history

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歴史ミステリー研究会, 封印された日本の離島

現地取材なしで掻き集めた情報で安易に作られた企画本だが、気軽に眺めるには悪くない。
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山本武利, 日本兵捕虜は何をしゃべったか

主に太平洋戦争中の日本兵捕虜からの情報流出を追った本。太平洋戦争中の日本軍の捕虜教育の杜撰さはよく知られるところだが、その他にも遺棄された作戦命令書や日記からの情報流出も連合軍側に多くの情報をもたらしている。当時の日本軍は国内や植民地での防諜には力を注いでいたものの、前線からの情報流出の認識が遅れ、気付いた後も伸びきった前線に指令を徹底できなかったことが見て取れる。米国側の視点からもよく調査されており、日本語の文書解読や尋問を担当するATIS (Allied Translat...
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ヤマザキマリ, テルマエ・ロマエ I

売れ筋のマンガを読むのはミーハーな様で悔しいのだが、これが憎たらしいくらい面白い。日本の風呂・トイレ文化を外の視点から眺めると、そのガラパゴス的な進化がよく見える。
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荒俣宏, 想像力の地球旅行 荒俣宏の博物学入門

主に近代の博物学がどのように発展してきたかを大きな流れで掴める。まだまだ未知の世界があった頃の世界探検の興奮が伝わってくる良書。さすが荒俣先生というべき蔵書の数々から採られた図版も眺めているだけで楽しい。
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斎藤美奈子, 戦下のレシピ 太平洋戦争下の食を知る

戦時中の記録のうち、婦人雑誌のレシピに目を付けたのは見事。ただし、資料をまとめましただけで終わってしまっているのが少し残念。この手の企画には、実際に試作・実食しての評価を期待してしまう。巻頭カラーに少しだけ当時のレシピに沿って調理した写真が掲げられているが、あまり本文とリンクしていない。
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ヘンリー・ペトロスキー(著), 忠平美幸(訳), フォークの歯はなぜ四本になったか 実用品の進化論

少々狙い過ぎな邦題 (原題は "The Evolution of Useful Things") な気もするが、内容も翻訳も非常に真っ当。表題の食器類の他に、ペーパークリップ、ファスナー、プルタブなど、身近な実用品の進化の歴史を追うことで、"形は機能に従う" という定説を見直そうという試み。デザインに少しでも関連のある仕事をしている人ならば読んで損はない。
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飯田進, 地獄の日本兵 ニューギニア戦線の真相

太平洋戦争中にニューギニア戦線に携わった著者により語られるその実態。当時の日本軍の南方での兵站が破綻していた様子がリアルに伝わってくる。著者の実体験に各種記録や手記の調査を加え、ニューギニア戦線各所の凄惨な事実がまとめられている。専門の学者ではないこともあり資料を素直にまとめただけだが、やはり当事者の言葉となると重みがある。
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アレックス・バーザ(著), 小林浩子(訳), ウソの歴史博物館

古今東西の世間を騒がせてきたウソを集めたもの。いわゆる hoax の類が中心で、読んでいて爽快なのが嬉しい。
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奥野修司, ナツコ 沖縄密貿易の女王

戦後混乱期の沖縄における密貿易時代を追ったドキュメンタリー。ほとんど文書としての記録が残っていない中、数少ない存命の関係者への取材でここまで調べ上げたのは素直に脱帽。タイトルにもなっている、密貿易の中心人物の一人であった金城夏子という人物が生き生きと伝わってくる。
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清水克行, 大飢饉、室町社会を襲う!

室町時代の応永の大飢饉をドキュメント形式で。飢饉の中で限られた物資が京都に集約される構造になっており、それを追って難民達も京都に流れ込んだという考察は興味深い。