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森博嗣, 作家の収支

著者本人の作家としての収入をまとめた本。作家一般の話は原稿料や印税率の相場くらいで、作家の中でもかなり特殊な執筆活動を行っている著者の事例が大半のため、作家の収支というよりは森博嗣の収支といったほうが適切。 著者の収支を支えていたのは、やはりその多産にある。 原稿用紙20枚/時間をコンスタントに出力し、19年間で280冊の著書を生み出したのが何よりも大きい。単に各著書の売上が立つだけではなく、著者買いの相乗効果を生み出せている。
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大江英樹, 定年楽園

いわゆるリタイア本で、やや自己実現に重きを置いたタイプ。 日本文化の多くが隠居した人々の手によるものであることを引き合いに出し、定年は好きなことが思う存分できるチャンスと説く。やりたいこと、能力を活かせること、世の中の役に立つことを原理原則とした自身の定年後起業の紹介もあり。
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cis, 一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学

cisの初めての著作。福地誠の企画らしい。 cisが決してジャンケン大会の勝者などではなく、勝つべくして勝っているということがよく分かる。たまたま投資の分野で成功しているが、他の多くの分野でも成功できたのではないかと思う。 ”日経平均を動かせる男” は誇張ではない。そんな本人がメディアの解説を 全然僕の思惑と違うことを勝手に想像して話している と評しているのは興味深い。 本人の自伝や投資哲学が中心だが、いくつか具体的な投資方法のアイディアも含まれている。 値嵩株の日経平均組み...
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内山直, 幸せの確率 あなたにもできる! アーリーリタイアのすすめ

著者はすでに アーリーリタイアを実践している元医者。 アーリーリタイアではやはりお金の話は避けて通れない。本書も多くの部分を貯蓄や資産運用に割いている。とはいえ、最後はやはり気の持ちようになるのだろう。出所不明のアンケート結果ではあるが、「どのくらいの資産があれば安心で満足か」という質問に多くの人が実際に持っている資産の倍額を答えるというのはさもありなんと思う。
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橘玲, 「読まなくてもいい本」の読書案内 知の最前線を5日間で探検する

複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義の進歩が "知のビッグバン" 起こした後の本を中心に読むべきという主張。 特に進化論を高く評価しており、遺伝学、脳科学、進化心理学、行動ゲーム理論、行動経済学などが進化論を土台に融合しているとみなしている。専門の科学者ではないので論理の飛躍が多いが、言わんとしていることは理解できる。
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施川ユウキ, バーナード嬢曰く。 (4)

今巻も素晴らしい。安易に登場人物を増やすでもなく、新展開を入れるでもなく、淡々と読書の素晴らしさを伝えながら人物を掘り下げていくのが良い。
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ニコ・ニコルソン, ナガサレール イエタテール

東日本大震災からの自宅再建マンガ。悪いことは重なるもので家族の問題が次々に襲いかかるが、共済や保険の備えがしっかりしていたおかげで金銭的に逼迫していないのが救い。マンガも明るいタッチであまり悲壮感なく読める。
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Anthony Bourdain(Author), Joel Rose(Author), Langdon Foss(Illustrator), Jose Villarrubia(Illustrator), GET JIRO!

ディストピア化した世界で寿司を握り包丁を振り回すJIROを描いた怪作。 その舞台設定はさておき、ストーリーラインは意外にしっかりしており、アートの質も高い。偏見を持たずに読むべき。
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マティアス・ビンズヴァンガー(著), 小山千早(訳), お金と幸福のおかしな関係

経済学者による幸福論。 カーネマンらによる幸福研究はセックスなどの行動が幸福感を向上させることを明らかとしたが、ブランチフラワーやオズワルドの調査では収入とセックスの頻度には関係がないことがわかっている。人を幸福にする他の行動も、収入とともに増えるどころかむしろ減っている。 ランク付けはさまざまな活動をステータス競争へ変え、内在的なモチベーションを殺し、その活動に関わる人々の幸福度を下げる。フィギュアスケート、学術研究などが代表例。 トレッドミルは経済成長の源泉でもあるが、同...
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紀田順一郎, 蔵書一代 なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか

田舎に大きな書庫を備えた家を建てて好きな本に囲まれて暮らすという夢は、すべての蔵書家が一度は思い描いたことがあるだろう。そんな暮らしを一度は実現しながら、家族や自身の健康などの理由で捨てざるを得なくなったのは心情を察するに余りある。さらにその際に3万冊超の蔵書を手放さざるを得なくなったとなると、自らの半身をもぎとられたようなという比喩では物足りないだろう。 そんな著者の体験を踏まえ、さらに個人蔵書の受難の時代背景や名だたる蔵書家たちのエピソードを折り込み、蔵書論ともいうべき作...