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落合淳思, 漢字はこうして始まった 族徽の世界

3,000年以上前に青銅器に鋳込まれた原初の漢字である "族徽" の入門書。歴史の解説は程々にとどめ、初心者向けのクイズ形式の構成を取っているのが面白く、一気に読めてしまう。
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エリック・バーカー(著), 橘玲(監修), 竹中てる実(訳), 残酷すぎる成功法則

広い意味ではいわゆる成功本に含まれるのだろうが、科学的なエビデンスを重視しているのが類書とは違うところ。巻末の膨大な参考文献は伊達ではない。"成功" にまつわる幅広いテーマを扱っているぶん総花的であり、すべてを一度に実行するのは難しいだろうが、ひとつひとつが "成功" の確率を上げてくれるのは間違いない。
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鈴木哲也, 高瀬桃子, 学術書を書く

出版が専門ではない研究者が陥りがちなさまざまな罠が解説されており、学術書に限定せず技術書や教養書全般に通ずる内容が多い。例えば、"読者を想定してテーマを決める" ということは漠然とは理解していても、本書のように具体的に800人から1,000人の読者が関心を持って読める (初版部数1,000部が刷れる) ようにと指摘されると、相当にテーマを広げる工夫や魅力的なタイトルをつけることが必要となことに気付かされる。後半は入稿や校正の流れやマナーにも触れられており、論文出版との差がよく...
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天職人 玉木正之と輝ける二十六人

玉木正之によるインタビュー集。雑誌ミセスの連載からの収録が中心。氏の趣味を反映してか、スポーツと芸能、特に音楽分野の人材が多い。どうしても興味があるところを拾い読みとなってしまうが、ジーコとザ・グレート・サスケはにじみ出てくる人柄が素晴らしい。ジャーナリストとしてのノウハウが所々に見え、インタビューに携わる人には参考になる部分が多いように思う。
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辻田真佐憲, 世界軍歌全集 歌詞で読むナショナリズムとイデオロギーの時代

西洋軍歌蒐集館を主催していた著者による軍歌集。全集の名前は伊達ではなく、古今東西の軍歌を収集し、"標本" としている。少々の解説と和訳が添えてある他は、時折コラムが挟まる程度の潔い構成が素晴らしい。
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丸山ゴンザレス, 世界の混沌を歩く ダークツーリスト

クレイジージャーニーの丸山ゴンザレスの手による旅行記。ジャーナリストという肩書だが、良くも悪くもテレビ的なノリ。取材自体に加えて、取材にまつわる細かなノウハウや裏事情が面白い。
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パオロ・マッツァリーノ, 会社苦いかしょっぱいか 社長と社員の日本文化史

「昔はよかった」病からさらに会社にまつわる日本文化を掘り下げたもの。コンプライアンスなどないに等しい時代のやりたい放題、マイホームの現実や通勤事情、休日の過ごし方など、当時の会社生活が現代からの想像とは大きくかけ離れたものであったことを膨大な資料に基づき検証していく。現代でも物議を醸しているビジネスマナーの歴史も面白い。
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大石浩二, いぬまるだしっ (1)-(11)

トマトイプーのリコピンから遡って読んでみる。この頃はまだ週刊少年ジャンプに寄せていて、時事ネタよりも下品なギャグの方が多い印象。
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有田正規, 学術出版の来た道

学会や大学図書館の中の人にでもならないとなかなか馴染みのない学術出版の世界。一歩足を踏み入れると、学術面からはインパクト・ファクターの登場による被引用数の偏重、研究者のピア・レビュー負担の増加など、商業面からは論文数の急増、高い利益率による儲けすぎ、大学図書館の負担額の増加など、さまざまな問題が噴出しており、それでもさまざまな学術誌がなくなる気配はない。まさに本書の帯にもある "複雑怪奇な世界" という言葉がよく似合う。本書はそうした学術出版の歴史を紐解くことで、それらの諸問...
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シャロン・モアレム(著), ジョナサン・プリンス(著), 矢野真千子(訳), 迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか

人間を弱らせるような遺伝性の病気の遺伝子が何千年も自然淘汰されずに人類の遺伝子プールに残り続けているのは偶然ではない。その病気には子孫を残すために有利な要素が何かしらあったはずだ。本書はそうした "迷惑な進化" であるヘモクロマトーシス、糖尿病、ALDH2-2 (日本人も多い酒が飲めない遺伝子だ) が生き残った理由を教えてくれる。読み物としては面白いが、後半ではアクア説に傾倒している様子が見られたりと科学的な正確さよりもエンターテイメントに重きをおいているふしがあるので、自分...