前作の放送禁止歌と同じく、テレビドキュメンタリーを元にしたノンフィクション。
清田益章、秋山真人、堤裕司といった有名超能力者を取材対象としているが、その超能力の真偽には触れない。超能力の真偽をテーマとしてしまうと、結局は信じるか信じないか、超能力の定義とは何か、といったところに終始してしまうばかりで、そんな企画は他にいくらでもある。
本書の興味深いところは、そういった泥沼的な論争ではなく、超能力者として生きることを選択した人々の生活にスポットを当てていること。特に、11歳の頃からテレビに翻弄され続けた清田益章の姿には、テレビという強大なメディアと折り合いを付けながら生きて行かざるを得ない苦悩がリアルに感じられる。
唯一残念だったのは、超能力否定派の面々への取材が弱かったこと。超能力否定派の中には、頭ごなしに否定することをウリにしているような人々もみられ、そういった人々とテレビとの関係や本心は興味があるところなのだが。その超能力否定派の代表格である大槻義彦教授への取材は予定していたようだが、結局アポがとれなかったらしい。残念。
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