book

book

ジョナサン・ウィルソン(著), 実川元子(訳), 孤高の守護神 ゴールキーパー進化論

ゴールキーパーの系譜を国や地域ごとにまとめた本。欧州や南米が中心で、残念ながらアジアにはほぼ触れられていない。名も知らぬゴールキーパーが続くところを読み続けるのは骨が折れる。小見出しもなく読みにくい本なので万人におすすめできるわけではないが、系統立てて学びたい向きにはおすすめできる。登場するゴールキーパーの索引はないが、裏表紙カバーと訳者あとがきに主要なゴールキーパーのリストがあるので参照すると良いだろう。
book

歌野晶午, ROMMY 越境者の夢 新装版

ROMMYという人物を徹底的に作り込んだ構成がお見事。時折挿入される写真やスケッチもROMMYの存在感を支えている。すべてをわかったうえで読み直すと登場人物の不可解な行動がすべて合理的なものだったとわかる仕掛けも緻密に組み立てられている。
book

茂里憲之, カードゲームで本当に強くなる考え方

カードゲームという表題だが、ほぼトレーディングカードゲームが対象。中でもMagic: The Gatheringに寄せている。確率論に加えて認知科学をどうカードゲームに橋渡しするかという視点は新鮮。有名な法則をあれこれ持ってきてこじつけているような節も見られるが、いままでカードゲームと結びつけられていなかった概念を持ち込んだのは価値がある。トレーディングカードゲーム用語が脚注もなしにでてくるので、ある程度それらに馴染んでいるが感覚のみでプレイしており伸び悩んでいる人向けか。
book

中村敏雄(著), 吉田文久(編), 中村敏雄著作集 (8) フットボールの文化論

オフサイドはなぜ反則かを中心に、中村敏雄のフットボール (サッカー、ラグビーなど) に関する著作を編集したもの。単行本未収録の論考も多いのが嬉しい。巻末にはスポーツイベントやスポーツメディアに関する評論も収録。当たり前とされているフットボールのルールを疑い、その歴史と文化を掘り下げていく姿勢はまさに中村敏雄の真骨頂といえる。オフサイド以外にも、ラインの引き方、アウト・オブ・バウンズとスローイン、メンバーチェンジなど、よくよく考えると不思議なルールは枚挙にいとまがない。それらの...
book

草森紳一, 随筆 本が崩れる

膨大な蔵書にまつわるエッセイ集。野球や旅に大きく寄り道もするが、主役はあくまでも蔵書。蔵書の山の崩壊により浴室に閉じ込められたのにも懲りずに、本の山をいかに堅牢に積むかという技術論を延々と展開するのにはもはや狂気じみたものを感じる。
book

イアン・エアーズ(著), バリー・ネイルバフ(著), 望月衛(訳), ライフサイクル投資術 お金に困らない人生をおくる

インデックスに長期投資するという基礎ができた上で、もう一歩先を目指すための本。インデックス投資の際は債券と組み合わせたポートフォリオを組むことがよく勧められるが、このポートフォリオを手持ちの金融資産のみに限定せず、ライフサイクル全体に拡張しようというアイディア。今後高い確率で入ってくる給与や年金を債券とみなして現在価値に割り引くと、(金融資産は少ないが定職のある) 若者は手持ち資産すべてを株式に投資しても大幅に債券超過となるので、レバレッジをかけて株式に投資するべきと説く。人...
book

Hisa Ando, プロセッサを支える技術 果てしなくスピードを追求する世界

"商用のCPUが性能向上に取り組んできた歴史" という視点で書かれたCPUの解説書。そもそも計算機とは何かという小難しい問題はそこそこに、実用的なCPUの設計、特にマイクロアーキテクチャ (具体的なハードウェア構造) に絞って書かれているので非常にわかりやすい。パイプライン処理、キャッシュ、スーパースカラ実行、投機実行などの古典的な技術から現代的なマルチコアや仮想化まで一通りがカバーされており、入門書として間違いなくおすすめできる。現在の花形と言えるGPGPUも簡単にとはいえ...
comic

高野文子, ドミトリーともきんす

朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹という日本を代表する科学者たちの読書案内だが、ひとひねりして彼らが下宿する学生寮を舞台とした連作短編漫画に仕上げている。(おそらく多くの読者が期待する) 高野文子らしさという点では少々物足りないが、円熟したシンプルな線画が心地よい。
book

真壁昭夫, はじめての金融工学

教科書的であまり読んでおもしろい本ではないが、最低限の数学の素養があれば読めるように工夫されている。古典的な金融工学に加え、行動ファイナンス理論やべき分布に基づく経済物理学にも軽くながら触れられているのも良い。
book

Geoffrey Engelstein(著), Isaac Shalev(著), 小野卓也 (訳), すごろくや(調査協力), ゲームメカニクス大全 ボードゲームに学ぶ「おもしろさ」の仕掛け

ゲームメカニクスというのは比較的最近使われるようになった言葉かと思うが、要するにゲーム (ここでは主にアナログゲーム) のおもしろさを作り出す要素のこと。例えば、各プレイヤーが順にプレイする種類のゲームのターンオーダー (ターン順) という要素ひとつとってみても、固定順、順位等により変化、入札により決定、役割順、ランダムなどさまざまな方法があり、それぞれが異なるおもしさを提供する。本書は、そんなゲームメカニクスの要素をまとめたもの。もちろん頭から読んでも面白いが、ゲームを作り...