book

辻田真佐憲, たのしいプロパガンダ

プロパガンダの中でも、音楽や映画といった娯楽による "たのしいプロパガンダ" を紹介した本。表紙もロトチェンコのパロディ。 大日本帝国、ソ連、ナチ、北朝鮮、韓国、オウム真理教、イスラム国、現代日本と、さまざまな時代と地域の "たのしいプロパガンダ" を取り上げている。所変われどその本質は変わらず、人気芸能人や芸術家までをもフル活用してプロパガンダに励んでいた様子が見て取れる。また、現代の事例も取り上げられており、ロシアやウクライナのSNSを活用したプロパガンダや米国のディーバ...
book

先崎学, うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間

著名人がここまで赤裸々に語った闘病記は貴重。うつ病患者にとって何が嬉しかったかという記録は、同様の患者に接する際にも大いに参考になる。みんな待ってますという一言のように、存在価値を確認できるような言葉が大事なのだと思う。逆に、暗い人間を元気づけようと明るいことをはなすのは避けなければいけない。 幸いにして著者は1年程度で復帰しているが、これには精神科医である実兄のおかげによる最高に近い治療環境があったことは留意するべき。
game

Reigns

カードゲーム風のインタフェースから繰り返し遊べるローグライクゲームを想像していたが、意外にシナリオがしっかりしたゲームだった。とはいえ一本道ではなく、選択肢による分岐が多数あるので飽きさせない。
comic

とりのささみ。, テイコウペンギン

可愛い絵柄と皮肉の効いたパンチラインのアンバランスが素晴らしい一コマ漫画。さり気なく鉄道定期券のイメージキャラにケンカを売っているのも良い。
book

永井孝尚, なんで、その価格で売れちゃうの? 行動経済学でわかる「値づけの科学」

流行りの行動経済学で値付けを読み解こうという本。 紹介されている値付けの技術は、行動経済学を持ち出すまでもない古典的なものも多い。それでもPSM分析などの値付けのための基本的なツールは一通り押さえられており、入門書としては良い出来。
book

コンビニ加盟店ユニオン, 北健一, コンビニオーナーになってはいけない 便利さの裏側に隠された不都合な真実

コンビニの告発本。コンビニ全般ではなくセブン‐イレブンに偏っており、ファミリーマートの事例が少々ある程度。また、加盟店オーナー側の主張がほとんどで、フランチャイズ側の言い分はほぼなし。 それでも、具体的な事例が多数掲載されており、告発本としての意義は果たしている。いわゆるコンビ会計などのよく知られた問題に加え、加盟店の財務諸表で本来買掛になるべき部分を与信として金利を発生させているという問題に踏み込んでいるのは興味深い。
hack

エンディングノート

万一のためのエンディングノート 家族持ちとなり、自身の万一の場合の対処を考える必要に迫られたので、エンディングノートを作成した。 現在大きな病気などを抱えているわけではないが、突然の事故などの可能性はゼロではない。自身が意思表示できる状況ならばまだ良いが、それすらできない状況となってしまうとさすがに家族が困ることが予想される。家族も個別に蓄えがあり実家も健在なのですぐに生活に困ることはないはずだが、遺品の処分などの事後処理では判断に困ることがたくさんあるはずだ。そうした状況を...
book

高橋名人, 公式16連射ブック 高橋名人のゲームは1日1時間

高橋名人の自伝。 名人がハドソンに入社してからスター街道を駆け上がるまでが本人の手で綴られる。どれも誠実な語り口で、名人の人柄が伺える。シュウォッチ、キャラバン、Bugってハニーといった、名人の深く関わった流行の裏話も盛りだくさんで、当時を知る年代にはただただ懐かしい。カラーページには名人の思い出の品も多数収録されており、完全保存版と言える内容。
book

堤未果, (株)貧困大国アメリカ

ルポ 貧困大国アメリカ IIに続いてもう一冊。 シリーズ完結編で、貧困を生み出す巨大企業と政府の癒着を見事に描ききっている。大企業に絡め取られる農場経営、GM種子による食の支配、切り売りされる公共サービス。どれも現在のアメリカを理解する上で欠かせないものばかり。特に公共サービスの崩壊については、民間企業が運営する自治体Public Private Partner (PPP) の動向も取り上げられており興味深い。
book

堤未果, ルポ 貧困大国アメリカ II

ルポ 貧困大国アメリカの続編。 今回は、学資ローンによる借金地獄、社会保証の崩壊による高齢者の転落、借金漬けにされる囚人たちなどが新たに取り上げられる。前巻に引き続き、医療改革が一向に進まない理由についても語られる。どれも近い将来に日本が同じ道を辿りかねないものである。