橘玲の新刊。表題ともなっている日本人論を出発点に、話は政治哲学にまで及ぶ。
本書の日本人論の柱となっているのはWorld Values Surveyの国民性調査やイングルハートの価値調査による各国の価値観比較。それらを通じて極めて利己的で権威や権力を嫌う日本人像を導き出し、過去の日本人達の行動がすべてその日本人像から導かれることを示す。
政治哲学に関する章は氏の過去の著作の集大成といったところだが、グローバリズムや正義といった視点からリバタニアリズム、リベラリズム、コミュタニアリズム、功利主義の立場を整理しているのは新鮮。
末章では電脳社会におけるユートピアのあり方が論じられるが、これはやや消化不良。以降の著作で再整理されることを望みたい。
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