history

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一条真也, ユダヤ教VSキリスト教VSイスラム教 「宗教衝突」の深層

同じ啓典宗教であるユダヤ教、キリスト教、イスラム教の比較本。からの引用が少し多めか。歴史や教義のあたりは説明も分かりやすく素人にもすらすら読めるが、最後の神秘主義に関する解説はさすがにちょっと説明不足に感じる。このあたりは元々かなり詳しい人間でないと何を言っているかがまったくわからないのではないだろうか。
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村石利夫, 麻雀101話 東南西北もの知り事典

日本麻雀道連盟会長である村石氏による麻雀雑学本。昭和51年発行とそれほど古い本ではないが、発行部数が少なく入手困難なので古書としての入手となった。この手の雑学書としても類をみない幅広い話題を扱っている。麻雀の歴史やルール・用語はもちろん、雀荘営業、種々のローカルルール、麻雀用具、麻雀古書、麻雀小唄 (!) などなど、麻雀研究をするならば押さえておくべき一冊だろう。
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縣秀彦, 天文学者はロマンティストか? 知られざるその仕事と素顔

国立天文台普及室長である著者が、現在の天文学者の生態を語った本。自分の専門分野と全く異なる分野の研究者の生態は興味深く、刺激になる。また、天文学の簡単な歴史と興味の移り変わりもコンパクトにまとめられているのでこの分野の素人にも安心。
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浜野喬士, エコ・テロリズム 過激化する環境運動とアメリカの内なるテロ

日本ではただの過激派団体としてしか報道されない過激な環境保護・動物愛護団体を読み解いた本。グリーンピース、シー・シェパード、アース・ファースト! といった主要な団体の生い立ちに始まり、その思想史的背景までをも明らかにしてくれる。それらのラディカルな運動の内在論理は単にそれらに閉じたものではなく、米国の根底に流れる市民不服従の思想まで辿ることができるという事実は、米国の考え方を知る上でも役に立つだろう。
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片桐頼継, レオナルド・ダ・ヴィンチという神話

"万能の天才" として語られ、もはや神話化された様な扱いをされることもあるレオナルド・ダ・ヴィンチの実体を追った本。レオナルドが非凡なクリエイターであったことは間違いないものの、科学・工学への貢献や先見性については多くの疑問が残るのも事実だろう。
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こうの史代, この世界の片隅に (上, 中, 下)

太平洋戦争期の広島・呉を舞台にした一人の女性の物語。この時期のこの場所を描く以上、どうしても鬱展開を避けられないわけだが、そんな中にも生活の温かさが感じられるのはさすがこうのさん。
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杉浦末郎, 麻雀入門第一歩

久しぶりに麻雀古書を購入。杉浦末郎による。残念ながら初版ではなく、昭和29年 (1954年) の再販版。初心者向けの二十二麻雀の入門書であり、ルール説明自体にはさほど目新しい部分はない。むしろ面白いのは冒頭の "一. 麻雀の起源" と "二. 日本に於ける發達の歴史" の二章。"一. 麻雀の起源" の方は、葉子戯、馬吊、同棋などから麻雀が成立するまでの流れを紹介したもの。"麻雀の起源に就いても、歴とした文献がないのだから種々の書物に少し宛載っている文章を見つけては推定していく...
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高森直史, 海軍食グルメ物語 帝国海軍料理アラカルト

自衛隊の元経理補給幹部の方の著作。レシピとして使えるかは微妙だが、読み物としてはなかなか。大半が文献調査に基づく内容だが、所々筆者が自衛官時代に海軍出身の諸先輩から伺ったエピソードなども。
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ジャレド・ダイアモンド(著), 楡井浩一(訳), 文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上巻, 下巻)

少し前のベストセラー。前作の銃・病原菌・鉄が良かったのでこちらも読んでみた。前作はなぜ一部の人種が圧倒的な繁栄を得たのかを解き明かすのがテーマだったが、今作は逆に問題解決に失敗して滅びてしまった社会に注目する。マヤやイースター島、グリーンランドなどのすでに崩壊してしまった社会の事例分析が豊富に行われているのが実に興味深い。それらの社会が崩壊した要因は、現代の先進国にとっても他人事ではないことが良く理解できる。おすすめ。
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鯖田豊之, 金 (ゴールド) が語る20世紀 金本位制が揺らいでも

20世紀の日本と世界の歩みを金本位制という視点から切り取った歴史書。歴史の教科書的な記述が続き気軽に読みにくい箇所もあるものの、金重量換算した外貨準備高を通じて国力の変動をマクロ的に眺めるという試みは非常に新鮮であり、それらは各国の継戦能力を反映しているという意味から軍事面でも興味深い。特にその軍事面に注目すると、太平洋戦争緒戦の日本の戦果が米国への膨大の金現送と軍需物資の買付に依存していたことは他の歴史書ではあまり触れられることのない事実かと思う。また、日清・日露戦争の間に...