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中村敏雄(著), 吉田文久(編), 中村敏雄著作集 (8) フットボールの文化論

オフサイドはなぜ反則かを中心に、中村敏雄のフットボール (サッカー、ラグビーなど) に関する著作を編集したもの。単行本未収録の論考も多いのが嬉しい。巻末にはスポーツイベントやスポーツメディアに関する評論も収録。当たり前とされているフットボールのルールを疑い、その歴史と文化を掘り下げていく姿勢はまさに中村敏雄の真骨頂といえる。オフサイド以外にも、ラインの引き方、アウト・オブ・バウンズとスローイン、メンバーチェンジなど、よくよく考えると不思議なルールは枚挙にいとまがない。それらの...
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Geoffrey Engelstein(著), Isaac Shalev(著), 小野卓也 (訳), すごろくや(調査協力), ゲームメカニクス大全 ボードゲームに学ぶ「おもしろさ」の仕掛け

ゲームメカニクスというのは比較的最近使われるようになった言葉かと思うが、要するにゲーム (ここでは主にアナログゲーム) のおもしろさを作り出す要素のこと。例えば、各プレイヤーが順にプレイする種類のゲームのターンオーダー (ターン順) という要素ひとつとってみても、固定順、順位等により変化、入札により決定、役割順、ランダムなどさまざまな方法があり、それぞれが異なるおもしさを提供する。本書は、そんなゲームメカニクスの要素をまとめたもの。もちろん頭から読んでも面白いが、ゲームを作り...
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マット・リドレー(著), 大田直子(訳), 人類とイノベーション 世界は「自由」と「失敗」で進化する

人類の生活を豊かにするイノベーションがどのような仕組みで起きるのかを豊富な事例を用いて解説する。前半はエネルギー、公衆衛生、輸送、食料といった生活を支える基礎的な分野のイノベーションの事例を取り上げ、後半はそれらの事例の共通項からイノベーションの本質を論じる。イノベーションには "やってみて学習する" という泥臭い過程が欠かせず、コストや規制により繰り返しの実験が難しい分野でイノベーションが起きることはない。原子力発電がその代表例である。イノベーションは都市 (特に自治都市)...
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マイケル・ウィットワー(著), 柳田真坂樹(訳), 桂令夫(訳), 最初のRPGを作った男ゲイリー・ガイギャックス 想像力の帝国

著者のマイケル・ウィットワーは少々潔癖過ぎるほど誠実で、裏が取れている情報と状況から推測した描写を明確に書き分けている。今後D&D史やRPG史、そしてゲイリーという人物の研究者にとってもっとも重要な資料となるだろう。文章も読みやすく、リプレイ風のエピグラフも良い味を出している。ゲイリーは家庭人としては完全に破綻しており、ウォーゲームに打ち込むあまりに家族を養うことすら危うくなっている。ゲーマーとしては立派な態度ではあるけれど。デーヴ・アーネソンとの出会い、D&Dが生まれるまで...
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雨宮純, あなたを陰謀論者にする言葉

さまざまな陰謀論やオカルトを取り上げるだけではなく、それらが相互に与えた影響を分析してるのが新しい。通底するニューエイジやスピリチュアルを軸に据えて整理すると、怪しげな自己啓発やマルチ商法の位置づけもはっきりしてくる。
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有田正規(著), 科学の困ったウラ事情

学術出版の来た道から遡ってもう一冊。現代の研究者の実態、学術論文制度の限界、不正が起きる原因など、みんなが思っているがなかなか言えないことをズバリと書いてくれた。著者は生命情報科学の研究者だが、自分の関与する情報通信分野でも他人事ではない。
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岡野原大輔, ヒトとAI

AIとの付き合い方を考える本。現在のAIはすでに一般化、因果の把握、反実仮想、転移と頑健性、説明可能性といった能力を獲得しており、外形的にはものごとを "理解" しているといえる水準に達している。しかしながら、AIは当事者性が欠如しており、判断の結果を引き受けることはできない。AIを仕事に組み込むということは、こうした不一致を前提として仕事を再設計することである。この当事者性がないという点はAIの本質によるものであり、技術の多少の進歩で解決できるものではない。AIを利用してい...
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大河内直彦, チェンジング・ブルー 気候変動の謎に迫る

気候変動の研究は様々な科学技術の集大成である。地質学はもちろんのこと、生物学、物理学、化学、あらゆる分野の発見が気候変動の研究に新たな知見をもたらす。観測技術の進歩により新たな研究が可能となることも多く、新たな発見により定説が覆り続けている。本書はそうした歴史を誠実に描いたものである。研究者の手による本であり、参考文献による裏付けがしっかりしているので安心して読める。それだけではなく、図版が非常に豊富なのが一般読者にはありがたい。科学的な内容だけではなく、関係する科学者たちの...
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ナシーム・ニコラス・タレブ(著), 望月衛(訳), ブラック・スワン 不確実性とリスクの本質 (上)(下)

決して読みやすい本ではないし、読んですぐに儲かるようになるわけでもないが、投資の本質というものを考える上で必ず読むべき本。経済の事象の多くは正規分布のベルカーブに従うものではなくむしろ対数正規分布と捉えた方が実態に近いのだが、モデルの作りやすさや扱いやすさを重視して正規分布と仮定していることが多い。本書はそれぞれを月並みの国、果ての国とユーモアを持って名付け、その差異の解説に多くのページを割いている。正規分布は外れ値である黒い白鳥 (ブラック・スワン) がいる世界を正しく予測...
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佐藤雅昭, なぜあなたの研究は進まないのか?

多くの研究者にとって耳が痛いことをズバリと書いてくれる本。40項目の質問への自問自答を定期的に繰り返したい。理工学系全般の研究者に共通の内容を扱っているが、時折挿入される実例が著者の専門の医学寄りで、異分野の研究者には今ひとつピンと来ないのが玉に瑕。