anthropology

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南直人, ヨーロッパの舌はどう変わったか 十九世紀食卓革命

19世紀に起きた社会構造の変化がヨーロッパの食生活に与えた影響を解説する。新世界から得られた新たな食材 (ジャガイモ、トウモロコシ、コーヒー、紅茶) や新たな食品加工方法の発明 (缶詰やマーガリン) はもちろんのこと、都市化に伴う人口変動や流通の発達、テーブルマナーの洗練といった社会的な要因がヨーロッパの食生活に様々な影響を与えてきたことがよく分かる。
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なかむらるみ(絵・文), おじさん図鑑

町中の "おじさん" を観察し、イラストで紹介する企画本。一部のコラムを除き、あくまで外見的な観察のみで中身にまで踏み込んでいないので、話半分で。軽い読み物としては上々の出来。
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石井光太, ニッポン異国紀行 在日外国人のカネ・性愛・死

在日外国人にスポットを当てたルポタージュ。著者が過去に海外の貧困をテーマに掲げたノンフィクションを書いていたのと関係するのかもしれないが、在日外国人一般ではなく貧困層を選択的に取材している様に感じる。それらを週刊誌的な記事と割りきって眺めるのには良い。
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ジェームス・M. バーダマン, ふたつのアメリカ史 南部人から見た真実のアメリカ

日本人の習うアメリカ史の多くが南北戦争の戦勝国である北部視点でのもの。この視点を南部のアメリカ連合国に移してみると、全く違った景色が開けてくる。アメリカは決して一枚板などではなく、現在に至っても南北の隔たりが根強く残っていることがよく分かる。
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キンマサタカ(編集), 本当は怖い昭和30年代 ALWAYS地獄の三丁目

いわゆるコンビニ500円本だが、これがなかなか。増刷もかかっている。三丁目の夕日に代表される昭和懐古ブームに対抗し、昭和30年代の悪いところだけを抜き出したもの。キレイなところだけを抜き出した作品よりもこちらの方が娯楽としてよっぽど面白い。
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奥窪優木, 川満衡, 陣恵運, 中宮崇, 野田雅也, 野村旗守, 三浦小太郎, 宮島理, 山村明義, ヤバい中国人

いつもの別冊宝島のノリで出処不詳の情報も多々あるが、それでもこのテーマに関しては大手マスコミよりもマトモに見える。扱っているテーマは幅広く、中国の怪しい食材に始まり、その国民性を表すようなエピソードの数々、チベット問題、国費留学生問題など、中国の負の面はひと通り網羅されている印象。
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森枝卓士, 食の冒険地図 交じりあう味、生きのびるための舌

ビッグ錠の表紙に少し不安になるが、内容は非常に真っ当でトンデモ度は低め。本文は比較食文化論的な内容。食のタブーの起源などやや飛躍のある箇所もあるが、読み物としては面白い。
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沖浦和光, 幻の漂泊民・サンカ

日本の山中で漂泊生活をしていたサンカの起源に関する調査書。柳田国男の唱えたロマン溢れる先住民起源説に反論し、近世後期の貧窮民が山に入りサンカ (山家) になったという説を提唱する。もっとも、サンカの歴史が比較的浅く、近世以前に存在しなかったという証明は悪魔の証明となるのでやはり難しい。調べた限りではこの時代の文献にサンカに関する記述が見あたらない、といった歯切れの悪い書き方になってしまうのは仕方のないところ。サンカ研究をする上では避けて通れない三角寛の著作の検証も面白い。膨大...
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中沢新一, 古代から来た未来人 折口信夫

折口信夫全集を読む根性のない私にとっては嬉しい入門書。よく聞く折口信夫のキーワードである "まれびと" 、"ムスビ" などの概念がきちんと押さえられていて、この道の素人にもわかりやすい。
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入江敦彦, イケズの構造

私のような関東人は絶対に京都に住めないと確信できる本。読み物としてもなかなか。