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ビル・パーキンス(著), 児島修(訳), DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール

今までのマネー本はいかに資産を増やすかばかりで、その使い方についてはファイナンシャルプランナーに相談して必要な金額を見積りましょうとアドバイスするのがせいぜいだった。一方で本書はいかに資産を有効に活用して豊かな人生を送るかを述べている。そのメッセージは明快で、経験に投資をしろというもの。この方針はモノよりも経験に投資することが幸福度を高めてくれるという近年の幸福度の研究とも整合している。経験は記憶として残り、常に思い出を通して人生の出来事を再体験できる。 自身...
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坂井豊貴, 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

誰もが疑いなく使っている多数決だが、よくよく検討してみると存外に性質の良くない集約ルールだと分かる。棄権防止性、中立性は備えるものの、ペア敗者基準、ペア勝者 (弱) 基準といった基本的な性質を満たさないという致命的な問題がある。この問題を解決もしくは緩和する集約ルールとしてボルダルールやコンドルセ・ヤングの最尤法などがあるが、直感的な理解のしやすさなどを考えるとボルダルールが現実解だろうか。 これだけ問題のある多数決が広く採用されているのは、もちろんそのわかり...
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飯山陽, イスラム2.0 SNSが変えた1400年の宗教観

イスラム教は神の言葉を書き留めたコーランや預言者ムハマンドの言行録であるハディースといった啓示に従うのがその本義である。ところが、発祥以来1400年間のイスラム1.0は啓示の知識を法学者が独占することで、イスラム法と啓示の乖離を許容しながらも現実と折り合いをつけ、社会の安定に努めてきた。しかしながら、インターネットを通じて啓示テキストに簡単にアクセスできるようになると、原理主義的なイスラム2.0が台頭してくるようになった。このイスラム2.0の最も先鋭的な姿がジハード...
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今和泉隆行, 「地図感覚」から都市を読み解く 新しい地図の読み方

みんなの空想地図の今和泉隆行の新刊。 地図を味わい尽くすための鑑賞法の数々は、地図を見る目を大いに高めてくれる。例えば道路模様一つ取ってみても、道路の網目の細かさや道路の曲がり具合から、地形やその地域の新旧、区画整理の経緯までもを読み解くことができる。 また、単に地図を楽しむだけにとどまらず、代表的な施設から距離感を掴む、道路模様から傾斜を読み取るなどの実用的なtipsも豊富に含まれている。終盤は地図の粋を超えた都市論にまで踏み込んでおり、さらに高い視点...
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藤子・F・不二雄, 未来の想い出

藤子・F・不二雄晩年の傑作。マンガ家の主人公、タイムスリップとやや使い古されたネタながら、それだけにマンガの上手さが際立って見える。若い時代への郷愁に人生への振り返りと、晩年の大人向け作品ならではの味も素晴らしい。
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ジョン・ケネス・ガルブレイス(著), 鈴木哲太郎(訳), [新版] バブルの物語 人々はなぜ「熱狂」を繰り返すのか

バブルを引き起こす陶酔的熱病 (ユーフォリア/Euphoria) は繰り返し起こる現象であり、それから身を守るのは集団的狂気へ突っ走ることに共通する特徴の認識であるとと説く。それは具体的には、金融の天才の登場であったり、てこ (レバレッジ) の再発見であったり、何か新奇らしく見えるものであったりする。古典的なケースであるチューリップ狂やサウスシー・バブルでもこれらの特徴が見られる。 本書は徹頭徹尾、警告の書として書かれている。金融上の記憶は高々20年程度 (新...
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隠岐さや香, 文系と理系はなぜ分かれたのか

文系と理系というよく話題に挙がる割にその正体がよくわからない区分を、科学史の観点から追いかけた良書。 文系と理系という分け方は自明なものではなく、中世に大学が生まれた時点の上級 (専門) 学部は神学、医学、法学のみで、いわゆる理系分野は下級 (学芸) 学部の自由学芸七科に押し込められていた。近代的な自然科学が形成されるのは17世紀以降で、経済学や社会科学の原型が作られるにはさらに時間を要している。文系と理系という分類が欧米諸国に登場するのは、20世紀初頭のリッ...
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宮下洋一, 安楽死を遂げるまで

スイス、オランダ、ベルギー、米国、スペインといった欧米の安楽死先進国を巡るルポタージュ。スイスに自殺幇助団体「ライフサークル」の代表であるエリカ・プライシックらへの取材を中心に構成されている。最終章では、いわゆる東海大学安楽死事件の関係者へのインタビューを通じて、日本の安楽死のあり方にも踏み込む。 もちろん、安楽死を容認している国々でも無制限に安楽死 (自殺幇助) が許されているわけではなく、国ごとに多少の差はあるものの、概ね以下のような条件を満たしている必要...
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金田淳子, 『グラップラー刃牙』はBLではないかと1日30時間300日考えた乙女の記録ッッ

noteの連載に加筆して書籍化したもの。 腐女子特有の異様なテンションの文章に圧倒されるが、それだけにとどまらないのが本書のすごいところ。本職の研究者だけあって、BL、ネット文化、マンガ史など様々な分野の知識が溢れており、脚注を読むだけでも一苦労なボリューム。 BL方面は好き嫌いが分かれるとは思うが、刃牙とBLのどちらか片方だけでも興味がある人は是非手にとって欲しい。
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カメラを止めるな!

今更観てみたが、当時社会現象となったのが頷ける。 何を言ってもネタバレになるので言えないが、公開時のキャッチコピーの「最後まで席を立つな。この映画は二度はじまる。」がこの映画の本質をよく表している (ことが視聴後にわかる)。
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