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阿部珠理, メイキング・オブ・アメリカ 格差社会アメリカの成り立ち

アメリカ先住民の研究者が描く、アメリカの不平等社会の成り立ち。白人とインディアン、ピューリタンと非ピューリタン、南部貴族と黒人奴隷、ワスプとマイノリティ、資本家と労働者など、アメリカの歴史が格差の歴史そのものであることがよく分かる。それでも救いがあるのが、持たざるものにも社会上昇の機会があること。例えば、新たにやってきた移民労働者は労働者ピラミッドの最下層を形成し、それまでの移民労働者はピラミッドを一段上昇するという社会構造が挙げられる。
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辣椒, マンガで読む嘘つき中国共産党

亡命中国人による共産党風刺マンガ。マンガ単体としての面白さはさておき、国内安全保衛に拘束された強烈な体験談など、中国共産党の実態を知るために有益な情報が多数。
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久松ゆのみ, ピコッとハニエル (1)

久松ゆのみがゆのみみっくす以外にも単行本を出しているのを知ったので今更ながら読む。1巻と書いてあるが、もちろん2巻は出ていない。いわゆる居候モノだが、居候先が一般人ではなくコアゲーマーなのがポイント。マニアックな小ネタが楽しい。
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青木雄二, ゼニの幸福論

マルクス主義者の著者らしく、マルクスの "働くものは儲けず、儲けるものは働かない" という言葉を引き合いに出し、人間、遊んで暮らすのが最高の幸福である。という実感を語る。この自然な感情は否定できない。とはいえ、労働の尊さが否定されるものではなく、"人に請われて仕事をすること" もまた幸福を感じるものだ。現在の生活が幸福かを判定する方法として、エンゲル係数を改良した青木係数を提案している。これは食費と住宅費が消費支出に占める割合を算出したもので、五割を超えているようであれば貧乏...
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トマス・J・スタンリー(著), 広瀬順弘(訳), 橘玲(序文寄稿), 1億円貯める方法をお金持ち1371人に聞きました

となりの億万長者の続編。それ以上資産が増えても幸福度が上がらない1億円 (100万ドル) をお金持ちの基準とし、それ以上の純資産を持つお金持ちの調査結果をまとめている。お金持ちは自身が経済的に成功した要因として、誠実、自己鍛錬、社会性、配偶者の支え、勤勉を挙げている。運の要素を挙げている人は少ない。対照群との比較がないのとsocial desirability biasを考慮していないように見える点が疑問ではあるが、世間一般のイメージとは異なる興味深い結果と言える。お金持ちの...
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藤子・F・不二雄, 藤子・F・不二雄SF短編PERFECT版

家内から誕生日プレゼントとして全8巻セットをいただいた。子供の頃から朝日ソノラマ版を読んでいたが、かなり抜けがあったのでまとめて読み直せるのは嬉しい。収録作品も装丁もPERFECT版にふさわしい出来。内容は言わずもがな。
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丸山ゴンザレス, 世界の危険思想 悪いやつらの頭の中

殺人犯やドラッグユーザー、武器商人など、一般的な日本人とは異なった常識を持つ人々へのインタビュー集。労作という範疇を超えて大きなリスクをとった著作。彼らの思想は簡単に理解できるものではないが、彼らなりの理屈があり筋があることはわかる。これらを拒絶してしまうことは簡単だが、その思想に正面から向かい合うことで世界を少し広げることができる。
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西村賢太, 廃疾かかえて

代わり映えのしない私小説もので、また褒められた生活でもないのだが、ついつい読み続けてしまう魅力がある。同棲生活を描いたいわゆる秋恵もので、DVに至るまでの過程とその思考は目を覆いたくなる。それでも手にとってしまうのは、本当の他人事ではなく誰でも抱えている衝動と考えているからかもしれない。
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米国科学アカデミー(編), 池内了(訳), 科学者をめざす君たちへ 研究者の責任ある行動とは

研究者は必ず読むべき本。タイトルは科学者となっているが、本書で述べられている研究倫理は、工学やその他の分野の研究者であっても厳守するべきもの。少し前の本なので実験参加者へのインフォームド・コンセントや個人情報の保護に関する記述はほとんど見られないが、その他の不正なデータ操作、利害関係の衝突、研究資料の帰属、業績評価、剽窃など、研究者が知っておくべき事項は一通り網羅されている。
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本間正夫, 草野球の教科書

草野球ならではのセオリーをまとめた本。チームナンバーワン打者は三番に置く、守備の名手にはサードを守らせる、などプロ野球とはまた違ったセオリーは面白い。エビデンスがないのが難だが、読み物としては面白い。