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清水亮, 後藤大喜, プログラミングバカ一代

著者の清水亮は、shi3zと言ったほうが通りが良いかもしれない。 自伝的作品で多少は盛っているものと思うが、それを差し引いても面白い。文章はやや荒削りではあるがテンポ良く、何よりも本人の人生が面白いのでぐいぐいと惹き込まれる。 プログラマが読むべきともこれから働く学生が読むべきとも言い難いが、読み物として読むべき一冊。
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黒咲一人, 55歳の地図

紙の方は絶版で古書価格も上がりすぎているのでKindle版で。 仕事がなくなったマンガ家の四国八十八箇所巡拝。それだけと言ってしまえばそれだけの作品だし絵柄も一昔前なのだが、それでも圧倒される迫力を感じるのは、自分が歳を取ったせいなのかもしれない。
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綾辻行人, どんどん橋、落ちた

メタフィクション色が強めの連作短編集。 本格派を志向したフーダニット作が5本。作中ではフェアであることをこれでもかと強調しているが、かなりスレスレのところを狙ってきている印象。そういうものと割り切ってパズル的に読めばなかなか。
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能田達規, マネーフットボール (6) (7)

前回に続き、完結まで一気読み。 物語が大詰めということもあり数値分析の話題はやや控え目になったが、新たに代理人システムやチーム編成の話題を入れ込んできたところはさすが。
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井上章一, 京都ぎらい

たまには流行本でも。 京都論としてはそれほど新味はないが、感情的なところをあまり隠さずに書き綴っているところは特徴的。ある意味ブログ的と言えるかもしれない。 参考文献が付属していないところをみても分かるとおり、裏の取れていない推論も多いのでご注意を。
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橘木俊詔, 森剛志, 新・日本のお金持ち研究

本書で言う "お金持ち" は、高額納税者のこと。すなわち、個人で大きな課税対象所得がある人々だけを対象としており、上手く節税している人々や資産運用益中心の人々は除かれている。このあたり、一般の人が "お金持ち" と聞いて思い浮かべるものと乖離しているように思える。 全国高額納税者名簿に掲載された人々への質問紙調査を主な情報源としているが、回収率が不明なのも残念。相当のバイアスを覚悟して読む必要がある。 なお、表題からの改訂版と思いこんでこちらから読み始めたが、続編にあたるもの...
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風間やんわり, やんわり社会派宣言

FRIDAYの連載はさすがに時事ネタが多すぎ、今となっては元ネタが思い出せない事件も多い。一方で、後半のニートピアやいまじんは今でもまったく古さを感じさせない出来で、こちらのためだけにでも買う価値がある。
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青木寿幸, 竹内謙礼, 会計天国

"おもしろくて、ためになる" 系のビジネス小説。 コメディタッチの小説は読みやすく、単純な読み物としても悪くない。肝心の会計部分は、さすがにずぶの素人が一冊目として読むのには敷居が高いか。ある程度会計を理解している人がおさらいを兼ねて読むのにはちょうど良さそう。
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白正男(作), 山戸大輔(画), テコンダー朴 (2)

前巻で完結した雰囲気だったが、まさかの復活。 もともとあまり長期連載向きのフォーマットではないせいか、ネット上で流行した時事ネタを盛り込んで嵩増ししている感はあるが、それでも水準以上の出来。
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西澤保彦, 七回死んだ男

人格転移の殺人が良かったのでこちらも。 ミステリに特殊能力を絡めてくる異端的な作品だが、それでいて読後にフェアな印象が残るのが素晴らしい。最近流行の頭脳バトルマンガに通じる面白さがある。