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細谷功, 会社の老化は止められない 未来を開くための組織不可逆論

亜紀書房ZEROの連載が良かったので書籍の方も。いわゆる組織論の本だが、不可逆性に焦点を絞った説明は読みやすく、人間の老化のアナロジーも頷ける部分が多い。
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矢野りん, デザインする技術 よりよいデザインのための基礎知識

デザインのキーワードをそれぞれ1~2ページで解説するスタイル。各項の記述があっさりしている点と、全体構造が見えにくく網羅的かが分からない点から、体系的に学ぶには向いていないが、アイディアを得るために眺める本としてはそれほど悪くない。
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梶本洋子, 小林哲之, 藤井浩二, Wordでマスターする使えるビジネス文書 レイアウトの極意

Microsoft Wordだけで専用ソフト級の印刷物を作ろうという企画。オートシェイプを駆使して見事な絵を作り上げていくさまは感動的ですらある。ややバッドノウハウ的な技術も散見されるのはご愛嬌か。使用しているのはWord 2000だが、オートシェイプの使いこなしなど最新版でも利用できる技術が多い。ただし、ある程度デザインの基礎知識がある読者が想定されていると思われ、一切デザインの勉強をしたことが無い人が一冊目に読む本ではない。
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山本皓一, 日本人が行けない「日本領土」 北方領土・竹島・尖閣諸島・南鳥島・沖ノ鳥島上陸記

日本の離島を扱っているが、興味本位での上陸ではなく領土問題に関する政治的なメッセージを強く含む本。2007年の著作だが、今の情勢から見てもあまり古くなっていない。第1次安倍内閣時代の安倍総理を含む、領土問題に関連の深い政治家との対談を多数含んでいるのも特徴。
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明石散人, 謎ジパング

日本史ミステリ謎解き本。ネタは邪馬台国から桃太郎まで幅広いが、"失われた大四元" として麻雀も取り上げられている。馬吊から看虎、三章、扯五章を経て紙牌に至る麻雀成立の定説から見ると与太話に過ぎないが (巻末の参考文献を見ても、著者が麻雀の歴史を本格的に調べたとは考えにくい) 、読み物としては面白い。
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マックス・ギュンター(著), 林康史(監訳), 石川由美子(訳), マネーの公理 スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール

面倒な言葉遊びをせずに "投機" と言い切って推奨してしまうところが潔いマネー本。かなり精神論寄りではあるが、投機に最も必要な自己統制を学ぶには良い本。一見すると現代ポートフォリオ理論と真っ向から対立する様な記述も多いが、この著書の立ち位置からすると理論の及ばない範囲の事柄に対する心構えということになるだろう。
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津野海太郎, 電子本をバカにするなかれ 書物史の第三の革命

電子書籍をテーマに扱った本だが、電子書籍を礼賛するでもなく難癖を付けて批判するでもなく、広い意味での書物史の中での位置付けを探ろうとする姿勢が素晴らしい。"季刊・本とコンピュータ" 誌を中心に掲載された記事を掻き集めていることもあり、後半は電子書籍から外れた話が多いのがやや残念か。
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海東鷹也, 怪しい世界の歩き方

三才ブックスか鉄人社の本かと思って読み始めたら彩図社だった。海外旅行エッセイマンガなのだが、異常なまでに行動力のある格闘家という時点で面白くないわけがない。トラブルを招きやすい体質らしいのも良い。
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橘玲, 日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル

橘玲の新刊。今作のテーマは、今後実施される大規模な金融緩和の結果がどちらに転んでも対応できる資産防衛法。この種の破綻本にありがちな「未来はこうなる (だからこれを買え) 」という断言はなく、様々なシナリオを想定した上で適切な金融商品を考えるスタイル。最も多くのページを割いている破綻シナリオの投資先には、国債ベアファンドや物価連動国債ファンドなど一般に余り馴染みのないものも含まれているが、理論的に考えると合理的な選択肢の一つとなる。
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山岸凉子, ブルー・ロージス 自選作品集

少女漫画の中になぜか混ざっている "パエトーン" 。チェルノブイリ原子力発電所事故をきっかけに描かれた原発批判マンガで、当時の原発批判派の考えや空気を知るのに役立つ。