sociology

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花輪和一, 刑務所の中

自身の刑務所体験を綴った漫画。制約の多い刑務所の生活なのだが、あまり悲壮感がなくユーモアすら感じる内容。特に食に関するエピソードが多いのは、やはり刑務所内の生活の楽しみはそれくらいしかないからか。
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町山智浩, アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない

自ら情報発信をするいわゆるインテリ層ではない、普通のアメリカ人というものがよく見えてくる本。様々なメディアを通じてみるアメリカは、比較的声が大きく外国にも発信されやすいリベラル寄りの意見がばかりが目に付くが、実は右派が根強い勢力を誇っているのがよくわかる。
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池田信夫, ハイエク 知識社会の自由主義

ハイエクの入門書。専門外の人間がいきなりハイエク全集を読むのはかなり厳しいのでありがたい。今まではハイエクを行き過ぎた自由主義者であるいわゆるリバタリアンだという理解しかなかったが、それが生まれた時代背景と、その背後にある自由主義的な考えと保守主義的な考えとの双方がはじめて繋がった。後半は池田信夫blogでも度々取り上げられている知的財産権や電波割当の問題に繋がる。このblogを読む人ならば本書も読んでおいた方が良いだろう。
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コリン・ジョイス(著), 谷岡健彦(訳), 「ニッポン社会」入門 英国人記者の抱腹レポート

日本在住の英紙記者による日本案内。目新しい企画ではないが、やはり安定して面白いネタ。概ね日本に好意的な内容なので、気軽に読むのには良い。
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小島健一, 社会科見学に行こう!

首都圏外郭放水路に始まり、高エネルギー加速器研究機構、核融合科学研究所など、男のロマンを感じさせる見学先の数々に心躍る。一つ一つの施設の紹介は10ページにも満たず、また大きめの写真が多いので、あまり読み応えはない。そういった施設の紹介そのものよりも、社会科見学という行為自体への誘いという位置づけなのだろう。そして、その取り組みは成功している。また、さりげなく開田夫妻が参加しているのもポイント。
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田中秀臣, 不謹慎な経済学

経済に関する16本の独立したコラムをまとめた本。あまり "不謹慎" というほどでもなく、まっとうな経済学の内容。
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紀田順一郎, 東京の下層社会

ほんの少し前、昭和戦前頃の東京の極貧階層がどのような生活をしていたのか。東京三大スラム、残飯生活、もらい子殺し、搾取される娼妓達、製糸工場の女工のタコ部屋など、読むだけで気分が悪くなる内容。しかし、これが高々100年前の現実なのだ。極貧階層の生活だけではなく、当時の福祉政策のお粗末さについても十分な記述があり、よく理解できる。おすすめ。
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海部美知, パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本

便利さや豊かさでは世界トップクラスである日本に閉じこもり、海外へのあこがれを持たなくなった現象を "パラダイス鎖国" と名付け、分析している。自身も仕事上必要のあるケースを除いて海外に行くメリットをあまり感じておらず、この感覚は非常に共感できる。また、このパラダイス鎖国に陥るまでのストーリーの分析も納得のいくもの。
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山田邦紀, 明治時代の人生相談 100年前の日本人は何を悩んでいたか

明治時代の新聞や雑誌の人生相談欄を抜き出したもの。あまり堅苦しくなく、また著者のコメントや注記も適切で、サクサク読める。当時の風俗が感じられる相談をうまく拾っており、実に興味深い。
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山形浩生, 要するに

山形浩生氏の雑文集。山形道場の連載を中心に、ケーザイのネタが多めなのが嬉しい。"世の中講座" の企業の仕組みなどは、今となっては世間の合意を得ている内容かと思うが、それを2000年前後に読みやすい形で (まさに "要するに" という内容!) 世に出していたのは素晴らしい。