book 小野一光, 家族喰い 尼崎連続変死事件の真相 尼崎事件のルポタージュ。出遅れ組ながら、地道に周辺人物や地元民との関係を築く取材により独自の視点を得ている。ある程度事件のあらましを理解している読者を対象としており、当時のニュースをあまり追っていなかった場合は事前に概要を予習しておく必要があるだろう。事件当時に話題になった通り、関係者の相関図の複雑さに滅入ってくる。本書も丁寧な説明を試みているのだが、それでも一読して理解するのは厳しい。 2014-12-27 book
book フェイス・ダルージオ(著), みつぢまちこ(訳), 地球の食卓 世界24か国の家族のごはん. ピーター・メンツェル(著) 世界各国の家族を訪ね、1週間分の食料を見せてもらう試み。経済的にも気候的にも文化的にも幅広く選択されている。大判を活かした美麗な写真の数々はまさに眼福。個人的な好みもあるが、中国やグリーンランドなど、伝統的な食生活に近代化の波が押し寄せている様子が堪らない。レイアウトが今ひとつなのが残念。文章の流し込みがまずく、一連の文章が生き別れになっている箇所が散見される。 2014-12-25 book
comic アキリ, ストレッチ (1) やわらかスピリッツの連載が単行本化。無理にストレッチを入れなくても、と思わないでもないが、日常系マンガとしては安定して良い出来。 2014-12-24 comic
book ジョン・ブロックマン(著), 高橋健次(訳), 2000年間で最大の発明は何か 2000年のNHKの正月特番で取り上げられて話題になった本を今更ながら。回答者は各界の専門家達。本書中でジョン・C・ドゥボラックが指摘している通り、各自の専門分野に引っ張られた回答が多いように感じる。また、これも本書中でヘンドリック・ハーツバーグが指摘していることだが、2000年間というよりは過去数百年の最近のものに偏っているようにも感じる。これらをきちんと統制できていなかったことはやや残念だが、その欠点を差し引いても読み物としては十分に楽しめる。 2014-12-23 book
book ブライアン・カプラン(著), 奥井克美(監訳), 長峯純一(監訳), 選挙の経済学 選挙そのものを経済学で読み解こうというよりは、投票者の持っているバイアスの話題が主。原題の "The Myth of the Rational Voter" の方が内容を的確に表している。政治に関する知識の有無がバイアスを生むという主張は実に説得力がある。米国の経済意識調査 (SAEE)を中心としたエビデンスも十分。後半の合理的無知や原理主義者間の対立に関する議論はやや観念的であり、科学的な調査結果を求める向きにはやや退屈かもしれない。 2014-12-20 book
book ボールのひみつ 野球、バレー、サッカー、バスケ、テニスetc.様々なボールの歴史や秘密 様々なスポーツのボールに焦点を当てたビジュアル本。写真中心でムックのような味わい。断面図や製造工程の写真など、眺めているだけでも楽しい。各ボールの歴史的な変遷も押さえられているので、経験者は以前使用していたボールに懐かしさを覚えるかもしれない。 2014-12-17 book
comic 阿部共実, ブラックギャラクシー6 ちーちゃんはちょっと足りないが良かったのでこちらも。こちらはそこまで毒が強い方ではなく、純粋にコメディとして楽しめるレベル。 2014-12-15 comic
book 久住昌之(著), 滝本淳助(写真), タキモトの世界 ダンドリくんなどの泉昌之にも登場するカメラマンのタキモト氏だけで丸一冊。既に大昔に絶版になっていたものがまさかの復刊。さすがに時事ネタの古さはあるが、タキモト氏の目の付け所のユニークさは今でも非凡なものを感じる。 2014-12-12 book
book サラ・ウォリス(編著), スヴェトラーナ・パーマー(編著), 亀山郁夫(露語訳), 河野万里子(仏語訳), 関口時正(波語訳), 赤根洋子(独語訳), 田口俊樹(英語訳), 私たちが子どもだったころ、世界は戦争だった 第二次世界大戦期の各国の若者が綴った日記をまとめたもの。ナチスの侵略の直接的な被害者だけではなく、英国王立空軍に志願した若者、遠く離れた米国でニュースとして第二次世界大戦を知るユダヤ少年など、レニングラードで食糧難に苦しむ一家など、様々な立場の子ども達の日記を通じて、第二次世界大戦を立体的に描いていく。欧州の子ども達が中心だが、日本人も二人含まれている。こちらも、一高のエリート青年と、福島県で家業を手伝う少女と、世の中の見方がまったく異なる二人を取り上げており、戦争の見方が決... 2014-12-10 book
book Dr. フィリップ・マフェトン(著), 中塚祐文(監修・訳), 『マフェトン理論』で強くなる! 革命的エアロビックトレーニング 心拍数を強く意識したエアロビックトレーニング (非アネロビックトレーニング) の解説書。一般の市民ランナーにも取り込める内容が多い。心拍数による負荷の調整、給水の重要性、食生活の改善を主に扱っているが、エビデンスは少なめ。マーク・アレンや藤原裕司といった少数のアスリートの成功例に大きく頼っている印象。食生活の点では低炭水化物も (もちろん個人の適正を見ながらという前提ながら) 薦められているが、最近の研究を見ると中長期のリスクを考慮して取り入れるべきと思う。 2014-12-07 book