book エリック・ブリニョルフソン(著), アンドリュー・マカフィー(著), 村井章子(訳), 機械との競争 ボリュームは軽めだが内容は濃い。テクノロジー失業がスキルの低い労働者ではなく中間的なスキルの労働者を直撃するというモラベックのパラドックスが発生するメカニズムから、その解決策の提案までを扱う。装丁はやや凝り過ぎか。紙質が厚い上にページ表記が独特なため、ページを飛ばしてしまったかと戸惑うことが何度もあった。 2015-11-03 book
book エリザベス・ダン(著), マイケル・ノートン(著), 古川奈々子(訳), 「幸せをお金で買う」5つの授業 HAPPY MONEY 白熱教室で取り上げられて話題になったらしい (そちらは観ていない) 幸福学の紹介。名前は精神論的な内容を連想させるが、実態は行動経済学に近く、実験的研究の裏付けもしっかりしている。自身の経験と照らしあわせてみても納得度が高い内容。 2015-10-10 book
book 中川基, 本当にコワい? 食べものの正体 前著のニセモノ食品の正体がなかなかの良書だったのでこちらも。前作同様、中立を意識した論考で好感が持てる。紙幅の都合もあってか各項の情報はやや浅目な点は注意が必要。自分で調べ物をする前提で読むのがおすすめ。 2015-09-03 book
book 増井俊之, スマホに満足してますか? ユーザインタフェースの心理学 スマホに限定しない、ユーザインタフェース全般の小ネタ集。あまり体系だった本ではないが、コンピュータサイエンス分野の幅広い話題で楽しませてくれる。 2015-08-18 book
book パコ・アンダーヒル(著), 鈴木主税(訳), 福井昌子(訳), なぜこの店で買ってしまうのか ショッピングの科学 小売現場のエスノグラフィの第一人者であるパコ・アンダーヒルの著書。売場作りの入門書としても一級品だが、単純な読み物としても抜群に面白い。小手先の理論だけではなく、小売の現場を観察し続けてきた重みが感じられる。 2015-06-29 book
book フランセス・アッシュクロフト(著), 矢羽野薫(訳), 人間はどこまで耐えられるのか 人間の限界というものを生理学の観点から考察した本。よくある科学ライターが書き飛ばしたような本ではなく、生理学の専門家による著作。取り上げられているテーマも、非常にプリミティブな興味を惹くものばかり。 2015-04-19 book
book 奥野幹也, 理論から学ぶデータベース実践入門 リレーショナルモデルによる効率的なSQL 著者は漢のコンピュータ道の中の人。世の中に数あるSQLの小手先の技術を解説しただけのデータベース本と異なり、リレーショナルモデルの本質の部分を攻めているのが見事。一見遠回りのように見えるが、これが本当の近道という気がする。 2015-04-03 book
book トーマス・トウェイツ(著), 村井理子(訳), ゼロからトースターを作ってみた この "ゼロから" は、自然の中にある材料から、という意味。鉄鉱石を精錬し、マイカ (雲母) を引き剥がし、銅を電解精錬し、とバカバカしくも見事な企画。何気なく使っている安価な家電製品が世界中の様々な工業的プロセスに依存していることに気付かせてくれる。著者はRoyal College of Artの学生で、卒業制作としてこのプロジェクトに取り組んだとのこと。学生故の準備不足や無計画さが目に付き、所々やむなく初心を曲げてしまっている個所もあるが、そういった細かい点を吹き飛ばすほ... 2015-04-02 book
book 川端裕人, 三島和夫, 8時間睡眠のウソ。 日本人の眠り、8つの新常識 作家の川端裕人が睡眠の専門家・三島和夫 (国立精神・神経医療研究センター) に最新の睡眠研究の事情を伺うスタイル。少々前の研究で有名になりひとり歩きしていた体内時計25時間周期説、8時間睡眠が理想とする俗説など、睡眠に関わる従来の通説を次々と斬っていくのは痛快。 2015-01-28 book
book ウイリアム・ブロード(著), ニコラス・ウェイド(著), 牧野賢治(訳), 背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか? STAP細胞の騒動を受けて緊急出版されたという触れ込みだが、話題に合わせて急遽でっち上げた様ないい加減な本ではない。原本は1982年の出版で、過去に邦訳も出ていた本を新装したもの。捏造問題は決して科学者個人の資質によるものではなく、構造的に不可避な問題であることがよく分かる。出世主義、盲信、師弟関係の圧力などの多くの要因から逃れるのは決して容易なことではない。事実、歴史的な科学者達の論文にも捏造の跡が多数発見されているのだ。 2015-01-18 book