佐藤優, 君たちが知っておくべきこと 未来のエリートとの対話
灘高校の生徒向けの講演を書籍化したもの。いつも通り簡単に断定するスタイルなので、高校生相手に大丈夫かと心配になるが、灘高校の学生ならばきちんと検証して取り込めるのだろう。エリート候補の高校生向けの言葉として、永遠の椅子取りゲームにハマるなという指摘をしているのは良心的に感じる。
山口晃, すゞしろ日記
絵描きによるエッセー漫画。掲載誌はPR誌から週刊誌までさまざまだが一貫してトボケた味があって良い。
怒らないこと 役立つ初期仏教法話1, アルボムッレ・スマナサーラ
怒るということを全否定し、正しい怒りなどないというのが初期仏教 (上座仏教) の考え方。怒りは猛毒であり、生まれたら即座に捨て去る必要があると説く。もちろん怒りをコントロールするのは簡単ではなく特効薬があるわけではないが、怒りが生み出すさまざまな悪影響を滔々と語られると多少の歯止めになると感じる。
デイヴィッド・オレル(著), 大田直子(訳), 鍛原多惠子(訳), 熊谷玲美(訳), 松井信彦(訳), 明日をどこまで計算できるか? 「予測する科学」の歴史と可能性
おそらく人類がずっと欲してきた (が現在まで成功していない) 天気、病気、経済の未来予測がどこまでできるか (できないか) を誠実に解説した本。結論から言うと、現在もそれらの予測は当て推量 (例えばある特定の日の天気を、一年の中のその日の平均値である気候値と同じになると予測するナイーブ予測) と大差ない。
19世紀までの決定論的科学は精度の高い将来予測を提供し、実際に惑星の運動を簡単な方程式で求めることを可能としてきた。しかしながら、天気、病気、経済といった非線形なシステムはカオスや複雑性 (両者はよく混同されるが、カオスは初期条件に敏感、複雑系は秩序だったものとランダムの中間、という違いがある) を有しており、その予測は常微分方程式などの数学で解けるものではない。