self-help

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橘玲, 無理ゲー社会

出自ではなく個人の能力や業績により人生が決まるメリトクラシーな社会の構造を解き明かすのが本書の大きなテーマ。しかし、その正体が明らかになるにつれ、多くの人にとって攻略不能な "無理ゲー" であることも明らかとなってしまう。特に現代社会では生まれ持った知能が否応なしに格差を生み出してしまうが、身分制社会のように生まれのせいにすることも許されず、同じゲームに参加することが強制される。この "無理ゲー" による格差の拡大を食い止めるのは、戦争や革命、統治の崩壊、疫病などによる社会の...
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クリスティー・シェン(著), ブライス・リャン(著), 岩本正明(訳), FIRE 最強の早期リタイア術 最速でお金から自由になれる究極メソッド

いわゆるFIREムーブメントを推奨する本で、明確にFIREを打ち出した本の中では最も売れている本だろう。 かなりの部分が自伝的な内容。中国の貧しい地域出身でカナダへ移民した家族という出自もあり、徹底してお金のリアルを追求している。専攻を選択する際に得られる超過給与と学費の比率であるPay-over-Tuition (POT) スコアを重視するなど、自らの情熱よりも期待できる収入に従う姿勢はその最たるものだろう (POTスコアに優れたコンピュータ・エンジニアリングの学位を取るた...
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齋藤孝, 上機嫌の作法

私には、不機嫌さは「なんらかの能力が欠如しているのを覆い隠すため」だとしか考えられません。 という冒頭の考察は実に至言。 また、世に蔓延る上機嫌はバカで不機嫌は知的という思い込みも何の根拠もないもので、知性のある上機嫌を目指そうという本書のメッセージには共感できる。 肝心の上機嫌になる方法は散発的なtipsがずらずらと続くだけであまり体系立てられたものではないが、とりあえず思いつくものから試してみるくらいでまずは良いのではないかと思う。
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ビル・パーキンス(著), 児島修(訳), DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール

今までのマネー本はいかに資産を増やすかばかりで、その使い方についてはファイナンシャルプランナーに相談して必要な金額を見積りましょうとアドバイスするのがせいぜいだった。一方で本書はいかに資産を有効に活用して豊かな人生を送るかを述べている。そのメッセージは明快で、経験に投資をしろというもの。この方針はモノよりも経験に投資することが幸福度を高めてくれるという近年の幸福度の研究とも整合している。経験は記憶として残り、常に思い出を通して人生の出来事を再体験できる。 自身の体験以外に家族...
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宮竹 貴久, 「先送り」は生物学的に正しい 究極の生き残る技術

生物学の雑学本としてみれば著者の広い知見を楽しめる良書だが、それだけに無理にビジネスの話にこじつける必要はなかったように思う。出版社からの要請だろうか。
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橘玲, 裏道を行け ディストピア世界をHACKする

常識やルールの裏をかくことで普通の人々の上を行くHACKがテーマ。HACKする対象は、恋愛、金融、脳、自己啓発と多岐にわたる。いずれの項目も過去の著作の焼き直しの部分が多いが、現況に合わせてアップデートはされている。
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高井浩章, おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密

お金のことをよく知る不思議な人物が一般人にレクチャーする系のマネー本。 あまりガツガツとした金儲け系ではなく、子供向けの社会教育を意識しているのがポイント。
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四角大輔, 人生やらなくていいリスト

自身の成功体験が根拠の自己啓発本。 基本的に現状肯定型なので、自信をなくした人が読むのには良いかと思う。
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鷲田小彌太, 大学教授になる方法 実践篇

大学教授になる方法の続編。あとがきにも述べられているように、今回はユーモアは控えめ。 特に第2部の "大学教授になる方法・レッスン2" は、大学教授になるために必要な事項 (時間・金・体力) や研究業績の作り方など実践的な内容が多い。ただし、前作同様に理工系では少々事情が異なると思われる点もあるため注意が必要。
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橋口幸生, 言葉ダイエット メール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術

電通のコピーライターによる文章本。文章を短くする “言葉ダイエット” を提唱している。例文をBEFORE/AFTERで直していく形式だが、BEFOREの質があまりにも低く初心者向け。 きちんと構造化された文書や内容を誤りなく伝える文章は最初から放棄されおり、耳目を集める必要がある文章の書き方に特化している。それ自体は悪いことではないが、ややタイトル詐欺と感じる。後半は文章術というよりもコピーの書き方が中心。コピーライターになりたい人には良いと思う。メールの敬語表現などは業界に...