sociology

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サラ・ウォリス(編著), スヴェトラーナ・パーマー(編著), 亀山郁夫(露語訳), 河野万里子(仏語訳), 関口時正(波語訳), 赤根洋子(独語訳), 田口俊樹(英語訳), 私たちが子どもだったころ、世界は戦争だった

第二次世界大戦期の各国の若者が綴った日記をまとめたもの。ナチスの侵略の直接的な被害者だけではなく、英国王立空軍に志願した若者、遠く離れた米国でニュースとして第二次世界大戦を知るユダヤ少年など、レニングラードで食糧難に苦しむ一家など、様々な立場の子ども達の日記を通じて、第二次世界大戦を立体的に描いていく。欧州の子ども達が中心だが、日本人も二人含まれている。こちらも、一高のエリート青年と、福島県で家業を手伝う少女と、世の中の見方がまったく異なる二人を取り上げており、戦争の見方が決...
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阿部共実, ちーちゃんはちょっと足りない

読むのが辛いタイプの作品。今まで本当に順風満帆な人生を送り続けていた人以外は、何かしら心を揺さぶられる部分があると感じる。
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清水潔, 桶川ストーカー殺人事件 遺言

フォーカス誌上で桶川ストーカー殺人事件の犯人グループを特定して名を挙げた清水潔によるルポタージュ。事件そのもの以上に、警察批判に力を入れている印象。事細かに書かれた週刊誌記者の取材行動も興味深い。
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藤岡利充, 泡沫候補 彼らはなぜ立候補するのか

2014年に毎日映画コンクールのドキュメンタリー映画賞を受賞した映画、立候補の舞台裏を綴ったもの。映画を観ていなくても楽しめる。扱っているのは、マック赤坂、羽柴誠三秀吉、外山恒一といった、ネットでも有名な画になる面々が中心。泡沫候補一般のルポタージュを期待して読むと肩すかしを食らうかもしれない。
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隣のサイコさん 電波系からアングラ精神病院まで!

精神疾病全般を扱った別冊宝島。ややアングラ寄りなネタも多いこのジャンルはまさに宝島の得意分野か。執筆陣もある意味で豪華。かなりディープなネタもあり、気分を害する方もいると思われるので、読む際はご注意を。
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鈴木孝夫, 人にはどれだけの物が必要か ミニマム生活のすすめ

一種の環境本なのだけれど、あまり押し付けがましさがない。安易なRecycleに走るのではなく、その前のReuseやRepairを身近なところから徹底する姿勢には頭が下がる。
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エリック・シーゲル(著), 矢羽野薫(訳), ヤバい予測学 「何を買うか」から「いつ死ぬか」まであなたの行動はすべて読まれている

ビッグデータを用いた予測の解説書。技術的な詳細よりも事例紹介が中心。豊富な実例は眺めているだけでも楽しいが、参考文献が不明なネタが多いのがやや難。
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ダニエル・コーエン(著), 林昌宏(訳), 経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える

帯の宣伝文は "銃・病原菌・鉄" の経済版の様な印象を与えるが、方向性はだいぶ違う。全時代を通じた大きな仮説がやや弱いが、各時代の個別のエピソードは興味深いものが多い。
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業田良家, ゴーダ哲学堂 空気人形

あまり読んでこなかった業田良家の作品を短篇集から読み始めた。読後感が悪い作品も多いが、作品に込められた強いメッセージには心を揺さぶられるところがある。
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ポール・コリアー(著), 中谷和男(訳), 最底辺の10億人

いわゆる開発途上国よりも悲惨な状況に置かれ、成長への道筋が見えない国々の問題点を探る。紛争の罠、天然資源の罠、内陸国の罠、悪いガバナンスの罠といった典型的な問題を解説した上で、その解決策を提案していく構成。統計データによる裏付けも豊富で、読んでいて腹落ちする。個別の国の微細な議論に陥ることなく、より高い視点から問題を捉えようとする姿勢も良い。