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安堂維子里, 世界の合言葉は水 安堂維子里作品集

水をテーマにした、すこしふしぎな短編集。どの作品にも、非現実的ながら心奪われる一枚絵が含まれているのが印象的。
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山口謠司, ん 日本語最後の謎に挑む

日本語のひらがなのなかで最後に生まれた "ん" の歴史。当然ながら、 "ん" の歴史を辿るということは、漢字による音写に始まる日本語の歴史を辿るということになる。読み物としてはやや退屈な部分もあるが、非専門家には新鮮な驚きも多い。
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大石まさる, 環・水惑星年代記

水惑星年代記に続いてこちらも。今回も名作ぞろいで、何度も読み返してしまう。特にCROQUI'Sは好み。
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新庄耕, ニューカルマ

狭小邸宅が良かったのでこちらも。今回のテーマは、ルポは多数あるものの小説としては珍しいネットワークビジネス。追い込まれた勤め人の揺れる感情の切り取り方は実に巧み。
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東野圭吾, ある閉ざされた雪の山荘で

歴史的な作品ながら未読だったので今更ながら。いわゆる山荘モノだが、東野圭吾らしくきちんとひとひねりをきかせてある。幾重にも入り組んだ構造はお見事。
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青木雄二, 青木雄二傑作漫画作品集 50億円の約束手形

傑作漫画作品集の名前は伊達ではなく、収録作全てが傑作ばかり。初出の情報が付属していないが、初期の作品が中心だろうか。ナニワ金融道では控え目だった、マルクスやドストエフスキーの思想が色濃く溢れている。
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徳光康之, 濃爆おたく先生 (1) (2)

消費するだけのおたくとは一線を画する、妄想するガンダムおたくのギャグマンガ。一昔前のおたくだった人には間違いなく共感できる作品。
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ダニエル・カーネマン(著), 村井章子(訳), ファスト&スロー (上) (下)

示唆に富む内容が多く、付箋を付けながら読んでいたら付箋だらけになってしまった。上下巻の大著だが、豊富な例題に頷きながら気持ちよく読める。表題のFast and Slow (速い思考と遅い思考) が主題だが、著者をこの世界を代表する研究者に押し上げたプロスペクト理論の解説ももちろん含まれている。最近の脳ブームに興味のある人はもちろん、そうでなくとも骨太の科学本を読みたい向きには間違いなくおすすめできる。
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おざわゆき, 凍りの掌 シベリア抑留記

著者の実父への聞き取りを元にしたシベリア抑留記。一兵卒の主観的な視点からのシベリア抑留は実にリアルで底おそろしさを感じる。また、一次資料が少ないところをよくマンガに仕上げてくれたものだと思う。復員後のアカの扱いなども、復員者の視点で生々しく描かれている。絵柄はマンガ的なシンプルなものだが、この内容でリアルな表現ではとても読めないだろう。
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岡崎洋三, 日本語とテンの打ち方

学校の作文教育ではきちんと教えられないテンの打ち方を一冊丸ごと。著者なりの体系立った打ち方の理論があるわけではなく、様々な例文を持ち出してきては都度解説をするスタイル。例文はやや新聞贔屓が過ぎるか。本書中に著者の経歴が書かれていないので想像に過ぎないが、新聞出身かもしれない。