top

宮口幸治, ケーキの切れない非行少年たち

表題はキャッチーだが、中身はきちんとした発達障害の啓蒙書。現在多くの施設の治療プログラムの根幹となっている認知行動療法に異を唱え、そもそも認知能力に問題がある場合の効果が懐疑的であると説く。著者の児童精神科医としての勤務経験に基づいた理論は実に説得力がある。

book

カルロ・ゼン(原作), 石田点(漫画), テロール教授の怪しい授業 (1)

テロリストやカルトをテーマにしたマンガ。特に彼らの標的となりやすい大学を舞台に、その実態や見分け方を学べる。

comic

新庄耕, 地面師たち

今作のテーマは地面師。明示的には書かれていないが、積水ハウスの地面師事件から着想を得たのだろうと思われる。膨大な取材を重ねたことを伺わせる細かな描写の数々は著者の真骨頂と感じる。登場人物の造形も素晴らしい。

book

岡本健太郎, 山賊ダイアリーSS (1)

一旦完結した山賊ダイアリーが装いも新たに魚突きとサバイバル系キャンプで新連載。また目線が変わって面白いが、続編が出ないのは打ち切りか作者のモチベーションの問題か。

comic

岡本健太郎, 山賊ダイアリー (7)

さすがに7巻ともなるとややマンネリ感があるが、安定した面白さ。マサムネ君の引退もあり、区切りをつけるには良いタイミングか。最後は先細りの狩猟の未来をしんみりと語って締め。

comic

詠坂雄二, ドゥルシネーアの休日

詠坂雄二には、作品ごとにガラリと変わる作風に驚かされる。今作は単純なミステリではなく、アクションやサスペンスの要素を見事に織り込んでいる。事件に大きな影響を与えていることを匂わせながら一向に姿を見せない主人公 (?) も新鮮。

book

鷲田小彌太, 大学教授になる方法

ユーモアあふれる文体からネタ本かと思いきや、意外に実用的な内容。

書かれたのはバブル末期の1991年、もちろん国立大学改革など議論にも上っておらずポスドク問題も顕在化していない頃なので、まだ大学教授がおおらかな職業であった時代を感じる。また事例が人文系に偏っており、理工系は事情が異なるようにも思う。

それでも大学教授という職業をモラトリアムという視点から見つめるというのは新鮮であり、今でもそれを志向する人は読む価値がある。大学教授の給与などが包み隠さず書かれているのも良い。

book

吉本浩二, 定額制夫のこづかい万歳 月額2万千円の金欠ライフ (2)

ついにあのステーション・バー村田が登場。ネットではこの怪人のインパクトばかりが喧伝されているが、こづかい0円男や書斎を失い車で過ごす夫など他の登場人物もなかなか。1巻からの異常なポジティブさも健在

comic

橘玲, 人生は攻略できる

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法幸福の「資本」論を若い読者向けに焼き直したもの。

人生の攻略ときいて最初に思い浮かぶお金や仕事の話を中心に、現代の進化論に基づく幸福になるための情報がコンパクトに詰め込まれている。すでに氏の著作を読んでいる読者には目新しい情報が少ないかもしれないが、初めて手に取る読者の一冊目としてはお勧めできる。

book

ヤニス・バルファキス(著), 関美和(訳), 父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

ギリシャの元財務大臣による経済入門書。子供向けと言うほどやさしくはないが、大人が経済の歴史を整理するのには良いと思う。

著者の予想する市場社会の未来図は興味深い。自動化、競争がコストを押し下げ、また自動化を進めるロボットは消費者ではないため需要をも押し下げる。その結果として価格が製造コストを賄えない水準まで押し下げられる。こうして起きる経済危機はマルクスの予想とも一致する。

第二次世界大戦中の捕虜収容所で生まれた経済の事例も興味深い。腐らず長持ちし持ち運びが簡単でその魅力が共有されているタバコが通貨となり、赤十字という外部要因によりインフレやデフレが起きる様子はまさに経済の縮図だ。そして、それが「終わりの予感」により簡単に崩壊することも、現代の経済の危うさを物語っている。

book
タイトルとURLをコピーしました