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book

ポール・コリアー(著), 甘糟智子(訳), 民主主義がアフリカ経済を殺す

最底辺の10億人の続編的内容。 最底辺国の独裁者の視点に立って民主主義を取り入れる際のオプションを検討する思考実験は、見事に彼らの行動原理をあぶり出しており興味深い。 翻訳はあまり読みやすいものではなく、特に抽象度の高い部分はかなり苦しい。
book

法月綸太郎, 山口雅也, 有栖川有栖, 加納朋子, 西澤保彦, 恩田陸, 倉知淳, 若竹七海, 近藤史恵, 柴田よしき, 不条理な殺人

短編ミステリ10本を収めたアンソロジ。全体的に小粒な上、やや質のばらつきが大きい印象。 中では、法月綸太郎のトゥ・オブ・アスがベストか。
comic

岡田壱花(作), 富田安紀子(画), 日之丸街宣女子

画はどことなく安永航一郎風味と思って調べてみたら、ファンロード出身者であったか。 マンガとして面白いかと言われると少々疑問ではあるが、啓蒙書としては比較的良いつくり。
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ハリイ・ケメルマン(著), 永井淳(訳), 深町眞理子(訳), 九マイルは遠すぎる

安楽椅子探偵ものの古典だが、実は読んだことがなかった。 表題作の出来が突出しているように感じる。翻訳は及第点。
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Gever Tulley(著), Julie Spiegler(著), 金井哲夫(訳), 子どもが体験するべき50の危険なこと

TEDのプレゼンテーションを膨らませて書籍化したもの。このプレゼンテーションが素晴らしいので、まずは本書の前に視聴するのがおすすめ。 企画の勝利と言える本なので、個々の項目自体はそれほど特筆すべきことはない。しかしながら、その背景にある精神には学ぶところが多い。
book

橘玲, 言ってはいけない 残酷すぎる真実

亜玖夢博士のマインドサイエンス入門や不愉快なことには理由があるの延長線上にある本で、脳科学や遺伝学の動向をいつも通りの語り口で伝えてくれる。 読み物としてはやはり面白いのだが、まだ専門家の間でも議論があるような内容をかなり断定的に書いている点には注意が必要。
book

小林カツ代, 小林カツ代のお料理入門

の新装版。 ただのレシピ集で終わらず、独特の語り口で料理の勘所を伝えてくれるのが得した気分。どのレシピも奇をてらわず基本のお惣菜と言えるものなのも良い。
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ジョン・マクミラン(著), 瀧澤弘和(訳), 木村友二(訳), 市場を創る バザールからネット取引まで

市場の設計に関する経済学の観点からの論考。啓蒙書のためか、数式はほぼなし。 著者の専門であるゲーム理論やオークション理論に重みがある印象。世界の様々な市場を題材に扱っており、机上の空論となっていないのが良い。
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荒木飛呂彦, 荒木飛呂彦の漫画術

マンガの教本によくある小手先のテクニックではなく、より骨太な内容。新書で出してしまうのがもったいなく感じる。 長年商業誌で一線を走ってきた著者だけあり、独りよがりにならず読み手を強く意識しているのがよく分かる。
book

谷岡一郎, 負け方の王道

正しい負け方の解説。 長年、ギャンブルに関連する研究に携わってきた著者だけあり、ビジネスだけではなくギャンブルを例にあげての解説に多くのページを割いている。やや説教臭いところはご愛嬌だが、内容は示唆に富む。