18世紀から広がった最近の流行に過ぎない。学校の先生から教えられた直感と反する進化論よりも、最も身近で信頼できる親から教えられ直感にも合う創造論を信じてしまう子供がいるのも不思議ではない。

政治的な観点からは反エリート主義と知性への反発がある。米国の民主主義の源流には欧州貴族への反発があり、権威への反発は容易に知性への反発に至ってしまう。かつてのタバコ業界のように自分たちの利益のために反エリート主義につけ込もうとする人たちもいる。

最近の科学が産業活動に伴う環境の悪化を暴き始めたのも大きな材料だ。政府の規制に反対する保守派が、環境保護を求めて自由な産業活動を脅かす「緑の恐怖」へ反発するのも無理はない。さらには、同じく環境規制や進化論を嫌う福音派も手を組み、共和党の支持基盤を形作っている。

科学者の側にも問題がないわけではない。近代科学は論理 (Logos) に大きく偏っており、コミュニケーションに必要な信頼 (Ethos) や共感 (Pathos) を軽視してきたのは否めない。

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鈴木優, 1秒で見抜くヤバい麻雀心理術

最近はネット麻雀出身者によるデジタル寄りの麻雀戦術本の出版が盛んだが、それとは一線を画したリアル麻雀の戦術書。視線や表情などの仕草、打牌のリズムなどの情報に特化した本は唯一無二と言って良い。

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坂本雅之, ゲームシナリオのためのミリタリー事典

“ゲームシナリオのための” と付いているが、初心者向けの軍事入門書としても悪くない。細かい記述ミスは多々あるものの、最初に大筋を掴む用途であれば問題ない程度だと思う。

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NHK取材班, 暴走するネット広告 1兆8000億円市場の落とし穴

ネット広告の問題というよりも、広告を配信するアドネットワークに関する不正が中心。ネット広告の配信の仕組みの解説はわかりやすいので、初学者には良いかもしれない。

表題との関係が薄い漫画村の取材で水増しされているのは残念。取材で気軽に海外を飛び回れるのはさすがNHKだと感じる。

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ニック・ポータヴィー(著), 阿部直子(訳), 幸福の計算式 結婚初年度の「幸福」の値段は2500万円!?

幸福経済学の啓蒙書。心理学、精神医学 (精神神経免疫学) などの研究成果を根拠とした主観的な幸福度に関する研究の紹介が中心。

個人の消費活動が隣人と張り合う気持ちに左右されるというジェームズ・デューゼンベリーの相対所得仮説は、ミルトン・フリードマンの恒常所得仮説と相容れないこともあり、主流派経済学からは軽視されていた。しかしながら、金持ちはたいてい貧乏人よりも貯蓄率が高いのにすべての国民が豊かになっても平均貯蓄率が上がらないという現象をうまく説明できるのは相対所得仮説の方だ。また、エルゾ・ラットマーの研究は、近所に住んでいる人の平均収入が人々の幸福度に影響を与えることを示している。貧乏とは相対的なものなのだ。

アンドリュー・オズワルドの研究は、幸福には値段がつけられることを示した。幸福度を唯一の尺度とすることで、人生に良くないことが起こったときにいくら収入が増えればそれを埋め合わせることができるかを算出することや、友情や健康といった市場で買うことができないものの金銭的価値を単純計算することができるのだ。この成果は、人間関係が幸福度に大いに影響することや、通勤にかかる時間が心理的な負担を与え続けることを明らかにした。

最後に、幸福度のデータによって導かれた結果が釈迦の教えを証明しているとする点が興味深い。欲望が苦しみを生むこと、幸福とは必要が十分に満たされた心の状態にしかすぎず、心は努力と時間を費やせば鍛えられるものであること。いずれも2,500年前に釈迦が説いていたことだ。

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篠原健太, 彼方のアストラ (1) (2) (3) (4) (5)

少年ジャンプ+で短期集中連載された作品。きちんと少年マンガをしながらSFやミステリの要素も見事に取り込んでおり、大人でも存分に楽しめる。今どきのマンガながら無駄な引き伸ばしもなく完璧なまとめ方。謎が解けた後に再読すると、そこかしこにヒントが散りばめられていることに気付き、作者の構成力の高さがよく分かる。

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