history

comic

水木しげる, コミック昭和史 (第2巻) 満州事変~日中全面戦争

コミック昭和史の続編。少しづつきな臭くなってくる日本全体と、成長してきたしげる少年の呑気さとの対比が実に印象的。一般の市民の雰囲気は実際にこんなものだったのだろう。
book

河口俊彦, 大山康晴の晩節

大山康晴を扱った本は数あれど、その晩年の粘りや執念を主題に持ってきたところがこの本の持ち味。その時代を将棋界の中から見つめていた著者ならではの作品。大山の生き方を語る上ではやはり棋譜が外せない。文中にも棋譜が多く挿入されており、その一手一手がまさにその時々の大山の内面を反映していることがよく分かる。棋譜を飛ばしながらでも筋が追えるように工夫されているが、やはりここは頑張って棋譜を追ってみたい。
book

松永暢史, この国をダメにした「学校教育」 政治家・官僚・企業トップ……ウソつきばかりを生んだ教育

第1章は現在の日本の教育ができるまでの歴史。著者のGHQ嫌いと文科省嫌いと日教組嫌いが前に出過ぎているために客観性が感じられず、読むに耐えない。さすがに教育産業に携わっているだけあり、第2章の学校教育の現状は興味深い記述がいくつかある。ただし、あくまでも主観的な記述であり、客観的な裏付けがない点は注意が必要。
comic

水木しげる, コミック昭和史 (第1巻) 関東大震災~満州事変

日本史と水木しげるの自分史とがいい塩梅。当時の市民の目から見た日本の動きがリアルに伝わってくる。のんのんばあやねずみ男と言ったおなじみのキャラクターもいい味を出している。
book

南部修太郎, 麻雀を語る

南部修太郎が改造誌に寄せた小編。こういった歴史的な作品が手軽に読めるのは非常にありがたい。決して一般の人が読んで面白いものではないが、麻雀史に興味のある方ならば一読して損はない。当時の上海の麻雀事情に加え、国内の文化人の間での麻雀交友関係も垣間見える。
book

満員電車がなくなる日 鉄道イノベーションが日本を救う

満員電車の歴史と、満員電車をなくすための方策の提言。提案されている運行方法のイノベーションは素人目にはリスクが高まりそうに見える箇所がある。例えば、コストダウンのために無線LANをこの種の基幹で利用するなど、通信屋としては非常に怖い。一方で、戦略的プライシング等の運賃のイノベーションは非常に興味深い。社会的批判さえ乗り越えられれば十分に実現性があるものと思われる。
book

高沢皓司, 宿命 「よど号」亡命者たちの秘密工作

よど号ハイジャック事件の実行犯グループを中心に、関連する対日工作を追ったノンフィクション。主体思想北朝鮮側の思惑を踏まえた推理の数々は、やや独善的な部分が残るものの、なるほどと思わせるものが多い。
book

小牟田哲彦, 鉄道と国家 「我田引鉄」の近現代史

政治の視点から見た鉄道史。鉄道絡みの歴史上のエピソードには興味深いものが多く、単純に読み物として面白い。歴史を辿り、限られた証拠から関係者の思惑を読み解き、と文句なし。ただし最終章の "海外への日本鉄道進出" は唐突に外交に関する私見が始まり、やや蛇足感がある。
book

南直人, ヨーロッパの舌はどう変わったか 十九世紀食卓革命

19世紀に起きた社会構造の変化がヨーロッパの食生活に与えた影響を解説する。新世界から得られた新たな食材 (ジャガイモ、トウモロコシ、コーヒー、紅茶) や新たな食品加工方法の発明 (缶詰やマーガリン) はもちろんのこと、都市化に伴う人口変動や流通の発達、テーブルマナーの洗練といった社会的な要因がヨーロッパの食生活に様々な影響を与えてきたことがよく分かる。
book

芝崎みゆき, 古代エジプトうんちく図鑑

古代マヤ・アステカ不可思議大全の前作にあたる本。相変わらず尋常ではない書き込みで、読み応えは十分。古代エジプトの歴史はもちろん、エジプト旅行記が良い味を出している。