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小塩隆士, 教育を経済学で考える

実データに基づいた検証よりも、理論が中心な本です。興味深いところだけ下に抜き書きしておきます。この辺のお話に興味があれば買いです。 教育は投資と消費の両方の性質を持っている。教育はお金を出す人 (多くは親) と、サービスを受ける人 (多くは子) が異なる場合が多いという点が他のサービスと異なる教育投資がなされるのは不確実性が高いため教育はコール・オプションの購入と近い性質がある教育は本質的に格差を拡大する効果がある
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中村敏雄, オフサイドはなぜ反則か

オフサイドのルールは本来不合理なものです。相手のゴールにボールを入れるのが目的のゲームでありながら、相手のゴール近くで待ち構えるという有利な戦術をとってはいけないというのですから。例えば、オフサイドのないバスケットボールでは、ボールを奪った後、最前線にいる味方へパスを出す速攻は最大の得点機です。しかし、現実にはサッカー、ラグビー、アメリカンフットボールなど、英国のフットボール起源のゲームの多くがオフサイドのルールを持っています。 その有利な戦術をとってはいけない理由について、...
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バイシクルクラブ編集部, 困った時のMTBメンテナンス

自転車素人から自転車初心者にレベルアップするべく購入。初歩の初歩レベルから写真入りで丁寧に説明されているので、1冊目にはよろしいかと。手軽な文庫版なのもうれしい。 あくまでもメンテナンスの技術解説本であり、メンテナンス用品の選び方にはまったく触れられていない。どのメーカーのものが信頼できるのかすら見当がつかなくて困っている自転車素人は、別の本やwebも併せて読む必要がありそう。
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東谷暁, エコノミストは信用できるか

いつも各種マスコミで好き勝手な事を言っている (かのように見える) エコノミスト達。その過去の発言を検証している。ここで興味深いのは、過去の予想が的中したか否かのみではなく、長期に渡り発言の一貫性が保たれているかの検証に重きを置いていること。下手をすると細かい揚げ足取りになりそうな企画だが、概ねきちんと俯瞰されているのがすばらしい。巻末には40名の有名エコノミストの通信簿も付属している。 この発言の一貫性チェックは、エコノミストに限らずに他の業界でやっても面白いのではないかと...
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広瀬一郎, スポーツマンシップを考える

"スポーツマンシップ" とはよく聞く言葉ですが、その意味はというとなかなか知られていないようです。などと偉そうに書いてますが、恥ずかしながら私も10年以上スポーツをたしなんできたにも関わらず今までその意味を真剣に考えたことがなく、漠然とフェアプレーのようなものだと思いこんでいました。本来はスポーツマンシップとはフェアプレーのみならず、もう少しメタな概念、すなわち "スポーツを通じて身につける人格的な総合力" のことです。 この書籍はその少々抽象的なスポーツマンシップの概念を、...
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谷岡一郎, こうすれば犯罪は防げる 環境犯罪学入門

ギャンブル関連の書籍でも有名な谷岡一郎先生による環境犯罪学の入門書です。 環境犯罪学 (Environmental Criminology) とは、環境を改善することで犯罪の発生を未然に防ぐ学問です。ここで環境とは、町並みや、店のレイアウト、住宅の庭や塀の作りなどの広い範囲を指します。最近ニューヨークの治安回復で話題になったブロークンウィンドウ理論もその成果の一つです。 本書はこれらの環境犯罪学の考え方が豊富な実例と共に示されており、興味深く読めます。また、環境犯罪学の理論や...
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麻将花■大全 (■は木偏に羊)

とか言っていたら、第一弾が届きました。11冊注文した内の2冊が先行して届いたのですが、1冊は麻将に関するコラム集のようなものらしく図版一切無しで、fukumotoの語学力で読めるものではなさそうなのでちょっと後回しにしておきます (このまま死蔵される可能性大) 。 ここで紹介するのはもう1冊の "麻将花■大全" という麻将手役集です。大全という名前は伊達ではなく、760種類(!) の手役が紹介されています。さすがにそれだけの数になると水増しのようなものも含まれていますが (全...
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小室直樹, 大越俊夫, 人をつくる教育 国をつくる教育

小室先生と大越先生の共著となっていますが、実質的には小室先生が講義をするスタイルですすめられます。小室ファンにも安心です :-) まずは、現在の日本の教育の現状が小室先生の他の著作でも頻繁に登場するアノミー (無連帯) の概念を使って説明され、学校教育で行動規範を教えない点が最大の問題であることを看破しています。その後、多くの偉人を生んだ吉田松陰の教育を例に挙げ、日本の教育の在り方について語られています。 他の小室本と同様、教育という難解なテーマにもかかわらず平易な文章で語ら...
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野口悠紀雄, 「超」税金学

の続編です。前作同様、節税ノウハウ本ではなく、税金制度を考える本です。とはいえ、啓蒙書的な位置付けですので、税の専門家でなくとも十分に読める内容になっています。 特に間接税 (消費税) と固定資産税に重点がおかれており、現状の税制の制度上の不備から改革提案までが述べられています。そのあたりに興味のある向きにはお勧めです。
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堀内修, はじめてのオペラ

「オペラは麻薬だ!」と主張する堀内修さんによるオペラへの誘いです。 お勧めなのは、歌劇場での楽しみ方や、観劇のマナー、その他のオペラ関連の雑学部分。豊富な話題で楽しめます。 オペラ史にも一章を割いて触れていますが、紙幅の関係からかオペラ史全体を駆け足で巡る内容になっており、少々散漫な印象を受けます。この本の想定している読者層であるオペラ初心者にとっては少々理解しにくいのではないでしょうか。この部分についてはある程度予備知識が必要かと思われます。