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魚乃目三太, 戦争めし

少々毛色の違った食マンガで、太平洋戦争中の食をテーマにしている。一見実話風だが、目次の下に小さく書かれている通りあくまでも "事実をもとにした創作秘話"。どこまでが事実かはわからないものの、純粋にフィクションと割りきって読む分には文句なしに面白い。
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パオロ・マッツァリーノ, 「昔はよかった」病

パオロ・マッツァリーノの新刊。今回の標的は、捏造されがちな庶民文化史の捏造。戦前戦後の新聞を中心とした資料で説き伏せていく姿は痛快。
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鈴木小波, ホクサイと飯さえあれば (2)

前巻からまったく勢いが落ちず。新キャラ登場で物語に厚みが増してきた。レシピも相変わらず食欲をそそるものばかり。
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FAMA(編集), P3 art and enviroment(翻訳), 柴宜弘(監修), サラエボ旅行案内 史上初の戦場都市ガイド

旅行案内の体裁でサラエボの戦場の現実を紹介した本。紛争中の1994年の出版 (原著は1993年) 。皮肉の効いた解説と力のある写真の組み合わせが見事。
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久住昌之(原作), 水沢悦子(漫画), 花のズボラ飯 (3)

前巻から3年半ぶりの新刊。表紙から過去の花のエピソードなど期待したがそちらはあまり掘り下げられず。
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本多静六, 私の財産告白

戦前の林学博士にして倹約と投資で一財産を築き上げた本多静六の告白。時代は変われど、財産を築き上げるための基本はそう変わるものではない。本多は、通常収入の四分の一を天引きで貯金する本多式「四分の一」貯金で貯めた資金を投資するというまさに王道を行った。さらに本書の特筆すべき点は、財産の処分方法という難題とも格闘しているところ。85歳を迎えた本多が辿り着いた結論は、「児孫のために美田を買わず」。また、若い頃は「若いうちに勤倹貯蓄、慈善報謝、陰徳を積み、老後はその蓄積と陽報で楽隠居す...
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水野敬也, 夢をかなえるゾウ2 文庫版 ガネーシャと貧乏神

夢をかなえるゾウの続編。前作同様、小説仕立ての成功本。各種成功本のいいとこ取りのスタイルも変わらず。
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エリック・ブリニョルフソン(著), アンドリュー・マカフィー(著), 村井章子(訳), 機械との競争

ボリュームは軽めだが内容は濃い。テクノロジー失業がスキルの低い労働者ではなく中間的なスキルの労働者を直撃するというモラベックのパラドックスが発生するメカニズムから、その解決策の提案までを扱う。装丁はやや凝り過ぎか。紙質が厚い上にページ表記が独特なため、ページを飛ばしてしまったかと戸惑うことが何度もあった。
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橘玲, 橘玲の中国私論 世界投資見聞録

中国に乱立する "鬼城" の訪問記に始まり、その鬼城を生むこととなった錬金術の話題を経て、中国史から中国人の自我までを語る。"私論" と付いている通りやや強引な解釈もあるが、一気に読ませる力はある。
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小林泰三, 玩具修理者

ホラー系の表題作よりも、SF風味の "酔歩する男" の方が好み。SFとしては科学的な裏付けにやや難があるものの、センス・オブ・ワンダーとそこから来る恐怖は文句なし。