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池田信夫, 希望を捨てる勇気 停滞と成長の経済学

池田信夫の書き下ろし。当時のブログの内容をより深掘りしたような作品。 日本経済の長期停滞の原因である正社員の既得権益がもたらす格差と財政政策の失敗に関する分析が中心で、トンデモ度は低め。全体的にネガティブ基調が過ぎる様に感じるが、出版時点の2009年の空気に引きずられている部分もあるのかもしれない。
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やまだ浩一(画), 木村公一(作), 隠し球ガンさん プロ野球スカウト物語 (3) (4)

前巻を読んでから少し間が空いてしまったが、最後までまとめ読み。 対選手だけではなく経営陣とのやり取りを描いたり米国事情を扱ったりと様々に話を広げてきたが、最後はやや尻切れ気味の終了。まだまだ回収していない伏線も多数あっただけに残念。
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梶原一騎(原作), 原田久仁信(漫画), 高森敦子(監修), プロレススーパースター列伝 (1) (2) (3) (4) (5)

Kindleのセールでうっかり全巻まとめ買い。 当時隆盛を極めていたプロレスの良い意味でのケレン味をたっぷりと味あわせてくれる。内容は文句なしだが、5巻のタイガーマスク編の途中で終了となるところだけが大いに不満。きちんとした完全版として出版して欲しいし、それが無理ならせめて抜粋であることを明記して売って欲しい。
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歌野晶午, 死体を買う男

作中作という構造を活かした多層的な物語づくりは見事の一言。 著者の江戸川乱歩マニアぶりを十分に発揮した語り口も良いアクセントになっている。萩原朔太郎の人物造形も実に良い。
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クリス・アンダーゼン(著), デイビッド・サリー(著), 児島修(訳), サッカー データ革命 ロングボールは時代遅れか

セイバーメトリクスの普及している野球と比べるとやや出遅れている感のあるサッカーのデータ分析を扱った本。類書のビューティフル・ゲームと比較すると、昨今のトレンドを反映してビッグデータ分析寄り。 ポゼッションの錯覚やチームの弱点強化の重要性など、従来のサッカーの常識をくつがえすような発見も多く、データ好きなら間違いなく知的興奮を得ることができるだろう。おすすめ。
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海上自衛隊(協力), 海上自衛隊のめちゃうまカレーレシピ48

海上自衛隊のカレーレシピ集。 企画は良く海上自衛隊の強力も得られているのだが、単なるレシピ集に終わってしまっているのがやや残念。もう一工夫が欲しかった。
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ポール・コリアー(著), 甘糟智子(訳), 民主主義がアフリカ経済を殺す

最底辺の10億人の続編的内容。 最底辺国の独裁者の視点に立って民主主義を取り入れる際のオプションを検討する思考実験は、見事に彼らの行動原理をあぶり出しており興味深い。 翻訳はあまり読みやすいものではなく、特に抽象度の高い部分はかなり苦しい。
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法月綸太郎, 山口雅也, 有栖川有栖, 加納朋子, 西澤保彦, 恩田陸, 倉知淳, 若竹七海, 近藤史恵, 柴田よしき, 不条理な殺人

短編ミステリ10本を収めたアンソロジ。全体的に小粒な上、やや質のばらつきが大きい印象。 中では、法月綸太郎のトゥ・オブ・アスがベストか。
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岡田壱花(作), 富田安紀子(画), 日之丸街宣女子

画はどことなく安永航一郎風味と思って調べてみたら、ファンロード出身者であったか。 マンガとして面白いかと言われると少々疑問ではあるが、啓蒙書としては比較的良いつくり。
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ハリイ・ケメルマン(著), 永井淳(訳), 深町眞理子(訳), 九マイルは遠すぎる

安楽椅子探偵ものの古典だが、実は読んだことがなかった。 表題作の出来が突出しているように感じる。翻訳は及第点。