book

comic

篠原健太, 彼方のアストラ (1) (2) (3) (4) (5)

少年ジャンプ+で短期集中連載された作品。きちんと少年マンガをしながらSFやミステリの要素も見事に取り込んでおり、大人でも存分に楽しめる。今どきのマンガながら無駄な引き伸ばしもなく完璧なまとめ方。謎が解けた後に再読すると、そこかしこにヒントが散りばめられていることに気付き、作者の構成力の高さがよく分かる。
book

星野伸之, 真っ向勝負のスローカーブ

遅球とスローカーブで一時代を築いた星野伸之によるピッチング論。 打ち取るテクニックや配球論もさることながら、2003年の出版にもかかわらずフレーミングの観点から捕手を評価しているのはその先見性を伺わせる。
book

クリス・ヒューズ(著), 櫻井祐子 (訳), 1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法

Facebookの共同創業者による自伝と保証所得の提案。 本書の多くの部分を占める自伝は、とてつもない成功体験に対する罪悪感が占めている。さほど裕福ではない家庭に生まれた著者は、マーク・ザッカーバーグのルームメイトになるという幸運 (著者は幸運を強調しているが、努力してハーバード大に入学し初期のFacebookで重要な役割を果たしているので、謙遜のし過ぎだとは思う) から巨万の富を得たが、これが現代の勝者総取り経済が内包する拡大力によるものであると述べる。 こうした経済の負の...
book

目黒公郎(監修), 遠藤宏之(著), 首都大地震 揺れやすさマップ

永く住む場所を決める際には、やはりその耐震性を調べなければならない。 本書は現在の地図と1919年の基盤地図を並べて眺めることで、その土地の生い立ちを知ることができる。一見地盤良好なエリアでも、谷を埋めた盛土地や埋立地が分布しているので油断ならない。 23区の他、都下、神奈川、埼玉、千葉の主要なベッドタウンが網羅されており申し分ない。特に東京中心部は関東大震災時の震度も併記されているのが便利。
book

v-com2, 昇格期待の優待バリュー株で1億稼ぐ!

21世紀投資の管理人によるブロガー系投資本。投資手法としては面白いが、個別の成功事例の話が中心のため、統計的に有意な差があり再現性に優れているかは自分で検証する必要がある。
comic

鈴木小波, 魔女の箱庭と魔女の蟲籠 鈴木小波短編集

ホクサイと飯が良かったのでこちらも。作風は大きく異なり、ややわかりにくいお話や不条理なお話も多く、実験的な短編と感じるものもある。
book

ポール・クルーグマン(著), ジョージ・パパンドレウ(著), ニュート・ギングリッチ(著), アーサー・ラッファー(著), 町田敦夫(訳), 金持ちは税率70%でもいいvsみんな10%課税がいい 1時間でわかる格差社会の増税論

カナダのテレビ局BNNの公開討論番組を書籍化したもの。増税の賛否双方とも豪華なディベータで、双方の問題意識がどこにあるかを明確にしてくれる。単に感情的な意見や道徳的な視点にとどまらず、実現可能性についてもきちんと議論されているのが良い。
book

SCRAP, 5分間リアル脱出ゲーム

十人の憂鬱な容疑者に続いてこちらも。 長編と違って手軽に楽しめるものを目指していることもあり、難易度は少々低めで、本や付録の構造すべてを絞り尽くしたような感覚もない。それでも問題の質は良く、解答やヒントを見る際に誤って関係する項目が目に入らないようにするなどの配慮も行き届いている。
comic

寺門ジモン(原作), 刃森尊(漫画), ネイチャージモン (1)

テレビの中ではダチョウ倶楽部の目立たない人として認識されている寺門ジモンだが、一歩踏み込んでみるとこれが面白い。どのジャンルにしろ極めるまでのめり込んだ人間の話は興味深いものだが、クワガタと焼き肉に異常なまでの執念を燃やす人間の話が面白くないわけがない
book

川田利明, 開業から3年以内に8割が潰れるラーメン屋を失敗を重ねながら10年も続けてきたプロレスラーが伝える「してはいけない」逆説ビジネス学

あのデンジャラスKが自らのラーメン屋経営を語った本。 よくある名前貸しなどではなく、本気の体当たりでラーメン屋を経営したからこそ出てくる言葉にあてられ一気に読んでしまった。ラーメン屋をはじめとする飲食は脱サラでの失敗も多い厳しい業種と認識していたが、その内情は想像以上のものがあった。それでも真摯にラーメン屋という仕事とそのお客様と向き合い続ける姿勢は、プロレス時代と同様に応援したくなる。