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book

ダニエル・L・エヴェレット(著), 屋代通子(訳), ピダハン 「言語本能」を超える文化と世界観

いわゆる普遍文法の枠に納まらない (と主張される) ピダハン研究の第一人者による著作。一般向けの啓蒙書で、現地のエピソード中心のため、言語学の知識がなくても楽しめる。他の多くの言語に見られる数の概念、創造神話、再帰、間接的な体験の表現といった多くの要素が欠けているとされるピダハンの存在には、専門の学者ならずともワクワクさせられる。また本書ではあまり詳しく語られないが、キリスト教の伝道師として現地入りした著者が逆に改宗に至ったというエピソードも実に興味深い。
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別冊宝島取材班, 住宅情報誌が書かない コワ~い不動産の話

コワ~い不動産の話やコワ~い不動産の話2の続編。週刊誌的な煽りは相変わらずではあるが、不動産購入経験がない人間には思いつきもしないトラブル事例は勉強になる。
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井川楊枝, 封印されたアダルトビデオ

宗教的な理由、関係者の逮捕、ビデ倫の審査、事務所間のイザコザ、女優の急死など、様々な理由でお蔵入りとなったアダルトビデオのエピソード集。興味本位で読み始めたが、単純なゴシップばかりではなく、表現者として限界に挑戦する姿も見えたりと侮れない。単純に読後感が最悪なエピソードも混じっているので耐性のない人は注意が必要。
comic

えびはら武司, 藤子スタジオアシスタント日記 まいっちんぐマンガ道

元藤子スタジオのアシスタントであったえびはら武司の自伝的マンガ。たかや健二のぼくの藤子スタジオ日記より、少しだけ前の時代にあたる。主に藤本先生のアシスタントを務めていたこともあり、藤本先生の人柄が伝わってくるエピソードが多数。ファンならば間違いなく読むべき。
comic

棚園正一, 学校へ行けない僕と9人の先生

不登校の少年であった著者の自伝。徹底して主観的な視点で、時間とともに変化している記憶も含まれていそうだが、それだけに当事者のリアルを感じる。他人がおそらくは何気なく言った一言が大きな影響を与えているのも切実に感じる。
book

ピーター・T・リーソン(著), 山形浩生(訳), 海賊の経済学 見えざるフックの秘密

海賊と経済学というまったく異質な組み合わせだが、これが新しい視点を供給してくれる。一見矛盾しているように見える海賊の行動の数々が経済学のフィルタを通すと実は合理的であったというのは、まさに経済学という学問の勝利といえる。実に興味深い題材を扱っていることもあり、経済の入門書として見ても良書。好き嫌いが分かれそうな山形浩生訳ではあるが、本書にはぴったりくるように感じる。
game

This War of Mine

もともとはSteamで配信されていたPC用ゲームだったThis War of Mineが、気がついたらiOSにも移植されていたのでプレイ。戦争をテーマにしているものの、その前線ではなく市民の生き残りを題材としたのが新鮮。リソースの管理が主目的のゲームで、昼の環境整備と夜のscavengeが丁度良いボリュームで繰り返され、やめ時が見つからない。攻略法が確立したあとは作業になりがちなのがやや難。
comic

能田達規, サッカーの憂鬱 裏方イレブン (1) (2)

サッカーの裏方をテーマにした連作短編集。全てのコマからサッカー愛が溢れてくる一冊。orange以来のサッカーの取材が良く活きているのも感じられる。
book

川上和人, 鳥類学者 無謀にも恐竜を語る

恐竜ファンならば、鳥類が実質的に恐竜 (竜盤類) に含まれることもご存知だろう。その類縁を活かし、現生の鳥類からの類推により恐竜の整体を推測しようという試みが本書。もちろん厳密な科学論文ではなくかなり大胆な仮説も多数含まれるが (これは著者自身も本書中で度々述べている) 、これが抜群に面白い。恐竜はどんな色だったのか、恐竜は鳴いたのか、恐竜は毒を持っていたのか、恐竜は何をどのように食べていたのか、恐竜は渡りをしたのか、恐竜はどこに巣を作っていたのか。どれも一見無謀な推論に見え...
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鳥原隆志, ビジネス偏差値 70の人の答え 40の人の答え

いわゆるインバスケット本。インバスケット本を多数執筆してる著者だけあり、問題の質は悪くない。簡易ながら自己採点ができるのも良い。