田村正之, 人生100年時代の年金戦略

かなりポジティブな年金解説本。

年金のシステムに肯定的なこと自体は良いのだが、年金を擁護するために無理な理屈が見られるのはいただけない。例えば、厚生年金保険料の事業主負担分を無視し (事業主の視点から見れば加入者負担も事業主負担も人件費で変わりない)、その多くを加入者が支払っている税金からの支出もどこかから湧き出してきたかのように扱って、 “払った以上に多くもらえる” と述べるのは詭弁と感じる。

またこちらも意図してかはわからないが、各種制度の良いところしか書いていないのも不親切。例えばiDeCoなどは最大のリスクである特別法人税の凍結解除について一言も触れていない。

こうした無理な擁護を除けばさほどおかしな箇所はないので、素直に年金の損得を述べていれば良書になったのではないかと思う。

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