review

book

イアン・エアーズ(著), バリー・ネイルバフ(著), 望月衛(訳), ライフサイクル投資術 お金に困らない人生をおくる

インデックスに長期投資するという基礎ができた上で、もう一歩先を目指すための本。インデックス投資の際は債券と組み合わせたポートフォリオを組むことがよく勧められるが、このポートフォリオを手持ちの金融資産のみに限定せず、ライフサイクル全体に拡張しようというアイディア。今後高い確率で入ってくる給与や年金を債券とみなして現在価値に割り引くと、(金融資産は少ないが定職のある) 若者は手持ち資産すべてを株式に投資しても大幅に債券超過となるので、レバレッジをかけて株式に投資するべきと説く。人...
book

Hisa Ando, プロセッサを支える技術 果てしなくスピードを追求する世界

"商用のCPUが性能向上に取り組んできた歴史" という視点で書かれたCPUの解説書。そもそも計算機とは何かという小難しい問題はそこそこに、実用的なCPUの設計、特にマイクロアーキテクチャ (具体的なハードウェア構造) に絞って書かれているので非常にわかりやすい。パイプライン処理、キャッシュ、スーパースカラ実行、投機実行などの古典的な技術から現代的なマルチコアや仮想化まで一通りがカバーされており、入門書として間違いなくおすすめできる。現在の花形と言えるGPGPUも簡単にとはいえ...
comic

高野文子, ドミトリーともきんす

朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹という日本を代表する科学者たちの読書案内だが、ひとひねりして彼らが下宿する学生寮を舞台とした連作短編漫画に仕上げている。(おそらく多くの読者が期待する) 高野文子らしさという点では少々物足りないが、円熟したシンプルな線画が心地よい。
book

真壁昭夫, はじめての金融工学

教科書的であまり読んでおもしろい本ではないが、最低限の数学の素養があれば読めるように工夫されている。古典的な金融工学に加え、行動ファイナンス理論やべき分布に基づく経済物理学にも軽くながら触れられているのも良い。
game

The Pedestrian

The pedestrianをプレイ。2Dのアクションパズルだが、背景は3Dで緻密に書き込まれている。パズルの難易度は易しめだが、丁寧な作り。途中 (後で調べたところによると終盤に差し掛かったところ) から3D操作が必要になり、クリアを断念した。私は3D酔いがひどく、一人称視点の3Dゲームをプレイするとすぐに気分が悪くなってしまうため。
book

Geoffrey Engelstein(著), Isaac Shalev(著), 小野卓也 (訳), すごろくや(調査協力), ゲームメカニクス大全 ボードゲームに学ぶ「おもしろさ」の仕掛け

ゲームメカニクスというのは比較的最近使われるようになった言葉かと思うが、要するにゲーム (ここでは主にアナログゲーム) のおもしろさを作り出す要素のこと。例えば、各プレイヤーが順にプレイする種類のゲームのターンオーダー (ターン順) という要素ひとつとってみても、固定順、順位等により変化、入札により決定、役割順、ランダムなどさまざまな方法があり、それぞれが異なるおもしさを提供する。本書は、そんなゲームメカニクスの要素をまとめたもの。もちろん頭から読んでも面白いが、ゲームを作り...
book

千足伸行, 6つのキーワードで読み解く西洋絵画の謎

色彩、デッサンと形、遠近法、光と影、構図、人体表現の6つのきワードで西洋絵画の鑑賞方法を解説する。これらのキーワードの中で人体表現だけは少々浮いているように見えるが、実は人間をどう描くかは時代とともに大きく変化している。見開き読み切りの構成は読みやすいが、文庫サイズでは絵画の細かい部分が見えないのが少々残念。
book

深木章子, 鬼畜の家

探偵による関係者への事情聴取の形式は新鮮。その形式を活かしたトリックも良いが、さすがに少々わざとらしいか。
book

マット・リドレー(著), 大田直子(訳), 人類とイノベーション 世界は「自由」と「失敗」で進化する

人類の生活を豊かにするイノベーションがどのような仕組みで起きるのかを豊富な事例を用いて解説する。前半はエネルギー、公衆衛生、輸送、食料といった生活を支える基礎的な分野のイノベーションの事例を取り上げ、後半はそれらの事例の共通項からイノベーションの本質を論じる。イノベーションには "やってみて学習する" という泥臭い過程が欠かせず、コストや規制により繰り返しの実験が難しい分野でイノベーションが起きることはない。原子力発電がその代表例である。イノベーションは都市 (特に自治都市)...
book

五十嵐律人, 法廷遊戯

ミステリの登場人物だからと言ってしまえばそれまでだが、ロースクールの学生 (後に弁護士) ながらまったく倫理観のない主人公とヒロインに感情移入できないのが苦しい。物語が進むにつれて少しづつ彼らの過去が明らかにされていくが、どんどん印象が悪くなっていく。ピカレスクロマンと言えるまで振り切ってくれればまだ救いようもあるのだが。