池袋シネマサンシャインでヒトラー 最期の12日間を鑑賞。朝一の回だったせいか、客の入りは3割程度。
映画は第二次世界大戦末期の1945年、ソ連軍によるベルリン包囲からドイツの無条件降伏までの12日間のみを描く。おそらく、ヒトラーとナチスがしてきたことには一切触れない点が、エルサレムポスト紙の「ドイツは虐殺の歴史を取り繕い美化している」というコメントにつながっている。しかし、自国の忘れたい歴史から目を背けずに注視する姿勢はもっと評価しても良いと思う。
ブルーノ・ガンツ演じるヒトラーが実に良い。戦況が不利になっているにも関わらず、自身の作戦に固執して癇癪を起こす小さな人間を見事に表現している。戦況が悪化するに従って、ヒトラーは求心力を失っていく。ゲッベルスらごく一部の忠臣を除いて、皆敗勢を悟っているのだが誰もヒトラーに進言することができない。ナチスの組織としての脆さというものが、空気として伝わってくる。
映画は2時間半以上あるが、一度も気を逸らすこともなく、最後まで引き込まれたままだった。映画が終わってスタッフロールに入るとパラパラと立ち始める人が出るものだが、この映画は館内が明るくなるまで誰も立ち上がらなかった。
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