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ビョルン・ロンボルグ, 山形浩生, 環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態

今世界中で騒がれている環境問題はそれほど致命的な問題ではないということを、大量のデータで示した本。有名どころの環境問題は一通り網羅されており参考文献も豊富なので、リファレンスとしても。一つだけ文句を付けるなら、これだけ数字が多い本は横組みにして欲しかった。山形浩生の訳は好みが分かれるところだろうが、読みやすい部類だと思う。
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神永正博, 学力低下は錯覚である

世間で良く語られる "ゆとり教育による学力低下" 論がきちんとしたマクロデータで検証されている。学力低下の主原因はゆとり教育ではなく少子化、理工系離れは女子の進学率向上が原因で男子の理工系学生は減っていない、といったあたりは言われないとなかなか気付かないもの。良くある論説に騙されないためのリテラシー本としてもおすすめ。
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河岸宏和, “食の安全” はどこまで信用できるのか 現場から見た品質管理の真実

著者は畜産を中心に、食肉処理場から食品工場、大手スーパーまでを経験された方。食品流通の暴露話はやっぱり面白い。流通側の視点から "コンビニエンスストアの食品ほど安全なものはない" という言葉が出てくるのは示唆に富む。コンビニ弁当は対面販売の食品と比較して、真空冷却後のチルド輸送などの温度管理やpH管理がきちんとなされていること、衛生管理体制が整っていること、大量生産をする必要があるため毎日原材料から作り上げていること、などは言われてみれば納得の内容。
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河合雅雄(編), ふしぎの博物誌 動物・植物・地学の32話

いわゆる科学雑学本。小ネタが32本の構成なので電車のお供に。一般向けの啓蒙書にも関わらず妙に狭くて深いネタもあるが、そこはさすがに専門家が執筆しているだけのことはある。
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芳川充, 食品の迷信 「危険」「安全」情報に隠された真実とは

比較的まともに食の情報を扱った本。類書と重なる部分も多くあまり新しい情報はないが、バランスは悪くない。フードファディズムに陥りつつある人たちには一読して欲しい。
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京都純典(企画・監修), プロ野球本当の実力がわかる本 セイバーメトリクスで見るプロ野球

海外でよく使われているセイバーメトリクスの指標を2009年のプロ野球に当てはめてみましたというだけで、独自の指標や考察などの新味はない。とはいえ、プロ野球スカウティングレポートシリーズがマンネリ化している中、こういったセイバーメトリクス系の書籍が出てくるのは嬉しい。ぜひ毎年定期刊行して欲しい。なお、各指標の一応の説明はあるので、セイバーメトリクス入門用にも悪くない。セイバーメトリクスを前面に出しておきながら、巻末の年俸に対する貢献度や、主な引退選手の年度別成績などは従来の指標...
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伏木亨, 飯島奈美, おいしさの秘密!

食の対談本なのだけれど、"おいしさ" という実体のよく分からないものを多少なりとも科学的に語られているのは面白い。
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蔵本由紀, 非線形科学

非線形動力学の権威である蔵本先生による入門書。新書だと思ってナメてかかるには難解な内容だが、それだけに知的好奇心が満たされる。
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と学会, トンデモ本 女の世界 (上, 下)

女性向けのトンデモ本の紹介。トンデモの世界は男女関係ないのだと気付かせてくれる。と学会のツッコミ芸も熟練の域に達しており、通勤中に気軽に楽しむには最適。
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西成活裕, 渋滞学

車、人、蟻、インターネットなど、様々な対象を "渋滞" というキーワードで横断したもの。待ち行列だけでは分からない世界がみられるのは興味深い。また、理論だけではなくASEP (Asymmetric Simple Exclusion Process) などを用いたモデル化にも触れられているので、この分野の研究の第一歩としてもおすすめできる。