殊能将之, キマイラの新しい城
鏡の中は日曜日以来となる探偵石動シリーズ。作者夭折のため、これが最終作となる。
750年前の古城の霊が現代テーマパークの社長に取り憑いたという設定で、両時代の謎を解くという変化球だが、ミステリとしては存外に本格派。時代錯誤な霊が引き起こすコメディも楽しい。アントニオが (ある意味石動以上に) 活躍するのもファンには嬉しい。
ヘルガ・シュナイダー(著), 高島市子(訳), 足立ラーベ加代 (訳), 黙って行かせて
元ナチス親衛隊員のアウシュヴィッツ看守で現在もヒトラーを崇拝する母を持つ著者が、母との再開を果たす物語。ナチスやアウシュヴィッツの話よりも、母子関係の修復の方に重心が置かれている。
帯には “本書は実話です。” とあるが、どこまで脚色が入っているのかは判然としない。この点は訳者あとがきでも触れられている。
佐藤優, 君たちが知っておくべきこと 未来のエリートとの対話
灘高校の生徒向けの講演を書籍化したもの。いつも通り簡単に断定するスタイルなので、高校生相手に大丈夫かと心配になるが、灘高校の学生ならばきちんと検証して取り込めるのだろう。エリート候補の高校生向けの言葉として、永遠の椅子取りゲームにハマるなという指摘をしているのは良心的に感じる。
山口晃, すゞしろ日記
絵描きによるエッセー漫画。掲載誌はPR誌から週刊誌までさまざまだが一貫してトボケた味があって良い。