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石田敦子, 球場ラヴァーズ 私を野球につれてって (2)

球場ラヴァーズの新刊。今回の野球ネタはWBCと前田の引退。どちらもファンの思いがきちんと込められていて非常に共感できる。野球以外のテーマはこれはこれで面白いが、やはり無理に詰め込まなくても良い様な気がする。
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リクナビNEXT Tech総研(編集), 我らクレイジー☆エンジニア主義

リクナビNEXTの同名の連載からよりぬきして単行本化したもの。直接役に立つようなtipsがあるわけでも、自己啓発本のように明確な指針を与えてくれるわけでもないが、読み物として抜群に面白い。その上、エンジニアや研究者など技術に携わる人ならば間違いなく元気になれる。
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満員電車がなくなる日 鉄道イノベーションが日本を救う

満員電車の歴史と、満員電車をなくすための方策の提言。提案されている運行方法のイノベーションは素人目にはリスクが高まりそうに見える箇所がある。例えば、コストダウンのために無線LANをこの種の基幹で利用するなど、通信屋としては非常に怖い。一方で、戦略的プライシング等の運賃のイノベーションは非常に興味深い。社会的批判さえ乗り越えられれば十分に実現性があるものと思われる。
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大原利雄, 命からがら 誰も行けない温泉

既に表紙が出オチな温泉ガイド。そもそも観光地化されていない温泉には様々なリスクがある。辿り着くことが困難な場所にあったり、熊の生息地であったり、噴火の危険があったり、有毒ガスが溢れていたり。そんな温泉だけを選んで出かけようという物好き振りが素晴らしい。
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深田浩嗣, ソーシャルゲームはなぜハマるのか ゲーミフィケーションが変える顧客満足

流行のソーシャルゲームの解説書。教科書的なスタイルで読み物として面白い本ではないが、ソーシャルゲームの構造を体系立てて学べるのは良い。著者は特定の人気ゲームの中の人というわけではないので、一番知りたい本当の数字や裏話はやや控え目。2011年の発刊のため、取り上げられているタイトルは "釣り★スタ" や "怪盗ロワイヤル" といったフィーチャーフォンのソーシャルゲームが中心。"パズル&ドラゴンズ" や "艦隊これくしょん" の様な最近の人気タイトルに当てはまっているか怪しい理論...
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アガサ・クリスティー, パトリシア・ハイスミス, モーリス・ルヴェル, ジョー・R・ランズデール, シャーリイ・ジャクスン, ウラジーミル・ソローキン, フランツ・カフカ, リチャード・クリスチャン・マシスン, ローレンス・ブロック, フラナリー・オコナー, フレドリック・ブラウン, 厭な物語

後味の悪さをテーマに編まれたアンソロジー。何よりも企画の勝利。シャーリイ・ジャクスンの "くじ" などの古典的名作から聞いたこともないような作品まで幅広い収録。肝心の "厭さ" も "ナイト・オブ・ザ・ホラー・ショウ" の様な暴力的な厭さから "フェリシテ" の様な精神的な厭さまで選り取り見取り。編集も見事で、末尾にフレドリック・ブラウンの "うしろをみるな" を持ってくるところなど芸が細かい。
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石井彰, エネルギー論争の盲点 天然ガスと分散化が日本を救う

出版時期からすると3.11直後に慌てて出版されたようにも見えるが、内容は意外と本格派。電力のみではなくもう少し広い視点でエネルギー全体の最適化を考えている点が特徴的。著者の経歴からしてやや天然ガスに肩入れし過ぎているきらいはあるが、概ね説得力のある内容。
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安明哲(著), 池田菊敏(訳), 北朝鮮 絶望収容所

脱北者による告発本。いわゆる政治犯ではなく、警備隊員として完全統制区域に務めていた人物の手記であり、より広い情報が含まれている。著者は現在は文筆業ではなく農協勤務とのことなので、無理に刺激的にするインセンティブは少ないものと思われる。とはいえ、他の証言と付き合わせる必要は感じる。
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御手洗直子, 31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる

タイトル通りのコミックエッセイ。BL出身者らしく、自虐ネタは手慣れたもの。マンガとしてのテンポもよくサクサク読める。
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高沢皓司, 宿命 「よど号」亡命者たちの秘密工作

よど号ハイジャック事件の実行犯グループを中心に、関連する対日工作を追ったノンフィクション。主体思想北朝鮮側の思惑を踏まえた推理の数々は、やや独善的な部分が残るものの、なるほどと思わせるものが多い。