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藤原明, 日本の偽書

上記、竹内文献、東日流外三郡誌、秀真伝といった有名な偽書がどの様なプロセスで人々を魅了するに至ったのか。と学会の様におもしろおかしく紹介するわけでもなく、また少数の有名偽書を深く掘り下げる形式なので、正直言って骨太すぎるところもある。 しかしながら、捏造が行われるプロセスとして "言説のキャッチボール" を重視しているのは興味深い。これは、捏造者が他の専門家 (捏造に携わっている自覚なし) との対話で得られた情報を取り込み、出土品を "創造" するということ。類例としては、(...
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多賀敏行, 「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった

文藝春秋やふらんすに掲載された原稿に書き下ろしを加えた、誤訳や誤解に関するエピソード集。 表題にもなっている、日本人批判とされる言葉の誤解がおもしろい。ウサギ小屋、日本人は12歳、エコノミック・アニマル、これらの言葉は日本人批判として知られているが、本来は否定的な意味を持っていなかった。これらの言葉がなぜ誤解されるに至ったのか、ECの報告書、マッカーサーの上院答弁などの原典にあたり検証している。これらの誤解は、相手の言語に対する知識不足や発言背景への理解不足が元で生まれ、一人...
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吉本佳生, 金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか

よく見かける金融広告を例にとり、その商品がなぜダメなのかを解説する。金融広告の例はさすがに実物ではないが、どれもどこかで見たことがあるようなもの。例えば、「年10%のオーストラリアドル定期」、「8年ものの年1%定期預金」、「ファンド・オブ・ファンズ」、「毎月分配型投資信託」など、どれもこれもよく見かける商品ばかり。 この本を読んだからと言って、どの金融商品を買えば良いのかがわかるわけではないが、少なくとも絶対に買ってはいけない金融商品ははっきりとわかるようになる。投資に手を出...
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池田信夫, 電波利権

かつてNHK中の人だったこともあり、テレビ局の利権構造やNHKの内実などが非常によく描かれている。電波に関する本といえば技術に関するものが大半を占めている中、政治やビジネスの観点からまとめられた本書は評価できる。 技術的な知識なしでも読めるように配慮されているので、この分野の入門書としてもお勧めできる。
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藤原和博, 小川洋子, 世にも美しい数学入門

最近は工学的な仕事ばかりで数学からは離れてしまっている、そんな私に数学の美しさというものを思い出させてくれた。 対話形式でサクサク読める上、特に数学の前提知識なしでも楽しめるのでお勧め。
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板倉雄一郎, おりこうさん おばかさんのお金の使い方

いわゆるファイナンシャルリテラシー本をある程度読んでいる人にはあまり新しい発見はないかもしれないが、とりあえず一冊目に読むには良いかも。文章も平易でサクサク読める。 例で出している数字がいくら例とはいえ現実離れしてないかとか、ポイント還元率が商品によって違う場合は必ずしもすぐにポイントを使うのが得とは限らないんじゃないかとか、ちょっとツッコミどころはあるけど。
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藤原和博, 人生の教科書 家づくり

著者の藤原氏が自分の家を建てる家庭をまとめた本。読み物として十分におもしろい。 この本はファミリー向けの家造りの話だが、来月に引越を控えた新居 (こちらは単身向けの部屋だが) の部屋づくりの参考になりそうなところもある。 この本で提案されている、コーディネートの際に一つのシンボルから全てを決めていくという手法はおもしろそう。たとえば、気に入っている食器、絵画、その他何でも良いので一つのアイテムを選び出し、そのシンボルに合っているものだけを揃えていく方法。なるほど、これが実践で...
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梶山季之, せどり男爵数奇譚

古書蒐集にとりつかれた男、せどり男爵の物語。 自分も古書のために神田や早稲田界隈を探し歩いた経験がある身故、古書に魅入られた人間の心理は良くわかる。せどり男爵が和本に目を向けるきっかけとなった人物である加盞堂老人が、夢にまで見た本を見つけた時の心理を「何度みても、間違いないと知った時、わしは失禁しそうになった」と語っているが、古書マニアの昂奮を見事にあらわしている。 他にも、洋書の初版本に目がない婦人、ビブリオクレプト (盗書狂) にまつわるミステリー、本の装丁に魅入られた男...
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兵頭二十八, 別宮暖朗, 戦争の正しい始め方、終わり方 小さな戦争が大きな戦争を食い止める…

「戦争反対」が戦争を招くとして、欧州の戦史に沿った解説が行われているのは分かりやすい。 後半では北朝鮮の今後についても語られているが、現代軍事については他の論者の意見も合わせて読んだ方が良いかも。
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高橋征義, でかいプレゼン 高橋メソッドの本

実は今、正月だというのに比較的真面目なプレゼンの準備をしている。もちろん、高橋メソッドを使ってはマズそうな場面なのだが、この本の隠れ高橋メソッドならば使えそう。要するに高橋メソッドの1ページを普通のプレゼンの箇条書きの一行に対応させるものなのだが、高橋メソッドの推敲のしやすさやストーリーの組み立てやすさは享受できそう。