journalism

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三井誠, ルポ 人は科学が苦手 アメリカ「科学不信」の現場から

創造論を信奉するキリスト教根本主義や温暖化をでっちあげと批判する大統領など、米国を覆う科学不信に迫ったドキュメンタリー。 これらの科学不信の原因は知識の有無ではないかと思いがちだが、問題はそう単純ではない。そもそも人が知識に基づいて理性的に行動する存在というのが思い込みで、何かを決めるときに理性に頼る啓蒙主義も18世紀から広がった最近の流行に過ぎない。学校の先生から教えられた直感と反する進化論よりも、最も身近で信頼できる親から教えられ直感にも合う創造論を信じて...
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NHK取材班, 暴走するネット広告 1兆8000億円市場の落とし穴

ネット広告の問題というよりも、広告を配信するアドネットワークに関する不正が中心。ネット広告の配信の仕組みの解説はわかりやすいので、初学者には良いかもしれない。 表題との関係が薄い漫画村の取材で水増しされているのは残念。取材で気軽に海外を飛び回れるのはさすがNHKだと感じる。
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辣椒, マンガで読む嘘つき中国共産党

亡命中国人による共産党風刺マンガ。マンガ単体としての面白さはさておき、国内安全保衛に拘束された強烈な体験談など、中国共産党の実態を知るために有益な情報が多数。
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丸山ゴンザレス, 世界の危険思想 悪いやつらの頭の中

殺人犯やドラッグユーザー、武器商人など、一般的な日本人とは異なった常識を持つ人々へのインタビュー集。労作という範疇を超えて大きなリスクをとった著作。 彼らの思想は簡単に理解できるものではないが、彼らなりの理屈があり筋があることはわかる。これらを拒絶してしまうことは簡単だが、その思想に正面から向かい合うことで世界を少し広げることができる。
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辻田真佐憲, たのしいプロパガンダ

プロパガンダの中でも、音楽や映画といった娯楽による "たのしいプロパガンダ" を紹介した本。表紙もロトチェンコのパロディ。 大日本帝国、ソ連、ナチ、北朝鮮、韓国、オウム真理教、イスラム国、現代日本と、さまざまな時代と地域の "たのしいプロパガンダ" を取り上げている。所変われどその本質は変わらず、人気芸能人や芸術家までをもフル活用してプロパガンダに励んでいた様子が見て取れる。また、現代の事例も取り上げられており、ロシアやウクライナのSNSを活用したプロパガンダ...
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コンビニ加盟店ユニオン, 北健一, コンビニオーナーになってはいけない 便利さの裏側に隠された不都合な真実

コンビニの告発本。コンビニ全般ではなくセブン‐イレブンに偏っており、ファミリーマートの事例が少々ある程度。また、加盟店オーナー側の主張がほとんどで、フランチャイズ側の言い分はほぼなし。 それでも、具体的な事例が多数掲載されており、告発本としての意義は果たしている。いわゆるコンビ会計などのよく知られた問題に加え、加盟店の財務諸表で本来買掛になるべき部分を与信として金利を発生させているという問題に踏み込んでいるのは興味深い。
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堤未果, (株)貧困大国アメリカ

ルポ 貧困大国アメリカ IIに続いてもう一冊。 シリーズ完結編で、貧困を生み出す巨大企業と政府の癒着を見事に描ききっている。大企業に絡め取られる農場経営、GM種子による食の支配、切り売りされる公共サービス。どれも現在のアメリカを理解する上で欠かせないものばかり。特に公共サービスの崩壊については、民間企業が運営する自治体Public Private Partner (PPP) の動向も取り上げられており興味深い。
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堤未果, ルポ 貧困大国アメリカ II

ルポ 貧困大国アメリカの続編。 今回は、学資ローンによる借金地獄、社会保証の崩壊による高齢者の転落、借金漬けにされる囚人たちなどが新たに取り上げられる。前巻に引き続き、医療改革が一向に進まない理由についても語られる。どれも近い将来に日本が同じ道を辿りかねないものである。
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フランク・ディケーター(著), 中川治子(訳), 毛沢東の大飢饉 史上最も悲惨で破壊的な人災 1958-1962

機密解除された公文書を丹念に精査し、大躍進政策の実態を明らかにした労作。 大躍進政策の期間の拷問・処刑死、餓死者の総計が4500万人以上にのぼるという推計には目を疑ったが、その丹念な調査過程を読み解いていくと、実に真っ当な推計だと納得させられる。中間人民共和国史を学ぶ上で、間違いなく必読と言える一冊だろう。 訳はあまりこなれておらず、学術的な記述が多いことと相まって、今ひとつ読みにくいのが唯一残念なところ。
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米本和広, 洗脳の楽園 ヤマギシ会という悲劇

カルト村で生まれました。で気になって読み始めたが、大変な労作だった。 何と言っても、ヤマギシ会への入会に必須となっている特別講習研鑽会 (特講) への潜入ルポが見事。観察者として臨みながらも影響を受けてしまう様子には特講の巧みさとその恐ろしさを感じざるを得ない。斎藤環ら精神医学の視点からの分析も実に興味深く、特講が (理論に基づいて構築されているかは別にして) いかに効果的で危険な仕組みかを裏付けてくれる。おすすめ。
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