anthropology

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マルクス・シドニウス・ファルクス(著), ジェリー・トナー (解説), 橘明美(訳), 奴隷のしつけ方

ジェリー・トナーの生み出した架空のローマ貴族マルクス・シドニウス・ファルクスが、奴隷の買い方や活用法、解放までを (ローマのことを知らない読者も想定して) 語る体裁のハウツー本。古代ローマの奴隷制度は案外に複雑な制度であったことがよく分かる。奴隷の解放は (少なくとも都市部では) それほど珍しいものではなく、多くの奴隷が奴隷状態は一時的なものであると考えていたとされる。本書でもそれを反映し、奴隷の解放に一章を割いている。都市部の奴隷は単純な召使を超えた関係となることもあり、実...
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磯部涼, ルポ 川崎

表題は "川崎" となっているが、ここでいう "川崎" とは川崎市ではなく川崎区のこと。それも池上町や桜本など、一部地域に偏っている。取材対象もBAD HOPなどのヒップホップ文化周りが中心。それらの文化に興味があるのならば一読する価値があるが、これが川崎の全体像と考えてはいけない。
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丸山ゴンザレス, 世界の混沌を歩く ダークツーリスト

クレイジージャーニーの丸山ゴンザレスの手による旅行記。ジャーナリストという肩書だが、良くも悪くもテレビ的なノリ。取材自体に加えて、取材にまつわる細かなノウハウや裏事情が面白い。
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パオロ・マッツァリーノ, 会社苦いかしょっぱいか 社長と社員の日本文化史

「昔はよかった」病からさらに会社にまつわる日本文化を掘り下げたもの。コンプライアンスなどないに等しい時代のやりたい放題、マイホームの現実や通勤事情、休日の過ごし方など、当時の会社生活が現代からの想像とは大きくかけ離れたものであったことを膨大な資料に基づき検証していく。現代でも物議を醸しているビジネスマナーの歴史も面白い。
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前野ウルド浩太郎, バッタを倒しにアフリカへ

あのバッタ博士のアフリカ (モーリタニア) 渡航記。著者の溢れ出るバッタ愛と文章力で一気に読んでしまう。純粋な研究録としても、自然科学分野のポスドクの実態の生々しい記録としても、異文化交流記としても、単純な読み物としても、非常に面白い。
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柳治男, <学級> の歴史学

現代の日本の公教育で当たり前となっている "学級" だが、中世までの学校には存在しないものであった。当時は教室 (class room) すら存在せず、ひとつの教場 (school room) にまちまちの年齢の生徒が集まって教育を受けるのが一般的であった。本書は学級制に基づく学校、すなわち義務教育制度が成立する過程を丁寧になぞり、その上で現代日本の学校がはらんでいる問題を明らかにするものである。学級が存在するにはその前提として学習内容を時間割として定めておく必要がある。これ...
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ジャレド・ダイアモンド(編著), ジェイムズ・A・ロビンソン(編著), 小坂恵理(訳), 歴史は実験できるのか 自然実験が解き明かす人類史

歴史関連の学問で用いられている比較研究法のケーススタディ集。古代ポリネシアの社会政治や経済から19世紀の銀行制度まで、古今東西の様々な比較研究の事例を取り上げている。この種の学問では厳密な統制を伴う操作的実験は不可能だが、一部の顕著に異なる要因以外は似通っているシステムを比較する自然実験ならば実現できる可能性がある。もちろん、意図しない変数による撹乱、欠落変数バイアスなど注意するべき事項は様々あるが、従来のナラティブな歴史研究に得ない深みを与えてくれることは間違いない。
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三宅香帆, なぜ働いていると本が読めなくなるのか

労働と読書の歴史から、表題の「働いていると本が読めなくなる」問題に切り込む。定性的な話ばかりで定量的なデータは一切出てこないが、現代ではノイズ (ここでは自分が欲していた情報以外のもの、すなわち予想していなかった展開や知識などを指す) を含む読書よりもノイズが除去されたインターネット上の情報が好まれるという仮説は興味深い。
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西村晋(著), 井上純一(イラスト), 中国共産党 世界最強の組織 1億党員の入党・教育から活動まで

中国共産党と聞くと党大会のニュースで見る党中央ばかりが思い浮かぶが、それは中国共産党の頂点の部分に過ぎない。日本の報道によくある中国共産党の組織図も最上層部のみに過ぎず、実際には1億人に迫る一般党員が何層もの階層を形成して中国共産党を支えている。これだけの巨大組織をトップダウンだけで動かすのは不可能であり、ビジョンを共有して人の和 ("人和" は孫氏にも出てくる言葉であり中国の組織にも馴染みが深い) を成す必要がある。この部分を担う仕組みが中国共産党には内蔵されており、党中央...
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前田亜紀, カレーライスを一から作る 関野吉晴ゼミ

表題通り、カレーライスを自分たちの手で一から作ろうという試み。武蔵野美術大学の関野吉晴ゼミでの1年間の取り組みをまとめたもの。企画としては単純に面白いのだが、大学で実施する目的もルール設定の意図も最後まではっきりしない。一応のルール設定として、1年間の学期の範囲内で、自然の中から採取するか一から育てるかして、カレーライスの材料をすべて揃える、という方針が示され、このあたりまではまだ納得感がある。しかしながら、育てる場合はなるべく "自然" に近い形で化学肥料や農薬は使わないと...