politics

book

西村晋(著), 井上純一(イラスト), 中国共産党 世界最強の組織 1億党員の入党・教育から活動まで

中国共産党と聞くと党大会のニュースで見る党中央ばかりが思い浮かぶが、それは中国共産党の頂点の部分に過ぎない。日本の報道によくある中国共産党の組織図も最上層部のみに過ぎず、実際には1億人に迫る一般党員が何層もの階層を形成して中国共産党を支えている。これだけの巨大組織をトップダウンだけで動かすのは不可能であり、ビジョンを共有して人の和 ("人和" は孫氏にも出てくる言葉であり中国の組織にも馴染みが深い) を成す必要がある。この部分を担う仕組みが中国共産党には内蔵されており、党中央...
book

奥山真司(監修), ビジネス教養 地政学

イラスト多めの地政学入門書。本当のさわりの部分だけなので、普段からこの分野のニュースを追っている人には得られるものが少ないかもしれない。
book

高橋洋一, 統計・確率思考で世の中のカラクリが分かる

全体の半分ほどの分量を占める第1章は表題通りの統計・確率の話。こちらはベイズ確率、標本、シミュレーションの基本、第一種過誤と第二種過誤など、よく誤って使われている言葉を広くカバーしている。 後半は統計・確率とはほぼ関係のない東電問題や自身の政策の話で、やや寄せ集め感がある。
comic

大石 浩二, トマトイプーのリコピン (6) (7)

打率が高いカロちゃんとサブレちゃんの登場回が多めで嬉しい。三途川渉先生との奇跡のコラボとミラクル対談も収録。
book

坂井豊貴, 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

誰もが疑いなく使っている多数決だが、よくよく検討してみると存外に性質の良くない集約ルールだと分かる。棄権防止性、中立性は備えるものの、ペア敗者基準、ペア勝者 (弱) 基準といった基本的な性質を満たさないという致命的な問題がある。この問題を解決もしくは緩和する集約ルールとしてボルダルールやコンドルセ・ヤングの最尤法などがあるが、直感的な理解のしやすさなどを考えるとボルダルールが現実解だろうか。 これだけ問題のある多数決が広く採用されているのは、もちろんそのわかりやすさに依るとこ...
comic

大石 浩二, トマトイプーのリコピン (5)

一時期は単行本の刊行が止まっており色々と危ぶまれたが、再び安定してきたようで嬉しい。 今回は三途川渉先生のインタビューや肛門のデーモンも完全収録。わかってらっしゃる。
book

飯山陽, イスラム2.0 SNSが変えた1400年の宗教観

イスラム教は神の言葉を書き留めたコーランや預言者ムハマンドの言行録であるハディースといった啓示に従うのがその本義である。ところが、発祥以来1400年間のイスラム1.0は啓示の知識を法学者が独占することで、イスラム法と啓示の乖離を許容しながらも現実と折り合いをつけ、社会の安定に努めてきた。しかしながら、インターネットを通じて啓示テキストに簡単にアクセスできるようになると、原理主義的なイスラム2.0が台頭してくるようになった。このイスラム2.0の最も先鋭的な姿がジハード主義者であ...
book

橘玲, 事実 vs 本能 目を背けたいファクトにも理由がある

週刊プレイボーイの連載 "そ、そうだったのか!? 真実のニッポン" を再構成したもの。もとがコラムだけにやや雑多な内容だが、表題ともなっている "事実 vs 本能" というテーマは通底している。
comic

ヤン・ビョンソル(著), トラッシュ(訳), 嫌日流

歴史認識には踏み込むときりがないので触れないが、それ以前にマンガとしてまったく面白くないのが致命的。どんな主義主張であってもギャグやユーモアに昇華できていればマンガとしてはアリだと考えているが、ただただ退屈な自説を垂れ流すだけでは読むのが辛い。
book

顧蓉(著), 葛金芳(著), 尾鷲卓彦(訳), 宦官 中国四千年を操った異形の集団

中国史を語る上で外すことのできない宦官システムの研究書。宦官の発生から衰退までの歴史はもちろんのこと、宦官の性器切除が肉体や精神、そして行動へ与える影響にも紙幅を割き、生き生きとした描写をしているのが特徴的。 そもそもの宦官の発生は、専制君主による多妻制を支えるためであると解く。漢武帝故事によると武帝の後宮には7-8,000人の美女が生活していたとされ、男手なしで維持することは困難であった。そんな環境で私通を回避し、后妃たちが生んだ後継ぎが間違いなく君主の子であることを保証す...