sociology

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友里征耶, グルメの嘘

グルメライター業界の暴露本と言えば良いだろうか。業界への恨みつらみがつのっているためかやや独善的に感じるが、業界の裏事情を知れるという点は悪くない。
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フランク・ディケーター(著), 中川治子(訳), 毛沢東の大飢饉 史上最も悲惨で破壊的な人災 1958-1962

機密解除された公文書を丹念に精査し、大躍進政策の実態を明らかにした労作。大躍進政策の期間の拷問・処刑死、餓死者の総計が4500万人以上にのぼるという推計には目を疑ったが、その丹念な調査過程を読み解いていくと、実に真っ当な推計だと納得させられる。中間人民共和国史を学ぶ上で、間違いなく必読と言える一冊だろう。訳はあまりこなれておらず、学術的な記述が多いことと相まって、今ひとつ読みにくいのが唯一残念なところ。
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深見填, こどものためのドラッグ大全

子供向けの体ではあるが、基礎知識がない大人が読んでも勉強になる本だと思う。内容は存外にしっかりしており、トンデモ度は低い。身体依存、精神依存、中毒を正しく使い分けている点や、タバコやアルコールをドラッグとして扱っている点など、誠実さを感じる。
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石原伸司, 歌舞伎町のシャブ女王 覚醒剤に堕ちたアスカの青春

夜回り組長こと石原伸司による、とある覚醒剤中毒者のドキュメンタリー。その半生は、週刊誌的な興味をそそるものであり、一気に読んでしまう。著者の手により見事更生していればきれいなストーリーだったのだが、そう簡単にいかないところに、薬物中毒の難しさを感じる。
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サイモン・シン(著), 青木薫(訳), 数学者たちの楽園: 「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち

サイモン・シンの著作はすべて読んでいるが、まさかここでザ・シンプソンズを取り上げてくるとは思いもしなかった。それでも読み進めてみると、決して変化球ではなく、サイモン・シンが本気で取り組むだけのテーマであることがよく分かる。ザ・シンプソンズに散りばめられた分かる人にだけ分かればよい数学ネタを解説するというある意味無粋な試みではあるのだが、その解説自体をエンターテイメントとして成立させている筆力はさすが。おすすめ。
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中原みすず, 初恋

とあるblogの記事で気になって読んでみた。お話ではあるのだけれど、もしかしたらと一瞬でも実話を思わせる力はある。
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三宮貞雄, コンビニ店長の残酷日記

コンビニのフランチャイズ店のオーナー店長の日記。コンビニのフランチャイズ経営の問題について調べたことがある人ならばあまり新しい情報はないかもしれない。コンビニ会計の問題も取り上げているものの、踏み込みが浅め。それでも、当事者視点での迫力は感じられるため、読んで損はない。
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橘玲, 「リベラル」がうさんくさいのには理由がある

日本の「リベラル」の失敗してきた過程を辿り、世界標準のリベラリズムへ近づけるための提言を行っている。沖縄集団自決裁判から、集団的自衛権、テロと宗教など、幅広い実例を持ち出してのリベラルの振り返りは興味深い。
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草下シンヤ, 実録ドラッグ・リポート

元ジャンキーな作家によるドラッグ体験エッセイ。どこまで盛っているのかはわからないが、ジャーナリストが取材しただけでは書けなそうなネタが多数。
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新庄耕, ニューカルマ

狭小邸宅が良かったのでこちらも。今回のテーマは、ルポは多数あるものの小説としては珍しいネットワークビジネス。追い込まれた勤め人の揺れる感情の切り取り方は実に巧み。