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今和泉隆行, 「地図感覚」から都市を読み解く 新しい地図の読み方

みんなの空想地図の今和泉隆行の新刊。 地図を味わい尽くすための鑑賞法の数々は、地図を見る目を大いに高めてくれる。例えば道路模様一つ取ってみても、道路の網目の細かさや道路の曲がり具合から、地形やその地域の新旧、区画整理の経緯までもを読み解くことができる。 また、単に地図を楽しむだけにとどまらず、代表的な施設から距離感を掴む、道路模様から傾斜を読み取るなどの実用的なtipsも豊富に含まれている。終盤は地図の粋を超えた都市論にまで踏み込んでおり、さらに高い視点...
comic

藤子・F・不二雄, 未来の想い出

藤子・F・不二雄晩年の傑作。マンガ家の主人公、タイムスリップとやや使い古されたネタながら、それだけにマンガの上手さが際立って見える。若い時代への郷愁に人生への振り返りと、晩年の大人向け作品ならではの味も素晴らしい。
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ジョン・ケネス・ガルブレイス(著), 鈴木哲太郎(訳), [新版] バブルの物語 人々はなぜ「熱狂」を繰り返すのか

バブルを引き起こす陶酔的熱病 (ユーフォリア/Euphoria) は繰り返し起こる現象であり、それから身を守るのは集団的狂気へ突っ走ることに共通する特徴の認識であるとと説く。それは具体的には、金融の天才の登場であったり、てこ (レバレッジ) の再発見であったり、何か新奇らしく見えるものであったりする。古典的なケースであるチューリップ狂やサウスシー・バブルでもこれらの特徴が見られる。 本書は徹頭徹尾、警告の書として書かれている。金融上の記憶は高々20年程度 (新...
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隠岐さや香, 文系と理系はなぜ分かれたのか

文系と理系というよく話題に挙がる割にその正体がよくわからない区分を、科学史の観点から追いかけた良書。 文系と理系という分け方は自明なものではなく、中世に大学が生まれた時点の上級 (専門) 学部は神学、医学、法学のみで、いわゆる理系分野は下級 (学芸) 学部の自由学芸七科に押し込められていた。近代的な自然科学が形成されるのは17世紀以降で、経済学や社会科学の原型が作られるにはさらに時間を要している。文系と理系という分類が欧米諸国に登場するのは、20世紀初頭のリッ...
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宮下洋一, 安楽死を遂げるまで

スイス、オランダ、ベルギー、米国、スペインといった欧米の安楽死先進国を巡るルポタージュ。スイスに自殺幇助団体「ライフサークル」の代表であるエリカ・プライシックらへの取材を中心に構成されている。最終章では、いわゆる東海大学安楽死事件の関係者へのインタビューを通じて、日本の安楽死のあり方にも踏み込む。 もちろん、安楽死を容認している国々でも無制限に安楽死 (自殺幇助) が許されているわけではなく、国ごとに多少の差はあるものの、概ね以下のような条件を満たしている必要...
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金田淳子, 『グラップラー刃牙』はBLではないかと1日30時間300日考えた乙女の記録ッッ

noteの連載に加筆して書籍化したもの。 腐女子特有の異様なテンションの文章に圧倒されるが、それだけにとどまらないのが本書のすごいところ。本職の研究者だけあって、BL、ネット文化、マンガ史など様々な分野の知識が溢れており、脚注を読むだけでも一苦労なボリューム。 BL方面は好き嫌いが分かれるとは思うが、刃牙とBLのどちらか片方だけでも興味がある人は是非手にとって欲しい。
movie

カメラを止めるな!

今更観てみたが、当時社会現象となったのが頷ける。 何を言ってもネタバレになるので言えないが、公開時のキャッチコピーの「最後まで席を立つな。この映画は二度はじまる。」がこの映画の本質をよく表している (ことが視聴後にわかる)。
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野口悠紀雄, 金融危機の本質は何か ファイナンス理論からのアプローチ

ファイナンス理論のまともな入門書。 ややもすると疑似科学扱いされがちなファイナンス理論だが、実はきちんとした科学的な学問である。その証拠に、ファイナンス理論を用いても金儲けはできないとして、ヨーロッパやアメリカの伝統的・禁欲的な大学にも受け入れられている (中には工学すらも学問として受け入れていない大学もあることに注意)。 ファイナンス理論の内容は高度ではあるが、結論は極めて常識的なものだ。詐欺や犯罪行為によらず市場平均より高い収益率を継続的にあげられる...
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森博嗣, お金の減らし方

著者らしいひねくれたタイトルだが、"お金の使い方" と考えると腑に落ちる。お金の使い方というのは案外に難しいもので、著者も、 僕から見ると、大勢の方は、自分のためにお金を使っていない。誰か人に見せるために使っているのである。 と指摘する。この指摘は重要で、写真を撮って人に見せることができないとしたらそれを買うかと考えることが、自分にとって価値のあるものに自分のお金を使っているかを考え直すきっかけとなる。逆に本当にどうしてもやりたいことがある人はお金も時間...
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津川友介, 世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事

この手の健康食本では珍しく、きちんとしたエビデンスがある誠実な本。それだけに結論は平凡で、魚、野菜と果物 (フルーツジュースとジャガイモは除く) 、茶色い (精製されていない) 炭水化物、オリーブオイル、ナッツ類は体に良く、赤い肉 (加工肉を含む。鶏肉は含まない) 、白い (精製された) 炭水化物、バターなどの飽和脂肪酸は体に悪い、という驚きのまったくない内容。実践できているかは別として、多くの人の健康のイメージに合致するものだ。 また、これもこの種の本では珍...
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